海洋立国論

安全保障・軍事について自分自身の勉強のつもりで書いています。

自衛隊の任務

自衛隊には実に多くの任務が課せられています。意外とうろ覚えだったりするので纏めておきたいと思います。

 

カリアゲ君の先軍政治の国と異なり、我が国は民主的手続きで選ばれた文民である国会(議員)が予算と法律を、国会が指名した内閣総理大臣防衛大臣自衛隊の行動を指揮していますし、重要事項は国家安全保障会議で議論します。一部の行動については国会の承認(事後・事前)を得ることが必要です。自衛隊の役割は法律「自衛隊法(略称:隊法)」によって規定されており、当然これを逸脱する事はできません。

 

自衛隊法3条1項

自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。」

とあり、第六章には「自衛隊の行動」として76条~86条で詳細に規定されています。

 

まずは3条1項にあるように

 

【主となる任務】=我が国の防衛をすること

【従となる任務】=必要に応じ公共の秩序維持にあたること(必要に応じとは、一義的には警察機構が担い、能力が不足する場合には自衛隊が補完的役割を果たす)

 

これらを、「本来任務」と呼んでいます。

 

【主となる任務】

・防衛出動

・防衛出動下令前の展開予定地域に防御施設の構築

・防衛出動下令前の行動関連処置(米軍への物品提供や役務の提供)

【従たる任務】

・国民保護等派遣

・治安出動(命令/要請)

・治安出動前の情報収集

海上保安庁の統制

・施設警護(自衛隊施設、在日米軍基地)

・海賊対処

海上警備行動

弾道ミサイル破壊処置

災害派遣

地震防災派遣

原子力災害派遣

・領空侵犯処置

・機雷除去

・在外邦人の保護・輸送 

などがあります。

 

弾道ミサイル破壊処置

北朝鮮のみならず、弾道ミサイル技術の世界的拡散は我が国の安全にとり脅威です。中国、ロシア、韓国なども我が国に到達する弾道ミサイル保有しています。そのためこれらに対処する為にイージスシステム搭載護衛艦PAC-3、レーダー網の整備を進めてきました。

武力攻撃となるなら「防衛出動」で対処可能ですが、突然ミサイル発射があった場合やその兆候が認められる場合、その段階では我が国に対する「侵略」「急迫不正の侵害」に当たるかどうかはわかりません。また、人工衛星や打ち上げ用ロケットの落下など「武力攻撃」でないものが落下してくるかもわかりません。それらに備えるための任務です。

これをさらに重層的かつ強固にしようとするものが「イージスアショア」です。(個人的にはレーダーをSPY-6を採用せず、LMSSRを採用したのには不満がありますが、アメリカの都合もあるんでしょうし政治的なものもあるようです。)

 

〇在外邦人輸送

在外邦人の輸送は以前は「付随的任務」だったのですが、「本来任務」に格上げされています。輸送方法は基本的には政府専用機(空自が運用)ですが、使用中であったり、滑走路が足りない、収容人員が不足するなどの場合に備えて、艦載ヘリコプターやC-130Hなどの輸送機、場合によっては車両も使えます。数度の改正で輸送手段は柔軟になってきています。

護衛艦ならば艦載ヘリでピストン輸送する事が可能です。特に大型の「ひゅうが型」「いずも型」などは、同時運用できるヘリも多く、収容場所、医療設備もあって適切な邦人救出ができるようになっています。

ただし、保護した人員や自衛隊員の安全確保のため、派遣する空港などの設備・管制などの安全確保がなされている事が条件です。

 自論ではありますが、政府専用機は数を増やす必要があると考えています。総理と外相、財務大臣などが別々に行動する時などもあるでしょう。その際に民間機では・・・政務に支障がでませんか?

また第3条2項には1項の任務遂行に支障をきたさない限度での任務として、

「後方支援活動」があります。

一口に後方支援と言っても多様で、重要影響事態、国際緊急援助活動、国際平和協力業務、国際平和支援、などのそれぞれの法律に基づきます。

 

例えば84条5項-3には、国連平和維持活動で、大規模災害時に活動する他国軍隊に対して物品の提供を行えますが、相手国は「アメリカ・オーストラリア・イギリス」の軍隊に制限されています。

100条6項、8項、10項には「米・英・豪」の3か国に対する後方支援活動についてそれぞれ規定しています。

 日米英豪の連携は夢のよう

先の大戦ではこの三か国相手に戦争し、悲惨なガダルカナル島争奪戦は、米豪の連絡を遮断する目的で行われました。米軍は輸送船を容赦なく沈め、日本軍は兵糧攻めになり餓死者が戦死者を上回る戦いでした。

開戦劈頭、日本海軍は航空機で英の新鋭戦艦「プリンスオブウェールズ」をマレー沖海戦で沈めました。これは作戦行動中の戦艦を航空攻撃のみで沈めた世界初の出来事で、当時のチャーチル首相がかなりキレたそうですね。

時代は変わりました。そう考えると感慨深いものがあります。

日米同盟の深化と最近ではイギリスとの防衛協力もかなり進んでいます。日英同盟の復活はなかなかあり得ないですが。

 

【付随的な業務】

これには意外なものもあります。

・土木工事受託

・教育訓練受託

・運動会への協力(大きな大会など)

・南極地域観測への協力(砕氷船しらせ)

国賓輸送

・不発弾処理 

 

余談ですが、「しらせ」を防衛省では砕氷艦文科省では南極観測船と呼称しています。建造費は文科省、運用・船籍は海自。当然軍艦旗を掲揚しており、国際法上は軍艦です。ただし固定武装はありません。

 

国賓輸送は以下の人が指定されています。

天皇と皇族 ・国賓に準ずる賓客 ・衆参両院議長 ・最高裁長官 ・内閣総理大臣 ・国務大臣 です。

陸上自衛隊ではEC-225LP 通称:スーパーピューマを3機購入、搭乗人数を減らして改装しローテーション運用し要人輸送に使用しているそうです。要人輸送用なのでさぞかし内装は豪華だろうな・・・見てみたいものです。映画シン・ゴジラではゴジラの光線で閣僚もろとも破壊されました。ショッキングなシーンでした・・・優柔不断だった総理(大杉連)が決断力を見せてきた頃だったのに・・・

 

もうね・・・ただでさえ人員不足なんです。予算はあまり増えない。人も増えない。中露韓朝など周辺国は友好国では無いため、陸自の南西諸島への駐屯地の進出、イージスアショアの設置、FFMと呼ぶフリゲート護衛艦の数も、他国との演習や任務もどんどん増える。

災害派遣を要請する場合、地方自治体の首長が「災害派遣」を防衛大臣に要請できるが、自治体は自衛隊募集に協力的でない・・・自衛隊員は降って湧いてくる訳ではないですよ。いざとなったら海外の邦人救出もするのに、基地周辺には「自衛隊No」なんて看板たてたり、ミサイルは怖いくせにイージスアショアは嫌だとか・・・

 

勝手じゃないですか?いつも書きますが自衛隊を国民が支える事は国民自らの安全を高める事です。  と・・・最後に愚痴を。(^_^;)

 

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スーパーピューマ

写真引用元:陸上自衛隊HP Googleフォトより。

防衛産業は経済に貢献するか

安全保障は国家の義務

国の所得=消費+民間投資+政府支出+純輸出 が基本で 、防衛費は政府支出ですが、この政府支出が「公共投資」であるなら、インフラ整備などに使われたりしますので、民間投資を呼びこみ再生産する活きたお金になります。それによって新たな産業も起こりますし、道路なら輸送の効率化が進み、新商品を開発し消費を喚起し企業収益に貢献しますし、教育なら優秀な人材育成に繋がり、財の創出に貢献するでしょう。結果的に国を富ませることになります。それとは異なり防衛予算は再生産されないお金が殆どです。弾薬に至ってはボカン!で終わりです。例えばいくら高性能な護衛艦でもフェリーやタンカーのようにヒト・モノの輸送に使えません。民間船を守るために使うので間接的で、護衛艦の運用そのものは財を生みません。また、民生用の生産に使えたはずのヒト・モノを使うので、再生産しないものに民間リソースを使うことになります。

国内の軍需産業は儲かるのか

軍事関連産業は儲かるじゃないかとの意見が聞こえそうですが、先だって「コマツ」が軽装甲機動車から撤退したように、そのままを市販できません。生産数が計画で決められ量産効果も出ず、不備があった場合の負担、実践での損失もおきないので増産も無く・・・儲からないので、政府は高値で買うことになります。これすなわち税金です。

このように兵器等の国内需要が限られているので、企業が儲ける為には「世界標準仕様」や「相手先仕様」の派生型などを作るなりして海外輸出する事ができればいいのでしょうが、従来あった「武器輸出三原則」は実質的に武器輸出を禁じており、この縛りが長く続いた結果、兵器市場での競争力、ノウハウを全く持たない我が国の防衛産業が、輸出条件を大きく緩和した「防衛装備品三原則」になったからといて、バンバン輸出ができるほど甘くありません。そのうえ武器の輸出に積極的になると、「死の商人」などの悪いイメージが生まれることによる企業イメージの悪化もあるためか、企業側もあまり大型の案件での売り込みに消極的なようです。競争力の強い自動車や半導体などは長い期間、苦労を積み重ねてきたのですから。

平和の配当

このように企業にとっては儲けが出にくいうえ、限りある国家予算から、防衛費を増やせば政府支出としての民間への公共投資が減るので、(危機があって不景気という場合以外は)政策として「国家予算のうち軍事支出が占める割合の増大」は得策ではなく、政府としては防衛費は抑えるべきもの。また憲法上は、自衛の範囲に留まる防衛力整備に制限されている事もあって防衛予算の伸びは抑制する力が働きます。長期安定政権である安倍政権でさえ、北朝鮮・中国の脅威がこれほど高まっていても、増額はしてもGDP比1%を超える事はできていません。

武器生産を拡大することは、企業の生産能力を再生産しないモノの生産の為に奪うことになりますので「軍事予算の急激な拡大」はヒト・モノ両面で「財」の喪失を発生させることになりかねません。 

一般的に軍事費削減に対する民間部門の拡大は『平和の配当』と言われます。事実、日本は「日米安全保障条約」によって、軽い防衛費で済ますことでそのお金を民生部門に回し経済成長を遂げてきました。

 機会費用

軍事費(防衛費)に多額の投資をすると経済活性化するなんて話は、数字を見る限りでは第二次世界大戦朝鮮戦争までのようです。朝鮮特需なんてのもありました。

脅威や戦争が無ければもっと豊かになるために使うことができた財を、武器弾薬、戦後復旧に使う事になります。一次的には武器等の生産や破壊された町などの復旧に使うため、政府支出が増えて経済が回るから、戦争中より豊かな感じはするでしょう。

でも戦争がなくそもそも破壊されていなければ家を建て直すこともなく、新車や洋服に消費できるのだから、戦争や脅威がなければ最終的にはこちらのほうが利益が多いと考えられます。本来つかうことができた財を使う事ができなかったことで「機会費用」がかかります。

戦争の場合 -1から0に戻すことで、1の増 =実質0

戦争がない 0から1増える 1の増加 =実質1

人も同じで、ある人が戦死した場合は、その人が生きていたら生みだしたはずの「財」を失うので同じです。見えないだけです。

あくまで理想論としては「防衛にお金を使うくらいなら福祉に!公共投資に!」と言うのはここまでは否定できません。

 

 

防衛費用の必要性

 防衛産業はすそ野が広く、正面装備品(護衛艦とか潜水艦とか)を国産化することは、大型の案件なら数千の企業が関わりますので、経済に全く貢献しない訳ではありませんし、機密保持も比較的容易です。安易な防衛装備品の輸入は財の流出に繋がります。自衛隊員の人材育成・教育・訓練や福利厚生、棒給を向上させることは、士気の向上に繋がるでしょうし、優秀な人材確保に繋がります。防衛研究開発は民生利用に転用できるものも多く、勿論全てではありませんが、日本の防衛研究はその研究結果を公表し民生利用を促しています。また、防衛装備品の海外依存は、「安全の質」を海外に依存することになりますので、リスクも負いますし、日本独自に要求される性能・能力もあります。ここは見極めが大事です。

中国・韓国・北朝鮮・ロシアなどの脅威も高く、太平洋の防波堤の位置にあり、また、「日米安全保障条約」を中心とした従来の軽い防衛力整備はアメリカの国力の低下に伴い、責任分担を求められつつあります。中露の領空領海侵犯、北朝鮮の核、韓国の姿勢、尖閣竹島北方領土問題、シーレーン防衛など国家に関わる諸問題には一義的に自国で対処するのが当然です。日米安保体制はアメリカの都合もあって強固な同盟とは言えますが、神聖視すべきではありません。

 

 

安全の度合いは定量的に測れるものではありません。見方を変えれば「高い防衛力があればこそ安心があり、安定的な経済活動が維持できる」のだとすれば、安易に防衛力を低下させることはかえって機会費用がかかることにもなるかもしれませんし、確かにある種の公共投資とも言えるかもしれません。

世界や周辺国の様子を見ると、とても丸腰ではいられませんが、かといって安易に防衛に費やす訳にもいかないのが「防衛費」。どこまでコストをかければ良いのか、国内開発・生産の比率はどれくらいが適切か、海外調達はどの分野で規模はどれぐらいが良いのか、コストに見合った防衛力を維持しているか、判断が難しい。

 

トレンドは国際共同開発

因みに防衛装備品は昔と異なり、高度な技術力と高額な開発コストが必要となり、アメリカでさえも単独開発よりも国際共同開発に移行しているものも多くあります。最新鋭ステルス戦闘機F-35もそうです。その為の「防衛装備品三原則」なんです。

F-2戦闘機、F-15戦闘機の退役を控えての後継機の問題もあります。「自国開発」「共同開発」「輸入」それぞれ一長一短。輸出案件では飛行艇US-2、そうりゅう型潜水艦、P-1対潜哨戒機などの大型案件の動きに注目したいと思います。

 

平和ボケ

日本が「平和憲法だ!」とか「専守防衛だ!」とか内に籠って議論してるうちに、世界の潮流からドンドン取り残されています。結局損をするのは自分自身(日本国民)です。コスト高の武器を揃えるので数は揃わない、コストがかかるのでその分民生部門の政府支出が目減りする。丸腰になってなにかあっても丸焼けにされる根性も無い。でも米軍基地はヤダと言う。

憲法前文の一部「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して~」その結果、どこも同様な憲法を採択していないし、世界中どこかで戦争は続いているんですけどね。その現実を見据えての議論が欲しいものです。

航空自衛隊【小松基地】に行ってきた

先日、小松基地へ行ってきました。

石川県小松市にある小松空港には、航空自衛隊小松基地があります。日本海側唯一の航空基地で、「対領空侵犯処置」という国籍不明機(まぁ中露)への対応を任務としています。 

そのため、沖縄を除くと唯一F-15戦闘機を装備した2つの飛行隊のほか、アグレッサーと呼ばれる「飛行教導隊」があります。
飛行教導隊は、熟練の搭乗員によって構成され、専技研究や飛行訓練指導などを行う舞台です。訓練では「敵役」を担いますので、識別のため通常のF-15とは異なる目立つカラーリングをしています。
(今回撮影した写真でもカラーリングの派手な機体はアグレッサーです。)

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F-15

全力で上昇するさまは、とても力強くあり、日々昼夜を問わずおこなわれる厳しい訓練と命がけの任務にただ感謝です。

近年、中国・ロシアの領空侵犯対応が極めて多くなっており、スクランブルが激増しています。
名機とは言え、飛行時間の増加で老朽化が進むF-15。更新を急がなければ、任務にも支障をきたすでしょうし、搭乗員の安全も確保できなくなります。

 

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上昇中



空港の前には「石川県立航空プラザ」があり、子供も楽しめるようになっていますし。往年の空自機の展示もあります。

私の訪問時には、幼稚園児が走り回っていました。(^◇^)

F-104JやT-2など懐かしがコクピット内まで見ることができます。

入館無料。飛行機も近くで見られますしお土産グッズもなかなかの品ぞろえ。


お勧めですよ。

 

因みに私の撮影技術(&カメラ)ではこれが限界でした・・・

2~3人スティンガーかよ!みたいなレンズで撮影している人もいましたが、いい写真撮るんでしょうねぇ。

しかし、F-15は頻繁に離陸&着陸してるんですが、その間に民間機の離発着が無かったのは残念でした。

徴兵制はあるのか

時折、議論になる徴兵制。

平和安全保障法制の審議の時も「戦争になる」→「徴兵制が復活する」と野党の皆さんが騒いでいましたね。我が国で徴兵制はありうるのかをちょっと考えてみました。

 

1.徴兵制は違憲である

この話は有名ですね。

憲法十八条には、『何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。』とあります。

これに対する政府答弁と解釈

92回国会(昭和55年・衆議院鈴木善幸内閣)では、「平時であると有事であるとを問わず、憲法十三条、第十八条などの規定の趣旨からみて、許容されるものではないと考える。」(抜粋)であり、その後の、94回国会で再度の質問が出た時も「徴兵制度を違憲とする論拠の一つとして憲法第十八条を引用する従来の政府の解釈を変更することは考えていない。」です。その後も政府解釈は変更されていません。

あくまで解釈であって、明示的に「徴兵の禁止」とか「兵役の義務」ともどちらも書いていないので、自衛権の話と同じで、やっぱり日本国憲法って穴だらけです。

これは「徴兵は政府解釈次第で変わりうる」ですが、解釈変更のハードルは高いでしょう。

もうこれで終わりでもいいんですが、それではあっけないので他の要素も考えます。

 

2.先進国は志願制が主流である

冷戦時にはNATO諸国など多くが徴兵制でした。しかし冷戦崩壊後、ソ連の脅威が減じた結果、「徴兵制」は欧米各国で「停止」されてきました。一例を列挙します。

イギリス(1960)

アメリカ(1973)

オランダ(1996)

フランス(2002)

イタリア(2005)

ドイツ(2011)          ※( )内は停止した年

あくまで停止であって、憲法基本法)には徴兵が記載されているものの、法律によって徴兵をおこなっていないだけの国も多く、法改正で容易に徴兵制になる可能性があります。冷戦崩壊後に脅威が減じたため、徴兵を一旦停止しただけで、これをもって「志願制」がトレンドであるとは言えません。テロの脅威が高まったこともあり、ドイツ・フランスは徴兵制復活の議論があります。

 

リトアニア』・・・2008年に停止しましたが2015年に復活。

スウェーデン』・・・2010年に停止。2018年に男女とも徴兵が復活。   (男女平等社会とはこんな一面も?)

ノルウェー』・・・いまも徴兵制。ノーベル平和賞を授与する国ですけど。)

『スイス』・・・国民皆兵で、予備役のあいだは各家庭に自動小銃が常備してたり。永世中立ですけど)

『中国』・・・徴兵制。でもほぼ志願兵のみで人員を賄えるので、実際の徴兵はほぼ無いそうです。国民の数が半端ないですからこんな事ができるのでしょう。ただし「有事」の際は多くが徴兵されるでしょうし、拒否なんてできないでしょうけど。

 

福祉国家は相対的に徴兵制がありがち。徴兵制は人件費を抑えるので、人件費を福祉に回せるのでしょう。

 

3.経済面で考える。

  国家には富を生むための2つのリソース(物理リソースと労働リソース)がありますが徴兵制は強制的に兵役に就かせることになり、企業の人材を強制的に「軍」へ奪い、その結果、生産労働者が減るので企業収益力は落ちます。

さらに従軍期間中は、好きな買い物もしにくく、旅行にも行きにくくなるので、個人消費が落ち込みます。

また、どんな才能を持っていても、「兵隊」さんで一律の職に就くわけですから、分配が非効率になり、人的資本が経済的に有効に利用されなくなり、適材適所ができないので、国が持つ人材という労働リソースの振り分けがアンバランスになります。特に徴兵される若い世代の能力を活かせないのは損失以外の何物でもないでしょう。

これも政策的には得策とは言えません。

また、「従軍」を労働市場のように考えると、予算が同じなら徴兵制と志願制では以下の通りと考えられます。

▲徴兵制

  低い給料で必要な人数だけ兵士にでき、一人当たりの人件費は抑制できる。

   →労働単価は安い

▲志願制

   待遇(給料)が良ければ志願する人も増えるが、民間との競争になるため、

   一人当たりの人件費は増える。→労働単価が高い

 

これを元にざっくり比較してみると・・・(米ドル)

 

▲日本(志願制 ・GDP4.9兆・GDP比0.95% )

 自衛隊員数 250,000人 予算454億ドル(2017)一人当たり181,600ドル

 

▲韓国(徴兵制・ GDP1.5兆・GDP比2.55%)

  兵員数 640,000人 予算392億ドル(2017) 一人当たり61,250ドル

 ストックホルム国際平和研究所(2017)発表をもとに計算

 

やはり志願制は単純計算では人件費が高いですね。

ただ、韓国は北朝鮮と戦争中であり、国家予算、人口が日本よりもかなり小さいのにこれほどの『予算』を支出しているので、物凄く経済を圧迫しています。 

 

安全=売上、軍=産業 と考えると、売り上げをあげる方法はおおきく2つでしょう。

労働集約型にする => 兵士・増 => 低い生産性、人件費・増

資本集約型にする => 設備投資・増 => 人件費・低、維持コスト・増

ではないかと思います。

 

資本集約型の『軍』なら人件費を抑え、設備投資でロボット化、AI化を進めることが、高い能力を持つ『軍』を構成できますので、最新鋭装備の導入は徴兵制を避けつつ、安全を高める為に合理的。

 

1~3を纏めて考えると、現在の日本では徴兵制は、ナシだと思います。

 (正面装備品についての合理性は次回)

 

 

 

 

 

 

 

日本と韓国(朝鮮戦争―2)

2か月ほど前(2019/12/3)に、日本と韓国(朝鮮戦争-1)として、朝鮮戦争時の後方支援として日本の役割について書きました。主に「特別掃海隊」の事を書いたのですが、今回は海上輸送について纏めようと思います。(大まかな流れは前回に書いたので割愛します。)

 

終戦後から朝鮮戦争前までの状況

それまでの日本では戦時統制の「国家総動員法」「海運統制令」などによって船舶管理は「船舶運営会」が一元的におこなっていました。

占領後にGHQ連合国軍最高司令官総司令部)は船舶の移動を禁止しました。その後GHQが「日本商船管理局」を組織し、その下部組織として「船舶運営会」が存続されました。「船舶運営会」は「復員」「捕虜の送還」「復興資材の輸送」などを担うことになったのですが、戦争によって輸送船等がほぼ壊滅的被害を受けた日本には、十分な船舶がありませんでした。そこでアメリカから借りることになったのです。武装を取り外した輸送船、LST(戦車揚陸艦)などを改装し日本人船員の手によって運航されました。

1950年4月1日に戦時統制下で船舶の一元管理をしていた「船舶運営会」は「商船管理委員会」と名称を変更し、アメリカから「復員や物資輸送」の為に貸与されていた輸送船、LST(戦車揚陸艦)などはそのまま管理下に残されました。

朝鮮戦争勃発前において連合国側の主力であるアメリカは太平洋戦争以降、軍備を縮小しており、輸送船についても同様でした。これは政府支出を抑制し民間部門の拡大をおこなう必要があるからでした。(平和の配当と呼ばれます)

 

朝鮮戦争勃発

 6/25の開戦以降、北朝鮮軍の猛攻によって韓国軍は敗走を続け、あっという間に首都ソウルが陥落(6/28)、どんどんと南進するのを傍観している訳にはいかないため、急きょトルーマン米大統領マッカーサーに出撃を許可します。

そのため「日本商船管理局」は日本人乗員の船舶に戦闘部隊と戦車などを積載し海上輸送を行わせました。貸与されたLST、商船、客船、貨物船。多数の艦船が動員され、米軍の兵士や武器弾薬の輸送は勿論、韓国避難民の輸送までおこなっています。韓国の沿岸地形や港湾に詳しい日本人船長は高い評価を受けました。船舶の乗員だけではありません。港湾荷役作業にも多くが従事して北朝鮮軍の侵攻を裏方として支えました。

 

多くの日本人が働いた

朝鮮戦争のターニングポイントとなった「仁川上陸作戦」は、日本人運用の多数のLST、米軍指揮下に組み込まれた商船が運用され、同じく「元山上陸作戦」などでも港湾の荷役作業に多くの日本人が働きました。船舶だけでも2000名以上、荷役等も含めると人員は8000名以上となります。戦争期間中に機雷によって沈没する艦船もあり、荷役作業中の死亡事故もあわせて50名以上が死亡しています。傭船された船には、「日本丸」「海王丸」もあったようです。

 

タテマエによって消えた事実

タテマエとしては「GHQと民間企業との契約行為であるため政府は関与していない」となっていますが、占領下で政府に拒否できる訳もありません。しかし、このタテマエのため公式記録はほとんど残っていません。中曽根内閣時にも国会で質問がなされていますが、「確認しえない」のほぼ一点張りです。

 

すでにおこなっていた後方支援

当時は占領下であって特殊な事情のなかで行われた行為ですが、立派な「後方支援」です。ある意味では「平和安全保障法制」が成立するずっと以前に既に日本は米軍(国連軍)と一体となって「後方支援」をおこなっているとも言えますが、同時に不法入国する韓国人も激増すると予想した政府は、対策を島根県に要請していたり、九州各地や広島県呉(軍港)での空襲を警戒し対策を練っています。「後方支援」といってもリスクを負うことになります。

 

それでも支援した日本

占領下でGHQには逆らえない状況だったとはいえ、これだけ韓国の支援の為に働いた事実、その後の「日韓請求権経済協力協定(無償3億ドル、有償2億ドル、民間借款3億ドル合計8億ドル」「1970年代の円借款と無償資金協力(ソウル地下鉄建設、ソウル大学機材支援供)」「1983年円借款(7年40億ドル)」「1997年アジア通貨危機の際、IMF国際通貨基金)を通じて100億ドルの支援」などをおこなってきました。すべて日本国民の税金で賄われているわけですし、請求権協定時には外貨準備の大半がもっていかれたのです。

その見返りと言えば、一方的な李承晩ラインの設定による竹島の占拠、それに伴い日本漁民4000人の逮捕、8名の死者。近年では潜水艦に「安重根伊藤博文の暗殺を実行)」ドック型輸送艦に「独島(竹島の韓国名)」と名付ける、旭日旗問題・慰安婦像・徴用工判決・射撃管制レーダー照射・・・他にも日本がイージス艦を配備したら同様にイージス艦を持ち、空母保有の議論も出てきています。仮想敵国を日本としている情報も常々出てきます。保有しているミサイルの一部は日本を射程圏内に収めています。GDPが日本の1/3ながら軍事費は同じ程度で武器輸出は年々増加し30億ドル以上。

このような現状を考えると、一部の日本人が感情的になって怒るのは理解できますが、それでも冷静に国際法やルールに則って合理的に粛々と対応すべきだと思います。隣国であるというだけでは妥協する理由にはならないし、かといって感情論が先行しては世界の全体像を見失いかねず、限られた軍事的・外交的リソースの振り分けを誤ると、国益を損ねるのではないでしょうか。

防衛計画の大綱と中期防とレーダー照射

昨年12月「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱」と、「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)について」が閣議決定されました。また、タイムリー?な事に韓国海軍がやらかしたので、それとリンクさせつつ。

 

「防衛計画の大綱」とは・・・

概ね10年を目安に閣議決定された「国家安全保障戦略」(外交・安保の指針)を元に、防衛の基本方針や自衛隊に関する方針などを策定したもので、こちらも概ね10年を目安にしていますが、状況に応じて見直されます。実際に前回は平成25年12月17日に閣議決定されましたが、これを平成30年で廃止することになりました。改定のペースが速いのはそれだけ安全保障環境の変化のペースが速いという事ですね。

 「中期防衛力整備計画」とは・・・

「大綱」を具体化するために向こう5年間の防衛力整備計画をまとめたもの。

 

クロスドメイン・マルチドメインに対応

さて、今回の大綱にも書かれていますが、我が国を取り巻く安全保障環境、国際社会のパワーバランスは極めて速いスピードで変化、複雑化し既存秩序の不確実性の増大に対応するとし、特に「陸」「海」「空」だけでなく、サイバー空間、宇宙、電磁波などの新しい領域での対応を迫られてきているとしています。この新しい分野では中国などがアメリカの軍事力に対抗できる可能性が高く、またその方面の投資や開発が積極的に行われており、さらに以前にも書いた「シャープパワー」の行使や「グレーゾーン」の創出なども取り上げられています。物理的な軍事力の行使に関しては一定の国際的ルールがありますが、新しい分野ではそのようなルール・規範づくりが遅れておりその点を指摘しつつ対処するとしています。

 

アジア諸国への役割

我が国も独立国家として、またアジア諸国に範を垂れようとするのなら、国家間や地域の秩序維持に努めなければならないでしょう。その為には従来の考え方に留まらず迅速かつ実効的な防衛力整備とアジア地域でのプレゼンスを高める努力も必要です。その観点から、インド太平洋沿岸国との海洋安全保障能力向上に関する協力も進めていき、不当な南シナ海への進出を続ける中国への抑止力強化も図ります。12月22日には、初の「日米英」三か国での共同訓練を実施しました。

 装備の新規導入に関しては、DDHいずも(ヘリコプター搭載護衛艦)を改修し戦闘機F-35B(SVTOL・短距離離陸垂直着陸型)を搭載できるようにすることと、高速滑空弾などの新たな装備品、水陸機動団や物資輸送の為の輸送力強化、装備品の国産に拘らず、米軍との連携を重視するなどいくつかの目玉はありますし、報道の中心になっています。確かに装備品は単価が高く予算の使途としてきちんとチェックしなければなりません。

 

少子化が問題

 しかし私は装備品の調達に関してよりも、日本が少子高齢化に向かう中で果たして人員が確保できるのかが心配です。女性自衛官の活用や定年の引き上げなどは少しずつ進めてきていますが、自衛隊は「軍隊」という特別な世界。そして決して待遇が良いとは言えません。所謂「労働条件が良い」だけで集まるような人材は「軍隊」には不向きなのかもしれませんが、「情熱や想い」だけでは現実的には人が集まらないでしょう。

任務が多様化・高度化し優秀な人材が必要なのに、労働条件も厳しいのであれば人は集まりません。せめて「軍隊」として社会から尊敬されるようであればいいのでしょうが、決してそうとばかりは言えないでしょう。自衛隊員の社会的地位向上も図らねばなりません。阪神大震災以降の災害派遣等で認知度は高まり、航空祭や艦艇公開、総火演なども人気のイベントになりましたし、ネットやDVD、雑誌などのメディア露出も多くはなりましたが、いつも書くように日本を守る自衛隊員を守るのは、我々一般人です。

 

インド太平洋ビジョン

 また、今回の大綱に多く登場するのが「自由で開かれたインド太平洋」と言う文言。安倍総理の提唱した「自由で開かれたインド太平洋戦略」から始まり、最近はビジョンと表現されています。このビジョンは、法の支配の下の海洋の自由を訴えつつ、中国の横暴な海洋進出をけん制するものと解釈されています。(ただし一定のルール、例えば高い透明性、財政の健全の確保などに基づくならば中国との協力はあり得る)

つまり諸外国は日本は海洋権益に関して自国のみならずインド太平洋地域において、プレゼンスを発揮し、不法な行為や威圧に対してはコミットする事と解釈しているでしょう。低成長が続くとはいえ、日本は未だGDP3位、74年前には世界相手に戦争をし、日米同盟はNATOに並ぶ軍事同盟です。戦後はODAなどでもアジア諸国の発展に寄与し、一時は日本製品は世界を席巻しました。日本に安全保障面でも期待するアジア諸国があってもおかしくはありません。「いずも」空母化はまさにそう解釈されるでしょうし、英海軍との演習、アジア諸国への自衛艦の寄港などもその為です。

レーダー照射

この点から今回の大綱は纏められたと考えていますが、それならば今回の韓国駆逐艦の射撃管制レーダー照射に関しては、毅然とした態度を取るべきなのです。

飛行ルールを守りつつ自国のEEZ排他的経済水域)の監視活動をしていた自衛隊機に射撃管制レーダーを照射し、呼びかけに応じなかったのは明らかに準同盟国としてのふるまいではありません。その後の推移も概ねご存知の通りですが、日本政府が韓国に対してさえあやふやで腰の抜けた態度を取るのなら、眼前の中国の軍事的脅威にさらされているアジア諸国は日本を信用しなくなります。

 韓国との関係が一旦冷え込んだものになったとしても、他に多くのアジア太平洋諸国が「日本は強くなった」と思ってくれるのなら、信用も高まるでしょうし、信用は発言力に繋がりますし、中国に対する抑止力の一端となるのではないでしょうか。

 

”狂犬”マティス国防長官の辞表

あまり時事ネタ的なものは書かないのですが、どうしても書きたいネタができたものですから。

 

先ごろアメリカのマティス国防長官が辞表を提出しました。これに対してトランプ米大統領は「更迭」の形をとることにして、マティス国防長官の希望する2019年2月28日を受け入れず、2019年1月1日としました。 

トランプ大統領の考えは分かりませんが、強固な同盟関係である日米同盟の行き先も左右するかもしれない人事ではないでしょうか。

マティス国防長官の辞表は公開されましたので、日本語訳もあります。以下から読めます。

マティス国防長官「同盟国に敬意を」 辞表を公開 (写真=ロイター) :日本経済新聞

 

辞表全文(赤字は筆者による)====================

親愛なる大統領閣下

私は第26代の国防長官として国防総省の職員らとともに米国の国民や理念を守る職務を担当してきました。

2年間で国家防衛戦略に盛り込んだいくつかの重要な目標に向けた進展があったことを誇りに思います。たとえば、国防総省の財政基盤を整えたり、軍の機動力や攻撃力を高めたり、高いパフォーマンスを実現するために省の働き方を変えたりしたことがあります。米軍は紛争で勝利し、世界での強い影響力を維持する能力を提供しています。

国家としての強みは同盟やパートナーシップという唯一無二で包括的な概念と緊密に結びついていると私は固く信じています。米国は自由な世界において不可欠な国でありますが、同盟国との強い同盟を維持し敬意を示さなければ、国益を守ったり、国益を追求したりすることはできません。あなたと同じように私も米軍は世界の警察ではないと言ってきました。その代わりに、同盟国に効果的な指導力を示すことを含めて(同盟国の)共同防衛に向けて、米国が持つ全ての手段を提供する必要があります。民主主義を重視する北大西洋条約機構NATO)29カ国は2001年9月の米同時多発テロ後に我々に寄りそって戦うと約束してくれて(同盟の)強みを証明しました。(過激派組織の)イスラム国の壊滅に向けた連合軍ももう一つの同盟の証しです。

同様に戦略的利益が我々の利益と衝突することが増えた国に対しては、我々のアプローチを断固かつ明確なものとしておく必要があります。中国やロシアが自国の利益を追求するために経済・外交・安全保障に関する他国の決断を否定し、権威主義的な政治モデルと整合的な世界をつくりだしたいと望んでいるのは明らかです。だからこそ、我々は共同防衛に向けて、あらゆる手段を尽くさなければならないのです。

同盟国に敬意を払い、悪意に満ちた者や戦略的な競争相手に注意を払うべきだという私の考えは、こうした問題に取り組んだ私の40年以上(の経験)に基づき、培われたものです。我々の安全保障や繁栄、価値観に最も資する国際秩序を推進するためにできることは全てやるべきです。我々は同盟という結束によって強くなるのです。

あなたは、これらの点について、あなたの考えにより近い人物を国防長官に据える権利があります。だから私は身を引く時だと考えています。私の任期の最終日は2019年2月28日とします。この日付にしたのは、次期議会の公聴会や2月のNATO防相会合で、国防総省の利益を適切に説明し守っていくだけでなく、後任が指名され承認されるために十分な時間を確保するためです。さらに来年9月の米統合参謀本部議長の交代に先立って新しい国防長官に移行し、省内の安定を確かなものにするためでもあります。

私は215万人の軍人や73万2079人の国防総省文民が職務に集中し、米国民を守るための不眠不休のミッションを遂行できるよう円滑な移行に最善をつくすことを誓います。

この国や軍人たちに仕えることができて大変感謝しています。

 辞表ここまで======================

 

マティス国防長官はバリバリの軍人だっただけあって、国家の安全はどのように保たれているのかを十分理解し活用し評価している人物ですね。がちがちのリアリスト。トランプ政権にあって唯一(日本にとって)頼りになる人物だったと思います。

アメリカが片務的な軍事負担を負うのではなく、日米同盟やNATOを強化・重視し、中露やIS(イスラム国)などのテロ組織などの不当な行為は同盟国との共同防衛を行う事が重要で、それがアメリカの国益にも叶うと。その為に同盟国には敬意を表すべきと言っています。でも大統領とはその点で食い違うので辞めますということですね。見限ったのでしょうか・・・

アメリカ】は挑戦国である【日本】に勝って覇権国家の地位を確立し、冷戦では【ソ連】を退けましたが、次は【中国】がその挑戦国となりました。これを退けなければ覇権国としての地位は危ぶまれますし、無理やり維持しようとすれば戦争になります。この状態を【トゥキディスの罠】と呼びますが、そうなれば第二次世界大戦の惨劇の比ではありません。かといって中国がとって代わると従来の自由主義的価値観は否定されるでしょう。

アメリカは【西側】に太平洋が広がり、ハワイ、グアム、日本を前線基地とし、【東側】には大西洋があり、NATO諸国が防衛ラインを引いています。地政学的に極めて有利な国家ですが、日本やNATOがあってこそその地位が確立されています。

我が国に限って言えば、日米同盟があるからこそアメリカは防衛ラインを米本土から遠ざける事ができました。我が国は米軍の強大な軍事力を「矛」として活用できたので、片務的な日米安保条約の中で自衛隊は「楯」としての役割の一部を負えば良く、結果的に憲法違反することなく低コストな防衛費で国家を維持できました。(しかしこのあたりは新たな「防衛計画の大綱」でも今後どうすべきかが語られています)

 

兎に角も同盟と協調重視のマティス国防長官の退任は非常に残念でなりません。

 この人事が負の世界への出発点だったと後世が記録しないですむようになる事を願います。「日本は世界と繋がっている」と語るのなら、最も繋がりの深いアメリカの国防戦略は注視せざるを得ないでしょう。これは日本に最も影響するのです。