海洋立国論

四方を海に囲まれて。

翻弄されるウクライナ

先ごろのイギリス海軍・オランダ海軍とロシアの件について、舞台となったウクライナについて整理してみたいと思います。

 

面積は日本の約1.6倍。人口はおよそ4,200万 首都はキエフ樺太北部あたりと同じくらいの緯度。(年平均気温9度くらい。東京は15度ほど)NATOへの加盟を目指しており、NATO加盟国はその支援をしています。

 

苦難の歴史

ウクライナは20世紀だけでも何度も独立を宣言し、そのたびに大国の思惑、民族問題などに阻まれ挫折してきました。

国家のカタチを作ってからも、スターリンによる弾圧で数百万が餓死や粛清されたり、第二次大戦ではドイツ・ソ連の戦場となり戦火により町は崩壊し、同じ民族同士で分断されたり殺し合わざるを得なくなります。1986年にはチェルノブイリ原発の事故があり、ソ連の秘密体質が事故対応を遅らせました。

ようやく1991年に独立を果たしたと思ったら、2014年ロシアによるハイブリッド戦によってクリミア危機が発生しクリミア半島はロシアに併合され今も解決していません。ウクライナではクリミア危機以降でも1万以上の人が亡くなっています。

ウクライナ東部ドンバス地方では今も軍事的緊張が高く、2021年4月にもロシア軍が国境に集結し、武力侵攻か?と一時は騒然としました。

 

ロシアの思惑

ロシアは自国の安全保障上、対NATOの最前線が自国に接近してしまうと、首都モスクワが近くになり戦略的縦深を失いますので、これは耐えがたい恐怖でしょう。過去の戦争でもロシアの敵は西からやってきました。

このためNATOの東方拡大は好ましくなく、ウクライナNATO加盟を阻止したいと考えています。

もしこれを許してウクライナ全土が反ロシアとなるのは、大国ロシアの復活を掲げて強いリーダーを演出し、独裁的政権を維持している、プーチン政権の権力が失われることに繋がりかねません。

 

ロシアは黒海を自国の内水面とし地中海へ抜けるルートを確保したいこともあります。そのため、シリア問題に搦めてNATO加盟国トルコに働きかけた結果、トルコはロシア製のS400地対空ミサイルを購入、反発したアメリカは共同開発国であるトルコへのF-35戦闘機売却を排除しました。

西側諸国標準とも言えるF-35ですが、トルコはロシア製戦闘機の購入に進む可能性が高くなりました。ロシアによるトルコの取り込みは成功しつつあるようです。

 

駆逐艦ディフェンダーの一件でも書きましたが、ロシアは経済的に余裕が無いため、NATO側との戦争へのエスカレーションは望んでいませんが、「反ロシアのウクライナ」を成立させたくはないのです。

 

対峙するNATO

しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領が「実力で半島を奪還する」と表明したり、ロシア側に立つ議員の資格をはく奪したり、かなり強硬な態度にでているうえ、 令和3年4月13日のG7外相声明でも

「違法な併合を非難し、ロシアも加盟し署名したOSCE(欧州安全保障協力機構)でのウィーン文書を守れ」

と、ウクライナ支持を鮮明にしました。

 

またNATOの中核的任務は「集団防衛」「危機管理」「協調的安全保障であり、同盟国への安心を与えることであって、非同盟国のウクライナに対しては義務を負ってはいませんが、ウクライナがロシアに飲み込まれると、ブルガリアルーマニアポーランドバルト三国エストニアラトビアリトアニアなどの周辺国の安全が脅かされることになるので、NATO諸国はウクライナには関与し続けることになります。

 

1997年から始まった「NATOウクライナ委員会」では、2014年の声明で

 

「ロシアは主権、領土、独立を侵害し、国境付近に数千の戦闘部隊を派遣し武器を供給している。国境付近の部隊を撤収し併合を解消するよう求める。先住民であるタタール人の権利を尊重せよ。ロシアの行動はいかなる理由であれ国際法違反である。NATOウクライナは軍の相互運用性を高める努力を継続している。独立,主権的で安定したウクライナは,民主主義と法の支配の原則を強く決意している。」

 

NATOウクライナ関与を明言しています。

 

ウクライナを巡るロシアとNATOとのせめぎ合いはまだまだ続きますが、ウクライナには多くの日本企業も進出していますし、在日ウクライナ人も多くいるでしょう。

日本も無関係ではありません。ロシアが相手ですので、北方領土問題を抱える我が国としても「不法で非人道的な」ロシアの併合に対して、もっと積極的な関与を望みます。

 

我が国は先の大戦では大きな被害を被ったものの、戦後はアメリカの庇護下で復興し安定と繁栄を築きました。

 

尖閣竹島北方領土などの領土問題はあるにせよ、武力行使を選択せず、多くの国民は独立や自由、領土や民族の何たるかを考える事も無く生きていけるのです。

安全保障や戦争に目を閉じて耳を塞いでいればいいのですから、ある意味では幸せではあるのでしょうが、いつの間にか思考停止しているのかも知れません。

 

一刻も早くウクライナの人達が平穏に暮らしていけるように願っています。

美しい国だし美人多いし(^◇^)