オレ様的夜ネタ ~平和を守るために~

山奥で農業・林業・養蜂をしつつ、安全保障・軍事について自分自身の勉強のつもりで書いています。

米国のミサイル防衛

一連の北朝鮮のミサイル騒ぎで、日本でも注目?されてきている「ミサイル防衛」ですが、同盟国の米国はどうなっているのでしょうか。

米国はソビエト連邦との「冷戦」時代を経て今に至っている訳ですし、日本の防衛も米国に大きく依存しているのは否めないので知っておく必要があると思います。

米国は多層的な防衛をしています。それは国土が広く軍事拠点にはハワイ、グアム、沖縄、横須賀、NATO関連など遠隔地もあり、またミサイル攻撃の脅威と考えている国が、イランやロシア、中国、そして北朝鮮ととても多く、その地理的距離などの条件も大きく変わるからです。

最近ニュースにもよく出てきますのでご存知の方も多い「SM-3」(スタンダードミサイル)や「PAC-3」、韓国に配備もした「THAAD」(終末高高度防衛ミサイル)

、先日実験を行ったGMD(地上配備型ミッドコース防衛)などがあります。

それぞれ特徴があり、極めて多層的なミサイル防空体制を敷いています。

また、「SM-3」は海上配備イージス艦からの運用や、ヨーロッパではルーマニアに地上配備して「イージスアショア」としての運用も行っています。ハワイ、グアム、在日米軍基地には「イージス艦配備のSM-3」と基地配備のPAC-3が対応し、本土へはこのほかの迎撃システムも対応します。

攻撃側の弾道ミサイルは、1.ブーストフェイズ(上昇段階)2.ミッドコースフェイズ(大気圏外慣性飛行段階)3.ターミナルフェイズ(終末段階)を経て目標に着弾させます。それを各種のミサイル&システムで複合的に迎撃し防衛するのです。

迎撃役割としては

GMD=ICBM大陸間弾道ミサイル)~IRBM(中距離弾道ミサイル)を、ミッドコースで迎撃する3段式のミサイル。実験の成功率は良くないようです。本土防衛用で移動できません。配備数は40発ほどで少ないです。

SM-3=現在Block1Bを配備、これを性能向上させ射高もアップしたBlock2Aという新型に更新していきます。イージス艦やイージスアショアからの運用を行います。信頼性は非常に高く配備数も非常に多いです。IRBM(中距離弾道ミサイル)以下のミサイルを中心に対応します。ブーストフェイズの最終段階くらいからミッドコースフェイズの最終段階程度まで幅広く対応します。イージスアショアはばらして再度組み立てすれば他の場所へ設置できます。因みにGoogleMapではハワイ(カウアイ島)にイージスアショア試験施設がアップされていました。

THAAD=終末段階で対応します。移動式の発射器でシステムまるごと移動可能。この段階は敵ミサイルが大気圏に再突入しており、迎撃による放射能や生物・化学兵器の拡散もあり得ますが、高度が高く拡散するうえ、爆破の熱で化学兵器などは焼却されほぼ問題無いとされています。試した人はいませんが。

PAC-3=いわゆるペトリオット。ごく狭い範囲のみの防空能力しかありませんし、SRBM(短距離弾道ミサイル)やMRBM(準中距離弾道ミサイル)の対応です。直撃させて破壊します。

さらに開発中なのが、多数の弾頭に対応する迎撃体の開発もおこなっていますし、多数目標に対しての迎撃実験も実施しています。

これらは全てセンサーノード(地上に設置したレーダー、早期警戒機、衛星など)や通信リンク、射撃管制システム、移動式発射器、電源など多くのシステムと組み合わされて運用されます。ミサイルがあっても他のシステムがなければ使えません。運用にも十分な訓練をおこない習熟する必要があります。

しかも、迎撃専門ですからいくら数があっても、拒否的抑止(やるだけムダ)のカードのひとつに過ぎません。でも米国は多大な開発費、維持費をかけて保有しています。

我が国は国内世論と近隣諸国への配慮から、すこしだけSM-3とPAC-3があるだけです。北朝鮮の脅威度が増してきた今になってTHAAD配備を検討し始めていますが、北朝鮮だけでなく中国も多数の弾道ミサイル、長距離巡航ミサイル保有し、一部の照準は日本と公言したこともあるのに、です。

ミサイルとシステムを導入するにも訓練するにも巨額の予算と時間が必要です。一足飛びに準備できる訳ではありません。我が国の現状はあまりに能天気と言わざるを得ないと思います。

今この時も世界のあちこちで戦争や紛争は絶えません。自国だけ大丈夫と信じ込み、時間を浪費するのは無責任でしかないと思います。