海洋立国論

勉強のつもりで書いています。

もう2か月ですね。

今回の侵略も2か月を超えましたね。よく持ちこたえていますが、ここで若干のまとめとして。
 
ウクライナ公式ツイのやらかし案件》
4月1日にTwitter@Ukraineアカウントが動画を公開しました。
その動画ではファシストと戦う意思を表明しているものでしたが、そのなかでヒトラームッソリーニ昭和天皇の写真御真影というべきででない)が並べられていました。これに多くの人や日本政府も反応。在日ウクライナ人も謝罪と削除を要求しました。(詳細は略)結果、在日ウクライナ大使館は動画を一旦削除したうえで修正し謝罪しました。
 
一部の方は「がっかりした」「募金を返せ」「もう応援しない」などの意見も多く、私は皇室は愛されているんだなと再認識するとともに、少し残念な思いをしました。しかし少なくとも私はこの件について謝罪をもって終止符を打っています。
 
私がそもそもウクライナを応援する意思を明確にしているのは、何も特段ウクライナが好きな国だとか、親日だとか可哀想だなどの理由ではありません。
 
数千万の犠牲者を生んだ数々の戦争を経て、「法による秩序の維持」「力による現状変更は認めない」と言う 国際社会が規範としようとしている原則を、経済的には中流であるとはいえ安保理常任理事国で核大国であるロシアが踏みにじり数々の国際法や条約違反をおこなっていることは、ロシア、中国、北朝鮮の核保有国に囲まれている我が国にとって看過できない事態であるからにほかなりません。
 
 
《代理戦争という陰謀論
国連による集団安全保障体制を築いたものの、国家の上位組織は無いため、国際規範を無視し国際司法裁判所などで有罪になったとしても国連は強制力を行使できません。このため価値感や危機感を共有する国々でNATOのような軍事同盟による集団防衛体制を築いてきたのですが、その隙間にあるウクライナのような国々に対する力の行使を許せば、力による現状変更を認めることに他ならず、例えば中国が台湾に対して同様の行動をとる事を認めるメッセージとなりかねません。
また同様に日本が北方領土竹島に対し武力攻撃を行い奪還することも許される事になってしまい、世界は「武力」を持つ者が勝つ世紀末世界になってしまいます。
 
今回不法に侵略しているロシアに対し自国防衛の為に戦うウクライナを各国が独自の判断で支援するのはこの為であって一部の陰謀論者の言う様な「代理戦争」ではありえません。
 
またロシアはたびたび「核使用」に言及していますが、「核の恫喝」に屈しては核の拡散に繋がりかねず断じて認められません。特にG7を中心とする国々は、「国際規範に則った公正な競争と自由」を原則としていますから、この観点からもロシアの行為は許し難く、ウクライナを支援し続けるのです。
 
橋下徹氏の言う「政治的妥結論・早期降伏論」などは論外です。
 
 
《日本は例外的だった》
「早期降伏で人命が助かる」などと信じるのは、あまりにも安易で能天気であると言わざるを得ません。日本は先の戦争のあと降伏し占領統治されましたが、アメリカは占領軍として日本国民の虐殺や弾圧はしていませんし、比較的早い段階で主権回復しました。苛烈な占領統治を経験していないのです。
 
所謂戦犯に対しての処罰はしていますが、全ての将校が裁かれた訳でもなく、巨額の賠償金を直接的に支払った訳でも二等国民扱いされた訳でもありません。軍国主義を排し民主的に平和国家になることを宣言する事で主権を回復し国体護持もできました。
 
しかし通常は違います。民族弾圧は現代に至っても常識的におこなわれますし、先の戦争ではソ連が戦力を喪失した日本軍や満州国民、北方領土に対して何をしたかは忘れてはいけないでしょう。
 
アメリカは早期に日本という前線基地を利用するため、平和的な占領統治をすることで内乱を抑えました。第一次大戦後では考えられなかったことです。
 
今回のように侵略者が善人であるかのような解釈をする橋下氏の言説はあきらかに間違いと思います。
 
 
アメリカが儲かるという謎理論》
また戦争をすれば軍需産業が儲かる。
つまりアメリカが儲けるためにおこなっているという話も散見されますがこれも誤りです。
確かに世界の武器製造企業の売上トップ5はアメリカで
1位ロッキードマーティン
5位ジェネラルダイナミクス
で6位にようやくイギリスのBAEシステムズ
1~5位までの総売上額は凡そ1,834億ドル(SIPRI・2020DB)ですので一大産業ではあります。因みに7~9位は中国です。(正しい数字かどうかは疑わしい)
 
日本の防衛費は総額で500億ドル弱、そのうち4割ほどが人件費、装備調達や研究に2割ほど。アメリカの防衛産業は規模も日本とは比較になりませんが、戦争が長引けば世界経済も落ち込み実質GDPは下がります。今回アメリカは多くの資金や武器を供給していますが、儲けたいだけならリスクの高い「戦争」に武器の形で投資する理由がありません。
 
当然ですが武器生産は国家管理下で行われています。政府は独占的需要家です。競合試作に勝ち残り、武器生産の段階になれば製造企業は独占企業ですが、国際情勢の変化などで見込みどおりの発注が無く初期の開発投資を回収できない場合もありますし、富を生む「知・労働・財」などのリソースを武器生産にのみ使うため、機会ロスが生じているかもしれません。秘密を守るためのコストもかかります。実際に日本の防衛産業は儲からないのでどんどん縮小や撤退しています。
 
例えばトラクターなら穀物を効率的に作る手助けをし生産を増やしますが、武器は使う事で何かを生みだすモノではありません。しかもいつ使うか再発注があるかわかりません。また戦争はインフレを起こすなど国全体としては損をするかもしれません。
 
むしろ武器供与などで資金を使うなら、初めから資源開発や人材に投資する方がよほど合理的です。それに戦争は富を生むインフラを破壊し貿易を減少させます。
 
マクドナルドがあると戦争がおきない?》
1996年にニューヨークタイムズ紙が「金のアーチ理論」を提唱しました。これは「マクドナルドが開店した国同士ではそれ以降戦争をする事が無い」というもので、確かに暫くはその通りになっていました。
世界貿易の活性化は戦争を減らすという実証研究もありました。
しかし今回はその反例です。ウクライナ・ロシア双方にマクドはあります。平和が貿易を盛んにするのであってグローバル化や貿易・交流が盛んであっても戦争は起きうるということでしょう。グローバル化は戦争・紛争を抑制しないのかもしれませんね。
 
 
《自主防衛》
今回の侵略により所謂自主防衛論が目立ってきています。一義的には自国は自国で守るべきものであって、そうであるからこそウクライナに多くの国(主に欧米ですが)が支援しているのです。自国の防衛をないがしろにするならば、誰も手助けしてくれないのは明白で自主防衛の努力はし続けねばなりません。
 
ただし単独自主防衛を目指し在日米軍を追い出し安保破棄となるとアメリカが敵に回るうえ、ある試算によると防衛費がひとケタ上に膨れ上がり、そもそもそんなに人員もいません。米軍撤退後の空白期間も危ないですし流石にこれはありえません。単独自主防衛を提唱する人は夢でも見ているのでしょうか。
 
日本の進む道はひとつしかありません。価値観を共有する国同士で、「国際規範に則った公正な競争と自由」を守るため、日米同盟の深化と片務性の解消、英・仏・独・豪・韓などとの同盟関係の強化や新たな集団防衛の枠組み構築、装備品の共同開発、危機シナリオの策定とそれに則った防衛政策の立案と実行、関連法の整備、防衛費GDP比2%への増額(現在は当初、補正あわせて1.2%ほど)など課題は山積です。まぁ普通に経済成長してれば1%前後でもかなりな防衛費だったんですが・・・
 
なんとなくアメリカイェーイ!的な感じになりましたが、別に私は親米でも反米でもありません。ただ我が国が好きなだけです。
 
 
とにかく今はこのような不法行為をした国は負けるという事実が必要です。