北朝鮮ミサイル発射に関して
【防衛省発表・要約】
本日午前5時58分頃、北朝鮮西岸のスナンから1発の弾道ミサイルを北東方向に発射。午前6時05分頃から07分頃にかけて北海道渡島半島及び襟裳岬の上空を太平洋に向けて通過。
午前6時12分頃、襟裳岬の東約1180kmの太平洋(我が国の排他的経済水域(EEZ)外)に落下したものと推定。飛翔距離約2,700km、最高高度約550kmと推定。
グアム方面に撃てば「引くに引けない」ことになりかねず、かといって撃たなければ「ビビった」と思われ北朝鮮国内のトップの立場が悪くなる。そこで日本国土を可能な限りかわしつつ、アメリカの戦略的根拠地であるハワイ方向に撃ったのではないでしょうか。全然距離的にはハワイには届きませんし、ちょっと方向も違う。アメリカも反応に困りますね。
それにしても飛距離が短いので失敗の可能性もあります。または、燃料を減らして短くしたか・・・アメリカに近づくほどリスクが高まり北朝鮮には望ましくない。3つに分かれたという情報もありましたし。
高度550kmですから、「ミニマムエナジー」軌道で発射し再突入のデータを取得したと思われます。北朝鮮は低高度ならレーダーで追尾しセンサーデータを取得できるのではないでしょうか。それとも新型?
北朝鮮がなにもコメントしていないので詳しくは分かりません。
この件に関してメディアやネットには多くのコメントが見られましたが、そのなかには「トンデモ」なものもありましたので少し取り上げて纏めておきます。
「Jアラート関係」
改めて言いますが、被害を少しでも少なくするためのアラートです。
豪雨の時の避難勧告と同様に「万一に備えて」広範囲に警報を発します。
寝てたのに起こされたなど個人の都合は関係ありません。逃げるより寝てたかった人は兎も角、少しでも安全な場所へ身を隠したい人もいます。個人的な都合でシステム全部を批判するのはわがままでしょう。震災時の教訓を忘れたのでしょうか。
またミサイル発射の失敗などに備え広範囲にアラートを発したのです。飛行中に爆発してバラバラになるかもしれません。政府内ではどのコースに飛んだらどの範囲にアラートを流すかは想定済みのはずですので、発射後間もなくして一定の範囲にアラートを出せたのです。システムの不具合などは訓練などによって精度を上げる性質のもの。
発射直後~ブースト段階では落下点は確定していません。レーダーで軌道を追いながら軌道計算を随時おこないます。弾道頂点付近で落下点がおよそ確定。
しかし発射の確認ができたらおよその方向は分かるので「およその範囲」にアラートを発する事は正しいです。軌道が確定してからだともっと準備時間がなくなります。
「逃げられない」
いつでも避難できる場所にいる訳ではありません。そんな事、地震でも同じでしょう。緊急地震速報なんて数秒後に地震来ますよ。少しでも安全な場所へ行けるなら行きましょう。という意味です。建物ないからどうしようもないと愚痴を言っても始まりません。
「避難に意味が無い」
あります。実際にイスラエルは民間人の被害を限定しています。韓国も避難訓練しています。日本は戦後そのような事態に遭遇していなかっただけです。
「迎撃しないのか」
自衛隊には「破壊処置命令」が出されたままです。
破壊処置命令は、自衛隊法82条3の1「落下による我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため必要があると認めるとき 」となっていますので、必ず迎撃するというものではありません。
また、見送れば海に落ちるミサイルを不用意に迎撃すると場所によっては国土に破片の落下もありえます。今回の高度なら現有のSM-3BlockⅠAで迎撃がギリ可能でしょうか。
「撃たせない努力が必要だ」
今までも六か国協議、国連決議、経済制裁、日米韓首脳のコメント、ASEANなどの国際会議の場など対話の機会は多くありました。それに応じず強硬姿勢でチキンゲームを行っているのは北朝鮮側です。文句を言うならまずは北朝鮮です。勿論外交努力は続けられるべきもので放棄してはいけません。
「領空通過」
このような事態に備え、自衛隊始め多くの関係者が昼夜を問わず警戒してくれています。メディアやネットでは政府などへ文句を言う人が多いですが、警戒にあたる方々へも思いを馳せ、感謝してほしいと思います。人として。
あ、それからこういった案件の場合には地図は「メルカトル図法」では無く「正距方位図法」でみると位置関係、距離などが理解がしやすいと思います。