海洋立国論

安全保障・軍事について自分自身の勉強のつもりで書いています。

コロナと周辺安全保障

新型コロナウイルスの影響で、世界中で経済が縮小し自粛と都市閉鎖まであってこの先の不安感は半端ないですね。そんななかでも、我が国の周辺の安全保障環境は厳しさを増しています。弱り目に祟り目、泣き面に蜂ですし、水に落ちた犬は叩け(毛沢東)とも言いますしね。

概要だけですが、頭の片隅にでも入れておいていただければと思いますので、少し整理します。

 

▲令和2年 尖閣諸島付近での中国公船による事案

1月 接続水域入域2798隻 領海侵入28隻(1970312隻)

2月 接続水域入域2690隻 領海侵入28隻(1654312隻)

3月 接続水域入域2589隻 領海侵入14隻(1660312隻)

全て前年を上回っています。中国武漢発祥とされるコロナウイルスが猛威を振るっていてもです。

( )内は前年同月の数字。隻数はのべ数

 

北朝鮮ミサイル事案

3/2 2発 3/9 2発 3/21 2発 3/29 2発 3合計8

全て短距離ミサイル(北朝鮮側の呼称は超大型放射砲など)ですが、移動式発射器からの発射で発射場所が異なっています。3/21は日本のEEZ排他的経済水域)外の日本海の島に着弾、ロシアのイスカンデル短距離弾道ミサイル同様の飛行後半での飛行経路の変更が可能とされます。これらは最高到達高度が低いディプレスト軌道で飛行するため、日米が運用するBMDシステムの主役、SM-3の迎撃最低高度以下なので対応できない場合があります。ただし現状では射程が短く日本の大部分には届かないため、このミサイルは対韓国用とみるべきですし、毎週発射のペースは国内引き締めを狙っての事かも知れません。

 

スクランブル事案

スクランブルとは国籍不明機が領空侵犯のおそれがある時に戦闘機を緊急発進させ対応するものです。令和元年4月~12月の期間の累計が公表されていますが、対中国は523回 対ロシア216 と非常に多いのです。情報収集機や爆撃機の飛行、日本周辺の周回飛行などがおこっています。飛行時間で管理される航空機には負担が大きい任務です。

 

護衛艦しまかぜ事故

そして昨夜飛び込んできたニュースですが、3/30 2028 東シナ海を航行中の護衛艦「しまかぜ」が中国漁船と衝突しました。被害は比較的軽微(20cmの破孔)ですが、気になるのは左舷後部を損傷したとする点。断定することはできませんが、これは漁船がぶつかってきたと考えるのが妥当かも。修理の間任務には就けません。

漁船がぶつかって穴が開くなんてと思う方もいらっしゃるでしょうが、近年の戦闘艦艇は機動性を与えるために軽量化しています。またコストを抑えるため装甲はペラペラ。近距離で大砲打ち合う戦闘なんて想定していませんし、現代兵器は少々装甲したところで無駄ですので。

この事故で思いだすのは200010月に米イージス駆逐艦コールが民間小型船に偽装したアルカイダの自爆攻撃を受けて大きく損傷、17名死亡、復帰に3年を要した事件です。

イージスシステムがあっても民間小型船の接近はアメリカでさえ許してしまい、被害を与えることが可能であることを証明されてしまいました。

今回の「しまかぜ」も中国海軍・民兵組織によるそのテストと考えれば恐ろしくなります。突然、偽装した民間船が突っ込んできても自衛隊は一方的に沈める事ができません。

 

▲米海軍

米空母「セオドアルーズベルト」にもコロナの感染者が出ましたが、フィリピン海での任務を中断しグアムに帰港するかもしれません。帰港しても乗員は簡単に上陸できず休養もできません。また想定しにくいですが戦略原潜に感染者がでた場合は、核報復能力の均衡が崩れます。米軍はわざわざ「積極的な対応により、空母セオドア・ルーズベルトは地域のあらゆる危機に対応できると確信している 」とコメントしていますが、即応能力低下への危機感の現れでしょう。3月27日には横須賀の空母「ロナルドレーガン」乗員の感染が判明し基地は一時封鎖されました。軍人や軍関係者の海外出張や会議なども制限されますので、演習や連携などに支障がでるかもしれません。

コロナ騒動が落ち着いても西側諸国は経済回復に全力を上げねばなりませんので、中国・イラン・ロシア・北朝鮮に対する抑止力の低下は免れないでしょう。非常時には民主国家より専制国家のほうに有利に思えます。

世界中がコロナの対応に追われている間に、発端となった中国はどのような振る舞いに出るのか気になります。

(写真は海上自衛隊フォトギャラリーより)

f:id:anzenhoshounobenkyou:20200331145033j:plain

DDG172しまかぜ

 

病院船は不要なのか(過去記事再掲)

コロナウイルス騒ぎで「病院船」が少し話題になりつつありますが。

当ブログでは既に2017/08/16「病院船は不要なのか」と2018/6/17に「病院船マーシー寄港しましたね」で考察をアップしていますので、再掲しておきます。(文字色やサイズ等の改変はしています)

 

「病院船は不要なのか」(201708/16)

「病院船」という船をご存知でしょうか。主に海軍によって運用される文字通り「病院機能を持った船」です。写真のように国際的な戦争時の決まりである、ジュネーブ条約によって以下の要件(抜粋)が定められた船のことを言います。
 あらましは・・・
1.船体は白色 2.赤十字の表示 3.非武装 4.軍事活動の禁止 5.係争国への通知
 となっており病院船への攻撃は「戦争犯罪」となり禁止されています。
 アメリカ海軍はタンカーを改修した大型の病院船を2隻保有し西海岸と東海岸に配備しており、米軍の軍事作戦への従事は勿論、ハイチ地震人道支援団体への医療支援活動などを実施し、米国民のみならず捕虜に対しても治療活動を実施して成果をあげています。
 中国もアメリカほど大型ではないにしろ、高性能な病院船を運用しており、大規模災害発生時は勿論、平時でも島嶼部や医療の不備な地域への派遣など中国の存在感をアピールするためにも運用されています。中国海軍の海外での評価は実は高いのです。
 
さて病院船に必要な機能とはなんでしょうか。
1)災害時に派遣する場合、着岸(波止場へ横づけ)できない場合もあるため、傷病者の搬送に必要なヘリデッキを持つこと。
2)高度な医療機器の装備、入院設備を相応の数が装備されていること。
3)潤沢に淡水を供給できる能力があること
4)荒天時でも動揺を抑えられること
5)長期間の従事になるため居住性がよいこと
 などがあげられます。この為、高機能で大型の船になり建造費、維持費とも高額になります。
 
日本でも阪神大震災の時に検討が始められましたが、その時は大型輸送艦おおすみ型」の就役など、ある程度に必要な機能を持つことができる艦船の就役、そして自衛隊法改正により「邦人輸送」が可能になった事などから、輸送、宿泊、医療の機能はこれらで対応可能と判断されました。
 その後東日本大震災が発生し平成24年4月「病院船(災害時多目的)の建造推進、超党派議員連盟」が発足し、5月に政府に要望書を提出しました。
それに基づき、調査費が予算計上され「災害時多目的船(病院船)に関する調査検討報告書」が内閣府・防災担当から提出されました。類型を3型に分類し検討されています。
 ざっくりと整理してみます。
 1.総合型病院船・・・急性期~慢性期の医療を総合的に受け持つ。入院機能あり。72時間以内に被災地へ到着し患者はヘリコプター搬送を行う。災害拠点病院の機能を持つ。
 2.急性期病院船・・・72時間以内に被災地へ到着し患者はヘリコプター搬送を行う。急性期の応急処置を行い、その後に拠点病院へ搬送する。
 3.慢性期病院船・・・被災地内の病院も被災しているので慢性疾患患者の対応のための機能を持つ。1週間を目途として到着し近辺に着岸し活動する。
 
報告書ではそれぞれについて「医療装備」「船舶装備」「要員数」「費用」について検討し各種諸元を設定しています。隻数は2隻としておりそれらから生じる「問題点・課題・法律上の制約」を整理しています。また代替案についても検討されています。
 詳細は省きますが、結論としては「建造~運用コストがかさむこと、転用がしにくいこと、オペレーション上の問題が山積していること、人員確保の点でも容易でないこと」
また海外派遣には「海賊船対処」などの問題もあるとして新規導入よりも既存の艦船(民間船・自衛艦など)に医療モジュールを搭載するなどで対応することがいいのではないか。と纏めています。
 
個人的には「病院船」は海外派遣時に派遣先の国に着岸して医療行為をするということは、世界への貢献のみならず、相手国への相当なアピールに繋がり日本の地位を高める一助になると思うのですが。報告書ではそのあたりにはあまり触れておらず、もっぱら内向きな事情が語られています。「島国根性まるだし官僚の報告書」で世界を見ていないと断罪したいくらいです。
 お金の問題だけに絞って考えると、建造費は最大で350億円、年間維持費は最大20億円(一隻あたり)と見積もっていますが、平成28年度の「政党交付金」の総額がおよそ310億円ですので、建造費は決して高くないと思います。
 政党交付金は毎年ですが建造費は1回限り。それで国際貢献ができるのです。安い買い物ではないでしょうか・・・
 
※「病院船マーシー寄港しましたね」(2018/6/17)でも同様の記事を掲載していす。
 

反射衛星砲?

宇宙戦艦ヤマトというアニメは有名だと思いますが、ヤマトが太陽系脱出の最後の難関が敵役・ガミラスの前線基地である冥王星基地。地球とって脅威である冥王星基地を無視せずヤマトは攻撃を行います。

その際に登場するのが「反射衛星砲」という、オトコゴコロくすぐられる兵器。

レーザーは光速で直進するため、発射されると標的はリアクションタイムが極めて小さく対応が難しい反面、水平線外は狙えないのが欠点ですが、その欠点を克服したのが「反射衛星砲」。

発射した大出力レーザーを「反射板」を備えた衛星で反射させ、極端に言うと星の反対側の標的でも破壊可能とした兵器。ヤマトは苦戦を強いられます。

 

ある意味、単純に破壊力が大きい「波動砲」よりもワクワクしたものです。

 

「反射衛星砲」は固定砲台ゆえに大口径・大出力も可能であり、衛星を多数運用することで、複数の射角からの攻撃が可能となります。

元祖宇宙戦艦ヤマトでは基地に潜入した乗り組み員によって破壊され、宇宙戦艦ヤマト2199では、索敵機によって遮蔽シールド内の砲台が発見されヤマトの砲撃(時限信管の曲射榴弾を使用/放物線を描く弾道で着弾後時間を経てから爆発)によって破壊されました。

 

アメリカはレーガン政権の時に似たようなコンセプト(SDI構想)を描きましたが、当時の技術レベルでは実現不可能とされ、冷戦終結とともに計画は消えました。

 

これがとうとう・・・実現するかも!

(たまたまネットで見つけた情報が面白かったので、書いているんですが裏取りはあまりしてませんよ)

 

特許庁が12/26に公開した公開情報によると、

【発明の名称】迎撃システムと観測装置

【出願人】(株)IHIエアロスペース

図のようなほぼそのまんま「反射衛星砲」が。

IHIエアロスペースは「イプシロンロケット」などで有名な会社です。

 

【概要】

観測衛星が捉えた情報に基づき、複数の低密度のレーザーを発射し、軌道上の反射衛星のミラーによって反射させ、ブースト段階(発射直後の上昇段階)にあるミサイルを破壊するというもの。

過去の課題は、レーザーの大出力化による諸問題があったのですが、これを低密度レーザーを複数運用することで解決しようとするものです。

 

まだまだ超え無ければならない課題は多いでしょうが、実現できるとなるとメリットが多いシステムです。

 

先ごろロシアが発表した「アバンガルド」のような、極超音速で飛行しターミナル段階(命中する前の段階)での軌道変更が可能なミサイルであってもブースト段階ならば関係ありません。

従来のMD(ミサイル防衛)システムの突破は、ロシア・中国が実現しつつありますので、憲法によって縛られて先制攻撃ができない我が国にとっては脅威となります。また、北朝鮮が「露中」の技術を手に入れたらこれも脅威です。

韓国は軍事費は既に日本を追い越していますしその伸び率も高い。近年の装備体系をみてみると「そこそこ仮想敵国・日本」なので、北朝鮮と統一した時を考えると決して安心ではありません。

SM-3やPAC-3など多様な迎撃手段のバリエーションが増える事は、安全度が増すことになりますし、MD(ミサイル防衛)を突破しようとする相手に対して、よりコスト負担を強いることで、攻撃を躊躇させる効果も見込めます。

 

まぁ、専守防衛にぴったりな「イージスアショア」でさえ、批判する人が沸いてくるので、こんなの開発したら騒ぐでしょうけどね。

まぁ色々問題ありなのですが、年末の面白ネタでした。

 

中国は覇権国家を目指す

▼習金平の指導力

中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現」・・・これは習金平総書記が就任した時に目標として掲げた言葉です。

絶対的権力者である彼の言葉はそのまま中国の国家運営方針となり、そのなかで「核心的利益」を5つ掲げてその点に関しては譲らない事を方針として着々と進めています。それらの意味を解釈すると以下のようになると思います。

1)国家の統一

 台湾と香港の完全なる統一と新疆ウイグル自治区チベット自治区を維持する。また思想や宗教を制限し完全なる統一を目指す。

2)国家の安全

 列島線を設定し対アメリカに対し「A2/AD(接近阻止・領域拒否)」をおこない、軍事的な介入を阻止する。

3)領土の保全

 南シナ海、対ロシア、対インド、東シナ海での領土を保持、または拡張する。

4)中国の憲法による社会の安定

 共産党一党独裁政権の維持。共産党支配による中央集権体制による統治。

5)国家の主権

 これらの国家主権に係る諸問題に対して、他国の干渉を受けず介入は認めない。干渉、介入には厳しく対処する。

こういいつつも、中国にとって好ましい態度を取るなら「協調的関係を築き平和発展の道を歩む」としています。 

つまりアジアの盟主となろうと考えているのでしょう。 目的は明確です。

 

▼経済と軍事は政治にリンクする

実際、中国は急拡大する経済力を背景に、「一帯一路(シルクロード経済ベルト)+(21世紀海上シルクロード)」を提唱し、AIIB(アジアインフラ投資銀行)を設立・発足させ、投資を進めています。「一帯一路は」アフリカ・ラテンアメリカ・北極圏まで拡大させています。

習金平はアメリカを始め先進諸国による「先進国有利ルール」を不公平と批判、中国をリーダーとするアジア中心の安全保障ネットワークを構築し、中国にとり好ましい安全保障環境をつくろうとしています。

そのため、軍事予算を大規模に増額し軍編成の再編と空母機動艦隊の創設を始めとした海軍力の強化をおこなっています。

元来は陸軍国であった中国ですが、広大な海洋を支配しなければ自国の影響力は限定的ですし、物資を締め上げられればお手上げです。

そのため、アメリカに対抗するため、本心では信用を全くしていないロシアとの関係改善を図り、国境紛争を決着させたうえ、ロシア主導の「ユーラシア経済連合(EAEU)」と一帯一路をリンクさせ「大ユーラシアパートナーシップ」を構想、資金面でもロシアとの繋がりを深めようとしています。

中国の恐ろしいところは、このように「目的の為には敵とも手を結ぶ」ことができる点です。

 

▼自信を深める人民解放軍

成長する経済による軍事力の強化は中国軍に自信を与えました。

南シナ海での横暴なふるまいをし、海域に九段線と呼ぶラインを一方的に設定し周辺国を軍事力で威圧、フィリピンの提訴によって常設仲裁裁判所の裁定で「敗訴」すると、「紙くず」として無視、さらには同海域での米軍機(P-8)や艦船(カウペンス)に対する挑発行動。

東シナ海では尖閣諸島を巡っての常態的な接続水域や領海への侵入と火器管制レーダー照射や防空識別圏(ADIZ)侵入による自衛隊機の緊急発進の増加(30年度で約1000回のうち65%ほどが中国機)

 

香港や台湾、ウイグルチベットの問題に対して、これを批判するものは【国家の主権】を犯すもの、内政干渉として非難しています。

 

経済的に中国依存が強いASEANは、アメリカのASEAN政策への不信感もあってこれらの行動を全面的に非難はせず言わばある程度黙認してきました。

一方で、成長する経済力を背景に台湾の外交関係を妨害、他国へ華人流入することによる世論への影響力の増大、中国の意に沿わない時には旅行者の制限や輸出制限なども堂々とおこなっています。(シャープパワーの行使・2018/09/20)日本でもレアメタル問題がありましたし、韓国では旅行の制限などもしました。

 

これらの行動の原動力は「経済力」ですが、それを「中国は夢の巨大市場」としてもてはやし育ててきたのは、他でもない「日米欧」の先進国です。

中国はその受益者であったのですが、その受益者が今は脅威となりつつあります。

 

経済力と軍事力を背景にして中国に有利な国際環境を作り上げようとしているのは明白です。

 

日本も北海道の原野を大規模に買収(10,000ヘクタールを超えるとも)し、一帯一路のルートとして北海道に触手を延ばしています。「即位正殿の儀」に出席した王副主席が出席後に北海道を訪問したことでもその意味がわかると思います。

南西諸島も丸ごと買い取りたいとの情報もありますし、基地問題を契機として沖縄への関与をますます強めています。沖縄は南西方面防衛の要ですし、本国以外の米軍最大の根拠地ですので安全保障上の脅威となります。

 

▼対抗する太平洋諸国

【米・豪・ASEAN

アメリカは「貿易戦争」「資本流入の制限・株式市場上場への制限の検討」「香港人権法・ウイグル人権法の制定」、ファーウェイ(5G)技術への締め付けなどの手を打っています。

 オーストラリアも「反スパイ法」を成立させ、ビジネス名目の中国のスパイ活動に対処、外国からの政治献金を制限し内政干渉を防止するなどしています。

ASEANはPOC(南シナ海における関係国の行動に関する宣言)を採択し、COC(行動規範・非公開)を策定しつつあります。

 

【日本】

日本は安倍政権の提唱した「自由で開かれたインド太平洋戦略」に、アメリカやインド、ASEANが賛同、そのASEANはインド・オーストラリアとの関係を強化。

Quad (日米豪印)戦略対話の開始、TPPやRCEP(東アジア地域包括的経済連携)による協調路線(取りこみ)の模索などをおこなっています。

自衛隊は中国海軍との国際交流の促進、南シナ海での潜水艦の浮上による示威行為、海自最大の護衛艦「いずも」「かが」などの派遣や、先だっては「ロナルドレーガン」「いずも」との共同訓練、多国間訓練の実施や沿岸諸国への寄港などで抑止を図っています。

 

▼幼稚な政治と国民 

しかし国内の法整備は遅れており、土地の買収に関する危機感も欠如しています。

特に自衛隊基地や港湾、空港などの周辺土地の買収や、企業買収による情報漏えいは国家の安全保障に関わる重大な問題です。

海洋防衛に死活的に重要な潜水艦隊基地の周辺の土地を買い取られ、そこから監視・攻撃されたら・・・

軍民供用の空港で意図的に中国旅客機が滑走路上で事故を起こしたら・・・

サイバー戦の人員数でも桁が違うので対抗できるはずがありません。通信インフラをコントロールされたら・・・

 

夢ではなく有事には容易に想定できる事態です。善意で国際関係は生き残れません。

無慈悲な暴力はいつ襲ってくるかわかりません。世界中で戦争は起きているしテロは絶え間いのです。

ちょっとした花見ごときの問題で国会を止めるなど能天気も良いところです。

気づかないうちにあちこちに「五星紅旗」がはためくことになりますよ。

 

ぼーっと報道に踊らされてるんじゃねーよ!

12月8日。

毎年12月8日は、「先の大戦」(大東亜戦争・太平洋戦争)について考えます。

 

なぜ開戦に至ったのか? 一体何を得て何を失ったのか。

一般的に帝国海軍は開戦に消極的であり、帝国陸軍が積極的であったと解釈されています。また、海軍は「インテリで理性的」陸軍は「野蛮で好戦的」なイメージだと思いますが、必ずしもそうでは無いと思います。

 

国民の熱狂の渦とそれを煽った新聞、急成長する日本に対する諸外国の思惑、憲法と軍に縛られた日本の政治力、2.26や5.15事件の影響、工業化に向かう中でのエネルギー需要。 複雑で読み解く事は不可能なのかもしれません。

 

それでも、一応は我が国の転機となった日ではあります。

 

この戦争で多くの方が亡くなりました。それも敵味方・軍民・老若男女問わず。

一方で戦争は功罪両面あるのも事実です。戦後に活きたものも多くあります。

「戦争は悪」ですが、その一点だけで思考停止に陥らないようにしたいと思います。

 

幸いにも多くの方々が貴重な資料や研究を進めています。それら資料を読み解き戦史・軍事を学ぶことは、二度と不幸な出来事を経験しないために必要だと思います。

 

毎年、この日になると思うことです。

 

国際法と平和構築

国際法には国際条約(人権、環境、経済など)と慣行の積み重ねによって認知された慣習国際法があり、平時国際法戦時国際法に大別されます。

本来は非常に複雑な議論が必要なのですが、専門家ではないのでそこはまぁざっくりと解釈してます。

 

国連憲章13条には、

 総会は、次の目的のために研究を発議し、及び勧告をする。

 『1.政治的分野において国際協力を促進すること並びに国際法の斬新的発達及び法典化を奨励すること。

とあり、これによって多くの条約、協定が決められています。

こうして主に国家間の行動の大半を規制したり制限していますが、多くが通常のありきたりな規範です。

国連憲章33条には

『いかなる紛争でも継続が国際の平和及び安全の維持を危うくする虞のあるものについては、その当事者は、まず第一に、交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、地域的機関又は地域的取極の利用その他当事者が選ぶ平和的手段による解決を求めなければならない。』

とあります。

 

しかし日本のような三権分立が機能している国内法と異なり、国家にはそれの上位の権威・権力のある組織がないアナーキーな世界。

法執行のための”強制力”のある警察機関も裁判所もありません。国際司法裁判所などは紛争国同士の合意によって裁判が開かれるので、同意がなければ裁判が行われない場合もあります。また殆どの場合は勧告程度の効力しかもちません。

 

中国が南シナ海の領有権主張(九段線)に対し、常設仲裁裁判所国際法違反(国連海洋法条約)違反として裁定しましたが、中国は無視をしています。法的拘束力はあるため、中国が「国際法に則っている」と主張できる根拠はなくなりましたが、強制力は無いため現状を覆すことはできません。常設仲裁裁判所は一方の当事国が拒否しても手続きはおこなえます。この例はまさにそうでした。

 

このように国家は国益を追求するため、時に威嚇や戦争などの武力行使によって現状変更をおこなおうとしますが、その際にしばしば国際法を無視するのでたま~に注目されます。

 

しかし、ほとんどの場合に国家は「国際法」を順守しています。それは法を破る事が不利益となり国益を損ねる事になるのを知っているからです。

多くの国家は秩序そのものが「公共財」であることを理解しているのです。法の恣意的解釈をせず、他国に信頼される国家になろうと振る舞います。その結果自己の利益に繋がるのですが、このことが法に価値を与えています。法を守らない「ならず者国家」は信頼されず、他国の投資も人材も呼びこめず不利益を被ることになります。

 

武力行使は政策の最終手段ですが、この段階に至れば「武力行使によって達成される政策目標にかかるコストが妥当かどうか」で一義的には判断され、法に依るどうかは無視されるか、法に依拠(正当化)しながら法を破ることがおこります。

コストには1、生命・財産のような「直接的コスト」2、正当性があるか法に則るかの「政治的コスト」3、大国の横暴から軍事的に弱い小国は守ってもらえる「規範上のコスト」などがあり、生存戦争、領土紛争などはコスト高、他国への人権や福祉への介入は低コストと判断されます。

実はほとんどの国は、通常は国際法によって主権と独立を守られており、軍事的に守られているだけではありません。

 

また現代兵器の破壊力はあまりに強大で破滅的なである「核」が存在するため、軍事行動をコントロールできない場合は際限なく突き進み破局を招きます。核でなくても現代兵器の破壊力は第二次世界大戦の比では無いのです。

このことも軍事力による政策目標達成よりも、法による達成が選好される一因です。もしそのように選択されなければ、ゲーム理論に則って言えば世界はひたすら軍拡に突き進み破滅です。

 

国連憲章第7章には平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動』が数多く規定されています。

51条には『武力攻撃が発生した場合、個別または集団的自衛権の固有の権利』を認めていますが、テロリストのネットワーク化が進行した現代ではテロ支援国家への先制攻撃は合法なのでしょうか。2014年にロシアがおこなったクリミア併合は国際法の恣意的解釈そのものです。プーチン大統領が言った建前である「在留ロシア人保護のための軍事介入」「国際法に基づき併合した」はどう解釈すればいいのでしょうか。

どうやら7章にはグレーゾーンや空白があるようです。この空白を補うのが軍事力だったり、多国間の軍事協力やNATOに代表されるような組織です。

 

国連の安全保障理事会は唯一加盟国に対して決定の実施を義務付けることができる権限がありますが、常任5か国(米英仏中露)に与えられた拒否権(ときには棄権)によって効果的な集団安全保障メカニズムが機能しないのが現状です。

それでも第三次世界大戦が起こらないのは、国連のような国際機関と国際法が一定の役割を果たしていると言えるかもしれません。

令和元年度観艦式は中止でしたが

海上自衛隊は3年ごとに「観艦式」と呼ばれるものを実施しています。

 

観艦式とは最高指揮官や君主、元首が自国海軍の艦隊を観閲するものですが、国際的に決められたルール、目的、手順がはっきりとある訳ではありません。ここでは日本を中心にしています。

 

自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣ですので、その時の総理が「観閲」します。因みに海自(海軍)なので「観艦式」ですが、航空自衛隊の場合は「航空観閲式」、陸上自衛隊は「観閲式」と言います。

 

どこの国も海軍は軍であると同時に外交的な任務も帯びていますので、他国艦艇の招待をおこない、防衛交流の促進を図ったりもします。友好国各国の海軍を招くのですが今年は中国海軍も招待しました。(令和元年度に参加する外国艦艇は米国、英国、カナダ、オーストラリア、インド、シンガポール、中国の7カ国・11隻)

 

関係悪化が続く韓国海軍は招待していませんが仕方が無いでしょう。韓国で実施された「国際観艦式」に招待された海自の艦艇に対し入港時には「旭日旗」を下げよという国際ルールを無視した要請をしたことや、海自の哨戒機P-1への射撃管制レーダー照射などもありましたからね。因みに中国は海自艦艇の入港の際に「旭日旗が~」とは言いません。

 

中国の参加は今年4月に中国・青島港で実施された「国際観艦式」に海自の「すずつき」が参加したことに対する返礼でもあり政府間の合意によるもので、052D型新鋭ミサイル駆逐艦「太原」が寄港しました。

初めて海自の観艦式に1隻とはいえ新鋭艦を派遣するのは緊張緩和の意志を国際的にアピールする目的があったのかもしれません。「太源」は台風被害の被災者を思いやるメッセージを書いた大きな横断幕を船に掲示してくれました。

「太源」は中国人民解放軍海軍の3大艦隊のひとつ東海艦隊の所属で、本拠地は浙江省寧波、東シナ海や台湾を活動範囲としています。尖閣有事、台湾海峡有事においては砲火を交える相手かもしれませんが、誤認による不測の事態を避けるためには 、現場レベルでの交流は偶発的な事態発生を避けるため必要な努力です。

 

海自艦艇は他の多くの国の観艦式などにも参加しています。英米豪などはもちろんインドネシア、インド、タイ、マレーシア、中国、ロシア・・・やはり海軍は外交官なのです。

 

海自は昭和32年1957初の観艦式を実施してから29回目。最初の頃は毎年実施でしたが昭和50年(1975)からは特別な行事として実施、平成8年(1996)以降は現在のような持ち回りになりました。

 

部隊の士気を高揚させ、装備や練度をアピールする、国民の理解促進など目的は多様ですが、最近の海自の活動はリクルートにも主眼をおいているようです。海自は定員の充足率が90%程度で常時人員不足気味。周辺海域の緊張は増すのに伴い艦艇数は増加しているのに厳しい艦隊勤務の人員は増えない。浮世と離れて海上で暮らすことが多くなる艦艇での勤務は若者には厳しいのでしょうか。海外派遣になると長期ですしね。でも海自はメシが上手いのが自慢だし、手当も多くつくので悪く無いと思うのですが。

 

海自の観艦式は「移動式」と呼ばれるもので相模湾で航行をしながら実施される高い練度が必要な艦隊航行です。多くの国では「停泊式」が採用されています。

 

令和元年度の観艦式を壮大に行う予定でしたが、残念ながら台風19号に対応するため中止になりました。それに伴って護衛艦の体験乗艦も中止。

メインイベントは中止となりましたが、観艦式まえにはフリートウィーク(今回は10/5-14)と称したいくつものイベントが実施されました。

観艦式の抽選倍率は50倍以上ともいわれますがいつかは抽選があたると信じて楽しみにしています

結果的にこの観艦式を中止にしたのは正しかったと思います。災害派遣陸自が中心にはなりますが、海自も捜索・救難で必要な場合が多く、特にヘリコプター搭載護衛艦の「かが」や「いずも」などは大きな役割を果たします。統合任務部隊まで編成された今回の台風19号では海自艦艇が8隻投入され被災者支援にあたりました。

 

さて、我が国初の観艦式は明治元年1868)大阪天保山での「軍艦叡覧」で、統帥権を持つ明治天皇の観閲を受け、その後戦前まで18回実施。凱旋や演習、即位の大礼など名目はさまざまでした。

帝国海軍は明治30年(1897ビクトリア女王即位60年記念など英国にも何度も派遣しています。

海軍カレーの源流は英国との説もあったり、日本海海戦でロシアのバルチック艦隊と交戦した東郷平八郎元帥の乗艦する「三笠」は英国で建造されるなど、昔から英国海軍とは特に縁が深いのですね。