海洋立国論

勉強のつもりで書いています。

Google先生、嫌がらせをする。

今回のロシアによるウクライナ侵略でOSINT(Open source Intelligence)が注目されていますね。
 
OSINTとは、「特定の情報要件に対処する目的で、一般に入手可能な情報を収集、利用し、適切な対象者に適時に普及させた情報 」(米国防総省)と定義されていて、情報収集、諜報活動の一種であり、安全保障・軍事の分野では比較的馴染みのある用語です。
 
特に今回はウクライナ・ロシア共SNSを活用しておりその精査が必須です。
軍事関連では昔から有名ブログもあり、今回の戦争でもあらゆる情報を集積し、ウクライナ軍・ロシア軍の戦果や発表を検証したり、戦力分析したり、プロパガンダを見破ったりしています。
 
ネット情報のみならず書籍・新聞・インタビュー・映像(背景も含む)などあらゆるものがその対象で、画像に記録されている位置情報など表面にあらわれていない情報も分析します。兵士の通話記録まで検証材料に使います。
 
例えば発表どおりの緯度経度か影の長さなどから撮影時間はどうか、爆発なら光の色や広がり方から使用された兵器を特定するなどまでも分析していますし、デジタルデータである衛星画像や航空機・船の位置情報、地形、植生、気象データは簡単に入手できます。(軍の場合は作戦上位置情報を意図的に消したり欺瞞しますが)
 
 
先日の「モスクワ」沈没では、事実かどうかから始まり、攻撃方法、被弾数、命中か所などを検証しています。これが無ければウクライナの虚偽では?と疑われたり、ロシアの言う通りただの火災?沈んだ?曳航?となったかも知れません。
 
北朝鮮なんて画像を沢山だしてくれるので、OSINTの良いネタです。
 
普段から大きな力を発揮しているのはやはり衛星画像ですが、どうやらGoogleはロシアに対する抗議の意味を込めて、ロシアの軍事施設・戦略施設に関する高解像度の衛星画像をGooglemapに公開し始めたようです。
1ピクセルあたり0.5mの解像度とのことですが、もうめちゃくちゃ見えます。(他の衛星画像などではモノによって30cm解像度とかもあります。)
 
これらによってロシア軍の施設規模や収容人数、航空機数などの推定があからさまになります。研究も進むかもしれません。
 
リアルタイム画像では無いので、これが今回の戦況にただちに影響する訳ではないでしょうが、Googleの意思表示(いやがらせ)です。
 
 
昔は軍事的に秘密だった場所は地図上に表記しないとか、それこそ天気予報まで秘密だった時代もあったのですが、現代は商業衛星でも光学探査以外に他の波長も活用して探査して地球丸ごと丸裸です。軍や政府機関などは勿論もっと詳細に把握しているでしょう。
 
OSINTは使い方によっては非常に役立ちますが、収集した膨大なDataを精査し必要な情報を取捨選択しInfomationとし、裏取り、分析などをおこなってIntelligence に高める事が大事なんでしょう。
 
日本語ではdataもinfomationもintelligenceも、ざっくり情報と訳しますが、このあたりに何か情報に対する認識の「違い」があるように思います。
 
これを誤ると「好ましい情報だけを取得」(確証バイアス)して「脊髄反射的に安易に拡散する」ことになり、フェイクニュースの片棒を担ぐことになりかねないので、私はできる限り注意するよう心がけていますが、これがなかなか難しい。
 
また日頃信頼している人の言動や、印象に残った本の著者などは無条件に信用してしまうことにも注意しています。
 
このことは安全保障や軍事に限らず全ての分野・産業に通じると思います。
 
日本はこっち方面に疎すぎると常々思っているのですが、多数の一般人の
 
集合知
 
は戦争の抑止にきっと役に立つはずです。もっと勉強して能力を高めたいと思います。
三人寄れば文殊の知恵ですよ。