オレ様的夜ネタ ~平和を守るために~

安全保障・軍事について自分自身の勉強のつもりで書いています。

中国軍用機と妨害弾

12月10日 中国軍用機が宮古海峡上空を飛行しました。防衛省資料によると、中国国防部は「中国空軍航空機が、宮古海峡空域を経て西太平洋における定例の遠海訓練に赴いたところ、日本自衛隊が2機のF-15戦闘機を出動させ、中国側航空機に対し、近距離での妨害を行うとともに妨害弾を発射し中国側航空機と人員の安全を脅かした」と発表しています。

この事案からいくつか考察してみたいと思います。

まず飛行ルートですが、防衛省の資料を画像としてアップしましたのでご覧ください。

沖縄本島宮古島の間を飛行しています。
ここは「防空識別圏ADIZ)」であって領空ではありません。ADIZは各国が独自に設定している空域であり領空に近づく航空機を判別する範囲を明示したものです。
この空域を飛行すること自体は基本的には問題はありませんが、通常はこのADIZを飛行する場合には偶発的な事態を避けるため、事前に通告(飛行計画の提出)がおこなわれるものです。

自衛隊は24時間体制でレーダーなどによる監視を行っており、この通告が無い場合は、識別を求めたり場合によってはスクランブル(自衛隊の場合はF-15戦闘機による緊急発進をおこないます)を判断します。
そして識別を行います。領空侵犯に対しては自衛隊法に基づき「領空侵犯処置」をおこなうこととされています。

中国の目的は一体なんでしょうか。通告無く頻繁にADIZを飛行しスクランブルを誘発させ緊張を高める行為の必要性はなんなのでしょうか。

今回飛行したのは、Su-30戦闘機2機 H-6爆撃機2機 TU-154情報収集機1機 Y-8情報収集機1機です。

最大の目的は情報収集です。現代は電波の戦いです。
情報収集機によってレーダー能力や周波数、通信情報、などの情報を収集したと考えられます。
またH-6爆撃機と護衛のSu-30戦闘機の組み合わせは、威嚇・示威行為であり沖縄などへの攻撃訓練の意味もあるかもしれません。両機は長大な航続距離を持ち(Su-30は3,000km、H-6は6,000km)空中給油しなくても沖縄は攻撃範囲に含まれます。

当日は沖縄で「航空祭」が開催されていました。航空自衛隊那覇基地は、官民共用空港(那覇空港)であり、民間人の多数集まっている状況での対応能力がどのくらいあるのかを見極めるつもりでもあったでしょう。

さて、今回相手国の発表によると自衛隊機(F-15J)が妨害弾を発射したとのこと。これはどういう意味でしょうか。

妨害弾というのはおそらく「フレアー」かと思われます。
防衛省の発表では「本件に関し対領空侵犯措置を実施したF-15戦闘機は、中国軍用機の状況の確認及び行動の監視を国際法及び自衛隊法に基づく厳格な手続きに従って行ったところであり、中国軍用機に対し、近距離で妨害を行った事実はなく、妨害弾を発射し中国軍用機とその人員の安全を脅かしたという事実も一切ありません。 」となっています。

つまり「近距離ではなく人員の安全を脅かしてはいない」が、「遠距離で人員に危害を加えない程度の妨害弾は発射している」とも解釈できます。

そもそも「フレアー」とは赤外線探知ミサイル(ジェット機の熱を追尾)に追尾された場合に、ミサイルのシーカー(いわゆる赤外線センサー)を欺瞞するため発射する物体です。
発射後すぐに高温で燃焼しますがすぐに消えてしまいます。
目の前で発射したなら兎も角、攻撃兵器ではないため危険はありません。

自衛隊機が発射したのはもしかしたら、Su-30などによる「ロックオン」があり、F-15の自己防衛装置がレーダー電波を逆探知、レーダー追尾ミサイルなら回避機動しますが、赤外線ミサイルの場合はレーダー電波を出さない為探知できず、パイロットが予防的にフレア―を発射したとも考えられます。しかし実際に撃たれていたら「撃墜」されることはほぼ確実です。

ミサイルは年々性能が向上し「先手」を取らない場合はまず撃墜されることになります。自衛隊は「先制攻撃」を行わないと値踏みされていますので、相手のされるがままとなります。日々警戒に当たっていただいている隊員の皆様のことを思うと胸を締め付けられる思いです。

中国側からするとこんなシナリオも描いていたかもしれません。「ロックオンで自衛隊機がミサイル攻撃されたと解釈し、反撃のつもりでパイロットが慌てて攻撃する。それを理由に国際社会へ日本の不当性を訴え、この地域を係争地にして紛争・軍事衝突に持ち込む。
オバマ大統領は弱腰であるうえ、トランプ次期大統領は日本の味方をせず、自主防衛すべきとの姿勢をとって静観を決め込む。そうすれば日米安保発動は無く、中国有利にコトがすすむ」ま、さすがに中国はこのシナリオには、ほとんど期待していないでしょうが。

戦争の火種はこのような小さなものや偶発的な衝突から始まるものです。「サラエボ事件(WWⅠ)盧溝橋事件(WWⅡ)義和団事件日露戦争)など、最初は規模の小さなものから始まっています。

このような事態を防ぐため、政府間で交渉中の日中間海空連絡メカニズムの構築が急がれますが、かなり難航(ほぼ停滞)しています。理由は「南シナ海問題で(日本が)根拠のない攻撃を繰り広げていることが悪影響を与えている 」と中国は言っていますが・・・どの口が言うのか・・・

このような現状の中、交戦権の放棄ははたして我が国、国民の安全に寄与しているのかどうなのか。しっかりと見極めねばなりません。

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