海洋立国論

安全保障・軍事について自分自身の勉強のつもりで書いています。

令和元年度観艦式は中止でしたが

海上自衛隊は3年ごとに「観艦式」と呼ばれるものを実施しています。

 

観艦式とは最高指揮官や君主、元首が自国海軍の艦隊を観閲するものですが、国際的に決められたルール、目的、手順がはっきりとある訳ではありません。ここでは日本を中心にしています。

 

自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣ですので、その時の総理が「観閲」します。因みに海自(海軍)なので「観艦式」ですが、航空自衛隊の場合は「航空観閲式」、陸上自衛隊は「観閲式」と言います。

 

どこの国も海軍は軍であると同時に外交的な任務も帯びていますので、他国艦艇の招待をおこない、防衛交流の促進を図ったりもします。友好国各国の海軍を招くのですが今年は中国海軍も招待しました。(令和元年度に参加する外国艦艇は米国、英国、カナダ、オーストラリア、インド、シンガポール、中国の7カ国・11隻)

 

関係悪化が続く韓国海軍は招待していませんが仕方が無いでしょう。韓国で実施された「国際観艦式」に招待された海自の艦艇に対し入港時には「旭日旗」を下げよという国際ルールを無視した要請をしたことや、海自の哨戒機P-1への射撃管制レーダー照射などもありましたからね。因みに中国は海自艦艇の入港の際に「旭日旗が~」とは言いません。

 

中国の参加は今年4月に中国・青島港で実施された「国際観艦式」に海自の「すずつき」が参加したことに対する返礼でもあり政府間の合意によるもので、052D型新鋭ミサイル駆逐艦「太原」が寄港しました。

初めて海自の観艦式に1隻とはいえ新鋭艦を派遣するのは緊張緩和の意志を国際的にアピールする目的があったのかもしれません。「太源」は台風被害の被災者を思いやるメッセージを書いた大きな横断幕を船に掲示してくれました。

「太源」は中国人民解放軍海軍の3大艦隊のひとつ東海艦隊の所属で、本拠地は浙江省寧波、東シナ海や台湾を活動範囲としています。尖閣有事、台湾海峡有事においては砲火を交える相手かもしれませんが、誤認による不測の事態を避けるためには 、現場レベルでの交流は偶発的な事態発生を避けるため必要な努力です。

 

海自艦艇は他の多くの国の観艦式などにも参加しています。英米豪などはもちろんインドネシア、インド、タイ、マレーシア、中国、ロシア・・・やはり海軍は外交官なのです。

 

海自は昭和32年1957初の観艦式を実施してから29回目。最初の頃は毎年実施でしたが昭和50年(1975)からは特別な行事として実施、平成8年(1996)以降は現在のような持ち回りになりました。

 

部隊の士気を高揚させ、装備や練度をアピールする、国民の理解促進など目的は多様ですが、最近の海自の活動はリクルートにも主眼をおいているようです。海自は定員の充足率が90%程度で常時人員不足気味。周辺海域の緊張は増すのに伴い艦艇数は増加しているのに厳しい艦隊勤務の人員は増えない。浮世と離れて海上で暮らすことが多くなる艦艇での勤務は若者には厳しいのでしょうか。海外派遣になると長期ですしね。でも海自はメシが上手いのが自慢だし、手当も多くつくので悪く無いと思うのですが。

 

海自の観艦式は「移動式」と呼ばれるもので相模湾で航行をしながら実施される高い練度が必要な艦隊航行です。多くの国では「停泊式」が採用されています。

 

令和元年度の観艦式を壮大に行う予定でしたが、残念ながら台風19号に対応するため中止になりました。それに伴って護衛艦の体験乗艦も中止。

メインイベントは中止となりましたが、観艦式まえにはフリートウィーク(今回は10/5-14)と称したいくつものイベントが実施されました。

観艦式の抽選倍率は50倍以上ともいわれますがいつかは抽選があたると信じて楽しみにしています

結果的にこの観艦式を中止にしたのは正しかったと思います。災害派遣陸自が中心にはなりますが、海自も捜索・救難で必要な場合が多く、特にヘリコプター搭載護衛艦の「かが」や「いずも」などは大きな役割を果たします。統合任務部隊まで編成された今回の台風19号では海自艦艇が8隻投入され被災者支援にあたりました。

 

さて、我が国初の観艦式は明治元年1868)大阪天保山での「軍艦叡覧」で、統帥権を持つ明治天皇の観閲を受け、その後戦前まで18回実施。凱旋や演習、即位の大礼など名目はさまざまでした。

帝国海軍は明治30年(1897ビクトリア女王即位60年記念など英国にも何度も派遣しています。

海軍カレーの源流は英国との説もあったり、日本海海戦でロシアのバルチック艦隊と交戦した東郷平八郎元帥の乗艦する「三笠」は英国で建造されるなど、昔から英国海軍とは特に縁が深いのですね。