海洋立国論

勉強のつもりで書いています。

ロシアは止まらない

ロシアはウクライナに武力(威嚇も含む)による現状変更・国境線の変更を行う。
 
冬季の地域紛争は数万の死者では済まないかもしれない。弾を食らうだけが死者になるとは限らないからだ。コロナどころの話ではない
 
クリミア半島の時のようなグレーゾーンを演出しハイブリッド戦を仕掛け、物流やインフラ破壊、ハッキングによるネットワーク破壊、情報操作、もちろん民間軍事会社などを使っての武力もある。
 
国境付近にはイスカンデル中距離ミサイルを30発以上配備しており、首都キエフをいつでも攻撃できる体制にある。
 
ロシアは戦術核使用を公式には否定してはおらず、場合によっては威嚇の為に無人地帯に戦術核を撃ちこみデモンストレーションをする事だってありうる。
戦術核使用が考慮されるのなら、軍事力の行使は対抗勢力の介入の閾値をあげてしまい、西側は大規模介入を躊躇することになる。そのうちに暫定政権を立ち上げるなどして実効支配するだろう。冬季作戦はロシアのお家芸。雪解けになると重車両の移動が困難になる。その前にやるのだ。
ロシアは既に長年の経済制裁に耐えてきており、今更経済制裁など怖くない。
 
ロシアの圧力に対抗するのはNATOだが、その足並みはエネルギーをロシアに依存するドイツが乱しており、また今ならコロナ対策、対中国で軍事リソース、財政的にも厳しいこの隙を突く事ができる。
また、ウクライナNATO加盟国では無いため、NATO軍が血を流す事に国民は納得ができるのか、血を流してまでウクライナNATOに引きこむメリットがあるのか、この点からもロシアは楽観視している。民主国家の弱点である。
バルト三国NATO加盟国として、アメリカ製兵器をウクライナに供与しているが、地理的距離の近いスカンジナビア三国はヒヤヒヤしているだろう。
 
 
若かりし頃のKGB時代のプーチンソ連が西側から崩壊していくのを目の当たりにしており、相当悔しい思いをしているはずで、いつかは大ロシアの復活を目指している。
 
米露外相会談も型通り済ませて、大義名分「NATO東方不拡大を確約させることができない」を得られたので、プーチンの夢「ロシア帝国復活」の機会を逃せないうえ、またここまでの部隊展開にかけたコストも無駄になり、軍部の支持を失いかねない。つまりここで折れると強い大統領では無くなってしまう。
そのうえ、西欧諸国に利益をもたらす国がロシアの近傍に生まれ、その影響で政権の安定性を失うことになっては取り返しがつかない。それにはソ連時代に西側のバッファとして存在していた東欧諸国がNATO側に与するのは絶対に阻止しなければならない。
 
そもそもウクライナ東部はロシア系民族が多数を占めている。ロシア部隊は既に三方向に展開し、渡河作戦用の機材も展開済み、両国の戦力差は歴然。
英米の武器供与はかえってロシアに口実を与えることになろう。ロシアとしてはウクライナは西側諸国の利益の為に動いており、ロシアの安全保障を脅かす存在として認識している。
 
ただ心配なのはNATOが本気で介入した時、ロシアはエスカレーションをどのようにコントロールするのか。中国は漁夫の利を得ようとするのか。そのレベルはどの程度か。
 
一方、中国にとりウクライナは軍事技術の出どころでもある。中露は基本的には互いを信用しておらず、安保理でも全てにおいて一致している訳では無いし、ロシアの軍事技術が現在の中国の軍事技術の基礎なのだが、それの多くはパクリでもある。空母遼寧しかりJ15戦闘機しかり。そこをロシアが抑えるのだ。
 
日本は対中圧力協調を求めてきた関わりもあり、対ロシアでも共同歩調を米英などから求められるが、プーチンが返すとは一言を言っていない北方領土が、ますます帰らなくなると勘違いして、おっかなびっくりな中途半端な態度をとって、西側諸国の信用を無くすのかもしれない。
ロシアは北方領土への免税特区開発を中韓と共同で進めるとして法整備を進めているほどなのに。ロシアの論理で言えば戦争で分捕った領土は戦争で取り返せとしている。話し合いなどは論外なのだ。中韓を巻き込み実効支配を進めている。
 
それなのに、日本に至っては岸田総理の施政方針演説でロシアとのエネルギー分野での協力推進を打ち出した。全くアホの所業である。
 
これらの結果、中国・韓国・北朝鮮につけ入れる隙を与える事になるだろう。対中圧力の穴は日本としてますます認識され、メディア工作などもさらに強力に展開するだろうし、北朝鮮は着実に抑止力の為の核開発を進めている。韓国もこの期に乗じて嫌がらせをおこなうだろう。
 
しかし日本がいつまでも曖昧な態度なら「自由で開かれたインド太平洋構想」は画餅に帰すのではないか。そのような国に力を貸すほど米英豪などは甘くない
 
こんな時に能天気なメディア報道、政治家の発言には呆れるばかりだ。
 
 
世界には武力を用いる事を厭わないどころか正しい事とする価値観はある。
 
言葉や話し合いなどは無力な場合もある。良い人ばかりで世の中は成り立っていない。
いい加減気づかないと国も文化も歴史も全部無くす事になる。