オレ様的夜ネタ ~平和を守るために~

山奥で農業・林業・養蜂をしつつ、安全保障・軍事について自分自身の勉強のつもりで書いています。

原発は狙いません

原発を狙うのか

北朝鮮のミサイル能力が向上し、アメリカとの緊張の高まりとともにいくつかの議論が起こっていますが、そのなかに「原発が狙われるのではないか」「原発が攻撃されたら被害が甚大だ」というのを見かけました。

東日本大震災に伴う原発事故の記憶も生々しいのでその気持ちはよくわかります。もう二度と原発によって住めなくなるような事になりたくはありませんし、原発は日本のあちこちの風光明媚な地域にあります。そんな日本の資産とも言うべき美しい自然が人の近づけない場所になるなんて考えたくもありません。

しかし、この意見には大きな勘違いがあります。結論を言えば「原発は狙われない」と考えて差し支えないのです。その理由を述べたいと思います。

 

現状はどうなのか

前提として現在の北朝鮮の攻撃力は、日本向けの弾道ミサイルであるノドン・テポドン1・2はおよそ100~200発保有していると考えられます。

そしてこれらのミサイルの発射器は50基ほどあるとされています。また現在のところ弾頭は大半が「通常弾頭」で「核弾頭」の搭載は多くても50発程度。

さて、北朝鮮がなんらかの理由で我が国を弾道ミサイルで攻撃するとしましょう。

 

確率で考えると

発射器は50ありますから、一度に最大で50発は発射できます。

そのうち、MD(ミサイル防衛)でミッドコースで迎撃されるものは迎撃率70%として35発。(試験結果からでは全弾迎撃する可能性もありえますが)

発射に失敗するものが10%として5発。この時点で残り10発しかありません。

そして弾道ミサイルにはCEPというものがあります。半数必中界と呼ぶもので撃ったミサイルのうち半数がどれくらいの半径に落ちるか?を表すものです。命中精度みたいなものですね。精度が良いとされる米ソでも300m(勿論所説あり)くらいとされますので、北朝鮮なら1000mってところでしょうか。

”半数”必中界ですから、通常弾頭のミサイルが原発から半径1000m以内に落ちるのが5発。

そして原発は建屋と格納容器に囲まれ極めて頑強な構造。津波のときのような電源喪失を想定しても電源部は地下で津波の水圧にも耐える分厚い扉で守られています。

原発に5発とも直撃させれれば多少の被害はあるでしょうが、3平方キロ以上の面積の範囲に5発ですから、600平方メートルあたり1発が落ちる計算。

これで原発に当たりますか?無理でしょう。原発敷地内に落ちたとしても、そこが格納容器や原発建屋、制御室であるとは限りません。駐車場や職員の宿舎などかもしれません。

費用面

そしてミサイルの費用です。一発当たりの費用は勿論わかりませんが、日本のイプシロンという低コストを目指した固体燃料ロケットが30億ほどだそうですから、同じとしても50発×30億で1,500億円ですね。

それほどの費用を使い、命中するかどうかわからない原発に貴重な核弾頭を落として何になるのでしょう。

 

戦術的に愚策

まして原発周辺は海岸沿いの「田舎」です。人的被害も限定的でしょう。命中率が多少高かったとしてもそんな効率の悪い事に虎の子の弾道ミサイルを使えない。

ジュネーブ条約追加第一議定書でも原発は攻撃禁止目標です。北朝鮮はこの条約の締結国であるうえ、国連でも自国の核保有を正当化する発言を繰り返しており、その立場からも条約違反はできません。自ら条約違反をすると自国の核保有の正当性を無くすことになり、中露も弁護できなくなります。世界中から反発必至でアメリカの攻撃を誘発します。

 

結論

ということで「原発」には撃ちこまないと考えて差し支えありません。

軍事オプションを想像してみた

テーブルの上に何が?

「全ての選択肢はテーブルの上にある」この台詞何回聞いたんでしょうか。大きく分けると外交による対話、経済制裁国連決議などによる非難、そして軍事力。

最終手段は勿論軍事力。このところ手詰まり感がありますが、軍事オプションには一体何があるんでしょう。少し手段を探りたいと思います。

 

始まりはどっちから?

まずは、周辺の軍事力を強化し威嚇することから始まります。

空母打撃群や、韓国への地上部隊の増派などは北朝鮮の危機感をあおり、北朝鮮が妥協して交渉のテーブルにつくならばいいものの、北朝鮮核武装の意思は固くまずありえない。核実験をしても、結局アメリカは実力行使に出ないと値踏みされており、さらに過激な行動に出る可能性も。

例えば「太平洋に向けて弾道ミサイルのさらなる発射」や再度の「核実験」もやるでしょう。もし、「威嚇」が北朝鮮が存続の危機と受け取りアメリカによる「攻撃準備」であると解釈した場合はさらに致命的な危機が生じると言う人もいますが、それでは北朝鮮にとっても最悪のシナリオ。北朝鮮は戦争すれば崩壊することは自覚しているでしょう。しかし中国とロシアはアメリカの攻撃をチャンスとして利用します。

南シナ海東シナ海、クリミアやシリア、アフガニスタンなどでアメリカの影響力を排除しようと動くでしょう。アメリカはそれに対応しつつ北朝鮮と戦うことになり、厳しい戦いになります。中国はこの事態を見越してか、インドとの国境付近のいざこざは一旦手打ちにしており、ロシアは武力攻撃に「反対」の立場を貫いています。

 

手を出させるアメリカ

米軍は先制攻撃はしません。如何に大量破壊兵器であっても「実験」段階での攻撃は筋が通らず国際的に非難を浴びますし、アメリカも冷戦時にはもっと大規模に「実験」をしてきているのです。今はブッシュJrの時代とは違い、アメリカの国力は相対的に落ちているので、国際世論を無視した武力行使は不可能です。また、「自衛権」の発動にならない事態での開戦は「侵略戦争」になり、攻撃の正当性を無くします。

ただし、北朝鮮が核をどのような形であれ「使用」した場合は攻撃することになります。

そうしないと「核の傘」の信頼性が揺らぎかねず、アジアでのアメリカの立場は地に落ちます。日本、韓国もドミノ的に核兵器保有論が強くなるでしょうし、それをアメリカは拒むことができなくなります。特に被爆国の日本が万一核保有に至った場合は韓国、台湾、ベトナムなども一気に核保有に走りかねません。また、北朝鮮の核保有を認めて交渉するというカードも同じような結果を生むのでこれもできません。

そこで「威圧」し続け「暴発」を待つことになります。その際には韓国、日本、グアムが標的となります。この初撃の被害を如何に最小化するのか。ここは重要なポイントになるのではないでしょうか。

 

勝手なシナリオを書いてみた

北朝鮮の先制攻撃後、空想的攻撃シナリオを勝手に書いてみました。

(1)潜入

SEALs(米海軍特殊部隊)が北朝鮮内部に潜入。金正恩の所在地確認など情報収集にあたる。また米軍機が撃墜された場合に備えパイロット救出任務も。

(2)ジャミング

EA-18Gグラウラー(電子戦機)をエスコートジャマーとして飛ばし、対空レーダー網と通信網をダウン(ジャミング)させる。E2-D、E-3も発進し航空管制と空中警戒にあたる。

(3)トマホーク発射

戦略原潜ミシガンや在日米軍イージス艦4隻などから巡航ミサイル「トマホーク」を発射し、固定目標(レーダー、通信網、ミサイル発射施設)を破壊。総数は300発規模となる。(ミシガン154発 水上艦各50発として)同時にMQ-9リーパーなどのUAVによる対地攻撃を実施。可能な限り弾道ミサイル発射施設、TEL(移動式発射器)を破壊。BMD(弾道ミサイル迎撃)能力のある残り8隻は弾道ミサイル警戒(太平洋側)海自は日本海側に布陣。韓国にはイージスはあるがBMD能力は無いので警戒監視のみ。弾道ミサイルのみがアメリカへの直接の脅威。その観点からソウルに被害を与えるロケット砲や長距離砲は後回しになる。

(4)防空能力の剥奪

佐世保強襲揚陸艦ワスプ搭載のF35、岩国基地配備のF35が航空優勢を確保する為、北朝鮮の深部に進出し対空ミサイルランチャーを破壊。(ステルス機は敵地侵入が比較的容易)またトマホークでは地下目標、移動目標には効果が限定的なため。その後に進出するのは韓国軍のF-15K、在韓米軍のF-16など第4世代機が掃討する。(発射機の位置確認のためあえて発射させる可能性も。)

(5)空母出撃

空母「ロナルドレーガン」のFA-18E/F攻撃機4個飛行隊は38度線付近へ進出するグアムのB-1BとB-2スピリットの直掩にあたりつつ進出。

(6)爆撃開始

B-1B、B-2は38度線付近の火砲を爆撃で破壊。在韓米軍の地上軍と韓国軍は北朝鮮の侵入を阻止すべく38度線を守る。北に地上軍の派遣をすると中国を呼びこみかねず、そのリスクを避けるため北方に地上軍派遣は無い。

 

      ==ここまでをほぼ同時に一気にすることが必要==

 

(7)北朝鮮の反撃

韓国向けのスカッドERは配備したばかりのTHAADが、日本向けのノドン・テポドン1は散発的に発射される。海上自衛隊のイージスがこれを迎撃する。日本を超えたミサイルについては米軍が対応するが、海上に落下するミサイルについては無視する。

(8)ミサイルランチャーの破壊

発射後に米軍は赤外線を探知しミサイルランチャーに向けて攻撃し破壊。ランチャーは全部でおよそ50基なので撃ち漏らしたランチャーを破壊する。そうすればミサイル残弾があっても無意味。しかしリアクションタイムがとれない韓国は被害甚大。日本にも落下する可能性がある。目標は東京、横須賀、佐世保

(9)対中国警戒

開戦と同時に中国海軍(北海艦隊)は「尖閣諸島」の領有化を進めるために上陸を画策。軍隊には海保は対応できない。この事態を想定すると海上自衛隊第四護衛隊群は佐世保から出港し東シナ海の警戒へ。同時に沖縄・那覇の空自第九航空団は哨戒任務に就く。嘉手納、三沢の在日米空軍は韓国へ移動。

(10)中国人民解放軍

中国北部戦区の戦力を北朝鮮との国境線まで移動させる。難民流入対策。

空母「遼寧」は朝鮮半島近海へ展開。

(11)ソウル混乱

ソウルに北朝鮮の特殊部隊が侵入し後方かく乱を図るが、韓国軍に2~3日で制圧される。ただしソウルはインフラ、政府機関にかなりの混乱が生じる。

(12)在韓邦人救出

在韓邦人救出は韓国の同意が得られていないため、自衛隊が上陸することはできない。そのため民間機(船)による出国が開始される。攻撃前に大規模に退避させると北朝鮮に先手をとられかねないため、開戦直前に退避作戦を開始する。アメリカも韓国も自国民の保護で精一杯。まぁ開戦前には渡航禁止がでるでしょうし、徐々にソウルからは退避させるのでしょう。暫く韓国には行かないほうがいいですね。

(13)ロシアの進出

ロシアは軍事情報収集のため、航空機、艦船を日本海へ大量に派遣する。またシリアへの介入を強める。アメリカに対しての非難声明とロシア周辺の警戒に海軍がウラジオストックより日本海に展開。

(14)ネイビーシールズ

SEALsが金正恩を確保。

 

 

ということで、こんな大規模作戦無理でしょう。いや、勝手な想像なんですけど。

韓国は自国への被害が大きすぎて攻撃は同意しないし、アメリカは中露に振り回される。戦費は膨大で財政難の現状では議会も承認するのかどうか。

また、北朝鮮内に墜落したパイロットは捕まればどんな目にあうことやら。戦後処理の問題は解決しないでしょうし、比較的穏便に統一した東西ドイツと異なり、戦後復興も抱えたまま韓国は北朝鮮と統一しても大きな利益はない。それこそデフォルトに陥るし、ゲリラの対応、国内のテロに悩まされることになります。

日本も同じようにテロの対象とされます。さてこれにどう対応するのか。戦争をしない場合はこの先々ずっと北朝鮮に核によって威嚇されつづけることになります。このままでは弾道ミサイルの質と量は増えていき、どのような要求も飲まざるを得なくなるのは確実でしょう。今ならなんとか被害を限定できる可能性は高いが我が国に敵策源地攻撃力は皆無なのでアメリカ頼みです。

もし、北朝鮮核武装は認めてICBMの配備だけを認めないという段階で妥協したら日韓には脅威だけが残る。しかしアメリカは「同盟国を守る」と公言しているのでその選択肢もとれない。

ん~~やっぱり手詰まりじゃ?

平成30年度概算要求を読んでみた

防衛省が「我が国の防衛と予算~平成30年度概算要求の概要~」を公開しましたので、そのまた概要を掲載します。

【金額について】

まず、総額ですが防衛予算は長い間、横ばいから微減でした。平成25年度以降微増に転じ、今回は2.5%増、およそ5兆円としています。(当然予算折衝で減る事が予想鵜されますが、初の5兆円突入)

平成24年は尖閣の国有化があり、中国の海洋進出が脅威となり島嶼防衛の重要性が増してきた頃でした。

今回は勿論北朝鮮を想定して「ミサイル防衛」が重要な項目となっていますが、北朝鮮の脅威が高まれば高まるほど、日米が緊密に連携して対応するための装備やシステムの強化が進められます。防衛費の増額も世論的にもスムースに受け入れられるので、これは中国にとっては面白くない状態ですので中国にしたら北朝鮮が少々目障りなことでしょう。

平成26年度~30年度中期防衛力整備計画の最終年度でもあり、装備品などの調達が進められます。

 

【注目の装備品】

3900トン型コンパクト護衛艦2隻の建造、イージス艦の増勢は計上されていません。

また、SM-6ミサイルの試験用調達=以前に「海のNIFC-CA」で取り上げましたが、この新型のミサイルは長射程、撃ちっぱなし(発射した艦の誘導が不要)可能で、また早期警戒機E2-DやF35などのセンサーによって、イージス艦のレーダーの視界の外の目標に対象可能な迎撃ミサイルです。エンゲージ・オン・リモート(EOH)超水平線(OTH)攻撃能力と言います。要はイージス艦から探知できない目標を航空機のセンサーを使って探知し攻撃するものです。アメリカはテストで6発同時迎撃など成果をあげています。準中距離弾道ミサイル迎撃にも成功しています。イージスシステムやE2ーDなどのセンサー類も対応するシステムに更新する必要があるんですが、31年度以降にどうなるんでしょうか。

また、弾道ミサイルに対応するため、PAC-3の能力向上型PAC-3MSE、イージスアショアの整備に着手すること、新型迎撃ミサイルSM-3ブロックⅡAの調達(ブロックⅠBも)、空自が運用するジャッジシステム(防空用のシステム)の能力向上など目白押しです。

 

【研究開発】

研究開発では、ちょっと驚きのものがありました。

島嶼防衛用高速滑空弾の要素技術研究」と「島嶼防衛用新型対艦誘導弾の要素技術研究」の2点です。

想定は南西諸島防衛でしょうが、「高速滑空弾」についてはよくわからないのが実情です。似た感じのものは過去にもあるようなんですが、ロケットモーターで発射・上昇し弾頭部分を切り離しグライダーのように滑空し攻撃する兵器ですね。我が国では前例が無いのでよく判りませんね。もう一方の「新対艦誘導弾」ですが、巡航ミサイルと言っても差し付けないようです。自衛隊は「専守防衛」の観点から長射程の対地・対艦攻撃兵器はありませんでしたが、近年は各国のミサイルはどんどん射程距離が延びており、このままでは一方的にやられる事になりますので対応する為の研究を進めるようです。

 

【宇宙・サイバー】

また、ネットワークのクラウド化と監視機能の強化、人員も少しですが増勢するようです。宇宙関連では、JAXAと連携し情報収集、指揮統制、通信能力の強化に取り組みます。現在、弾道ミサイルの情報はまずアメリカの早期警戒衛星の情報をアメリカ本国、在日米軍経由で入手していますので、この点についてはもっと強化して欲しいですね。アメリカ側では日本の準天頂衛星「みちびき」の信号を受信し活用できるような研究も進めているようですし。「みちびき」4号機の打ち上げは10月10日だそうです。

 

【そのほか】

細かなところかもしれませんが、自衛隊が使う軽油引取税の免除を求めていたりします。

また、女性隊員の増加に伴ってトイレや育児環境整備もすすめるとわざわざ書いてます。意外にも「ワークライフバランス」って言葉が出てきます 男社会でしたからしっかり進めて欲しいと思います。

衛生機能については・・・やはり心許ない。海外に派遣される事が増えた事もあり、その点ではもっと進めて欲しいと思います。

北朝鮮ミサイル発射に関して

防衛省発表・要約】

本日午前5時58分頃、北朝鮮西岸のスナンから1発の弾道ミサイルを北東方向に発射。午前6時05分頃から07分頃にかけて北海道渡島半島及び襟裳岬の上空を太平洋に向けて通過。

午前6時12分頃、襟裳岬の東約1180kmの太平洋(我が国の排他的経済水域EEZ)外)に落下したものと推定。飛翔距離約2,700km、最高高度約550kmと推定。

 

グアム方面に撃てば「引くに引けない」ことになりかねず、かといって撃たなければ「ビビった」と思われ北朝鮮国内のトップの立場が悪くなる。そこで日本国土を可能な限りかわしつつ、アメリカの戦略的根拠地であるハワイ方向に撃ったのではないでしょうか。全然距離的にはハワイには届きませんし、ちょっと方向も違う。アメリカも反応に困りますね。

それにしても飛距離が短いので失敗の可能性もあります。または、燃料を減らして短くしたか・・・アメリカに近づくほどリスクが高まり北朝鮮には望ましくない。3つに分かれたという情報もありましたし。

高度550kmですから、「ミニマムエナジー」軌道で発射し再突入のデータを取得したと思われます。北朝鮮は低高度ならレーダーで追尾しセンサーデータを取得できるのではないでしょうか。それとも新型?

北朝鮮がなにもコメントしていないので詳しくは分かりません。

この件に関してメディアやネットには多くのコメントが見られましたが、そのなかには「トンデモ」なものもありましたので少し取り上げて纏めておきます。

 

「Jアラート関係」

改めて言いますが、被害を少しでも少なくするためのアラートです。

豪雨の時の避難勧告と同様に「万一に備えて」広範囲に警報を発します。

寝てたのに起こされたなど個人の都合は関係ありません。逃げるより寝てたかった人は兎も角、少しでも安全な場所へ身を隠したい人もいます。個人的な都合でシステム全部を批判するのはわがままでしょう。震災時の教訓を忘れたのでしょうか。

またミサイル発射の失敗などに備え広範囲にアラートを発したのです。飛行中に爆発してバラバラになるかもしれません。政府内ではどのコースに飛んだらどの範囲にアラートを流すかは想定済みのはずですので、発射後間もなくして一定の範囲にアラートを出せたのです。システムの不具合などは訓練などによって精度を上げる性質のもの。

発射直後~ブースト段階では落下点は確定していません。レーダーで軌道を追いながら軌道計算を随時おこないます。弾道頂点付近で落下点がおよそ確定。

しかし発射の確認ができたらおよその方向は分かるので「およその範囲」にアラートを発する事は正しいです。軌道が確定してからだともっと準備時間がなくなります。

 

「逃げられない」

いつでも避難できる場所にいる訳ではありません。そんな事、地震でも同じでしょう。緊急地震速報なんて数秒後に地震来ますよ。少しでも安全な場所へ行けるなら行きましょう。という意味です。建物ないからどうしようもないと愚痴を言っても始まりません。

 

「避難に意味が無い」

あります。実際にイスラエルは民間人の被害を限定しています。韓国も避難訓練しています。日本は戦後そのような事態に遭遇していなかっただけです。

 

「迎撃しないのか」

自衛隊には「破壊処置命令」が出されたままです。

破壊処置命令は、自衛隊法82条3の1落下による我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため必要があると認めるとき 」となっていますので、必ず迎撃するというものではありません。

また、見送れば海に落ちるミサイルを不用意に迎撃すると場所によっては国土に破片の落下もありえます。今回の高度なら現有のSM-3BlockⅠAで迎撃がギリ可能でしょうか。

「撃たせない努力が必要だ」

今までも六か国協議、国連決議、経済制裁、日米韓首脳のコメント、ASEANなどの国際会議の場など対話の機会は多くありました。それに応じず強硬姿勢でチキンゲームを行っているのは北朝鮮側です。文句を言うならまずは北朝鮮です。勿論外交努力は続けられるべきもので放棄してはいけません。

 

「領空通過」

550kmといえばISS(国際宇宙ステーション)よりも高い宇宙空間とみなされるので日本上空では領空外ではないでしょうか。でも国連決議違反なので容認できませんが。通告なしのいきなりですし。漁船がいたら?部品が落下したら?確かに不安は尽きませんし腹立たしい。
 

このような事態に備え、自衛隊始め多くの関係者が昼夜を問わず警戒してくれています。メディアやネットでは政府などへ文句を言う人が多いですが、警戒にあたる方々へも思いを馳せ、感謝してほしいと思います。人として。

あ、それからこういった案件の場合には地図は「メルカトル図法」では無く「正距方位図法」でみると位置関係、距離などが理解がしやすいと思います。

こんな記事を読みました。

こんな記事を読みました。 リンクを貼っておきますね。

gendai.ismedia.jpこの記事関しての意見を今回は書く事にしました。

 

BMD対応のこんごう型・現有4隻、あたご型2隻はBMD改修します。これはその通り。

次の二隻は改・あたご型になり、イージスのベースラインすら違ってくる。多分新型になり「あたご型」では無くなると思います。しかしこれは就役はまだまだ数年先。

その頃にもし北朝鮮の攻撃力が今より数段高まっていても過剰と言える?

 

そもそもこの新造する2艦は既定路線。29年度予算に乗るかな?と思っていたくらい。26年3月の27年度中期防衛力整備計画にすでに計画は記載されているんです。
 

また、全8隻が常にオンステージしている訳ではありません。訓練などで日本近海を離れることもあるし、ドックに入ることもある。南西諸島防衛に対応する必要もある。


そして、こんごう型は就役して既に20年ほど。艦齢は古く更新も近づく。通常は25年~30年程度で退役。つまり新型が就役するころには退役が近づく。(艦齢延伸工事はするでしょうけど)また全イージスが弾道ミサイル防衛に当たれる訳では無いでしょう。弾道ミサイル攻撃があるなら、その他の攻撃も考慮に入れて対応することになりますよね。

ひ弱だけど「潜水艦」だとか、漁船で潜入してくるとか、ロシアや中国がこの期に乗じて情報収集しに領海・領空侵犯しにくるとか。


現行のSM-3Block・ⅠAは試験結果は良好でしたよ。ⅡAはこれから実績を積む段階なので批判する以前の問題だと思います。


全弾迎撃できないなら意味が無いと言うが、少しでも被害極限する為の迎撃でしょう。完璧なんてない。多層防衛を敷いて完璧を期す。これは大いに意味がある。と思います。
一発落ちたら無効と言うなら丸腰で全弾着弾しても良いのか。って事に繋がりますよね。それはイヤでしょう?
多数を同時発射された時に、1つのイージスで弾道ミサイル全て対応できない。多数で攻撃するなら多数で迎え撃つしかない。1機のイージスで対応できる弾道ミサイルの数には上限があるでしょう。それ以上の数の場合はそれに応じたイージスが必要でしょう。
その為のイージスであり、アショアであり、PAC-3MSEの導入。
アメリカの押し売り的な事を書いてますが、自国開発なんて時間がかかる。そんなことより在日米軍との連携を考えた時、この選択肢しかない。(しかないのを選択肢とはこれ如何に)SM-3Block2Aは、共同開発で半分くらい国産ですし。

そもそも在日米軍イージス艦が既にあるので、現在でも日本周辺に米海軍のBMD対応艦は8隻ある。(事故っちゃったので2隻減った)でも米海軍はあくまでアメリカのもの。自前で守る気概が無くてどうするんですか。いつまでアメリカをあてにしてるの?アメリカ追従を批判しながらアメリカを頼るんですか?

ここからは記事とは直接関係ないですが。

被害極限の意味からは、避難訓練は決して無駄じゃない。Jアラートも使って訓練してこそ精度があがる。直撃なら家の中だろうが外だろうが同じかもしれないが、離れたところに落ちた時、窓際と屋内では大きく違う。イスラエルなんかはそれで人的被害を少なくしている。弾道ミサイルはCEPがあまり良くない。北朝鮮のはなおさら。原発に直撃させる能力はないし僻地にある原発狙うより少々外れても被害を与えられる「大都市」を狙う。その時に避難訓練が生きる。重傷者100人と80人とでは医療の負担も大きく違う。少しでも被害を受けないようにするのが防衛の意味。100人か80人の中に「あなた」が含まれているのかどうかは関係がない。

同じように10発落ちるのと1発落ちるのとでは全く意味が違う。

そもそも文句を言うなら「北朝鮮」にどうぞ。発端はアッチ。 まぁ、中国もこっちにミサイル向けてるんで渡りに船ですが。(笑)

北朝鮮対応で中国にも対応できる。中国が北朝鮮をどうにかしないからウチはしゃーなしに増勢するんやで。という口実になります。

北の問題が無く防衛費増やしたり、装備の拡充すれば、すぐイチャモンつけてくるから。。。内政干渉じゃわい。(-ω-)/

 

世界中で常に紛争と戦争は起きているのに、日本は長い事戦争してないんで、少し我が身のことと考える切っ掛けになったんじゃないですか?

戦争していないこと自体は素晴らしいんですが、どうも他人事のように受け取る傾向がある気がします。

やる気が無くてもやられる事もあるんです。日本に対しても理不尽な暴力は起きうるんですよ。

=追記=

ある方(経済学者)からこんなコメントを頂きましたので要約しますと・・・

経済学から見てもおかしい点がある。ざっくりいうと「ハンバーガーの売買じゃないんだからFMSによる契約を単純に異様とは言えないのではないか」

そうなんですよね。生活感覚で軍事を語る訳にはいかないんです。

 

取材しているから見えることもあるでしょうが、取材しているから正しい解釈をしているとは限らないでしょう。クローズのブログやFBではなく、記事として広く公開し一般の読者に届けるんですから、誤解が生まれないよう客観的に書いてほしいと思います。

平成30年度概算要求について

メモ代わりに。詳しい事はまだ発表されていないので評価で来ませんという前提付きですが。報道にあったように防衛省が「平成30年度予算案の概算要求」についておよそ5兆2500億円とする方針を決めたそうです。

新鋭イージス艦、3000トン型コンパクト護衛艦、最新の潜水艦、イージスアショア、無人偵察機グローバルホーク、新型弾道弾迎撃ミサイルSM-3Block ⅡA、などを調達するようですね。詳しい事は公式発表のあとに。

さて防衛費はここ数年の緊張の高まりと共に微増を続けてきました。2016年度の実質GDPがおよそ520兆ほどですから、GDP比1%を超えることになるかもしれません。

金額も大きく1%を超えることで反発も多くあるかもしれませんが、GNP比1%に現在は根拠はありません。昔は周辺国に配慮する意味でも政策として1%枠がありましたが、それも撤廃されていますので、「まぁ、みんなが騒ぐといけないからなんとなく守ります」的な感じです。我が国が1%枠に収めていても周辺国は全然気にしていないので、国内事情だけで考えても文句はないでしょう。

過去にも書いてはいますが他はどうなっているでしょうか。(GDP:率)で記載します。

アメリカ 17.9兆ドル 3.3%

中国 10.8兆ドル 1.9%

日本 4.3兆ドル 1.0%

インド 2.2兆ドル 2.5%

韓国 1.4兆ドル 2.7% 

ロシア 1.3兆ドル  5.3%

因みにイスラエルはGDP比10%! 東京都のGDPは1.1兆ドル!東京ってその気になれば韓国並みの軍事国家になれるんですね。

アメリカは総額でここ10年で5%程度減少していますが、中国は額で3倍、平均13%以上の伸びで急増しています。しかも推計はバラバラなうえに内容について一切公表していませんので信ぴょう性は低いですね。

日本は律儀に1%枠と言う過去の遺物的な政策を引きずっていますが、軍事の世界は正直です。ロシア、中国は急増し、北朝鮮と休戦中の韓国は財政規模に対して高額な支出をしています。周辺国(中国・パキスタン)と緊張状態が続くインドですが、空軍力と海軍力を高めており我が国以上の軍事費を支出しています。こちらも印中で一触即発状態ですので目が離せません。インドは核も持っていますので軍事大国と言えるかもしれません。

日本は北朝鮮のミサイルによる脅威、中国による先島諸島への実効支配の意志、ロシアに対する脅威にも対応しなければなりません。実は領空侵犯などの対処のための自衛隊機のスクランブル(緊急発進)については、本年度は現在まで中国は半減、ロシアは増加しています。中国に対しては米軍、英軍による南シナ海への軍事プレゼンスが増大しており、東シナ海は後回しになっているのか、北朝鮮対応で日米をあまり刺激したくないのか、最近は行動が抑制的です。

日本の防衛費は過去最大規模と言っても1%をちょっと超えるだけですし、世界標準では最下層のランクです。自衛隊員の数も充足しておらず、人員の増加も図らなければなりません。身につける装備品すら新しいものになかなか買い替えられないのは国防に従事する人たちに対して失礼だと思います。

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イージスアショアおさらい

日本にも「イージスアショア」導入が決まりました。まさか「THAAD」になるのかな?と思っていましたが、やはり「イージスアショア」でした。

今回は「イージスアショア」のおさらいをしておきます。

イージスアショアはイージス艦に搭載しているイージス武器システムの地上版で、ミサイル迎撃に特化したシステムです。

「イージスアショア」のハードウェア構成(勿論、細かな数字は機密事項ですので、おおよそこれくらいだろうと言われている数値です。仕様書やテストの様子などから推測されているものです)

・SPY-1レーダー

目標をまずは探知しなければどうにもなりません。

フェイズドアレイレーダー(SPY-1)と呼ばれる360度全周を常時見張りながら同時に128目標以上を追尾できるレーダーが受け持ちますが、探知距離は500kmほど。現在開発している新型レーダー(AMDR)は1000km以上らしい(^_^;)

・ミサイルランチャーMk41VLS

ミサイル垂直発射器です。コンテナ式になっておりこのなかに迎撃ミサイルを収納します。コンテナ式のため整備も容易です。

・スタンダードミサイルSM-3

弾道ミサイルを迎撃するためのミサイルです。現在はSM-3 BlockⅠAという型が海自のイージス艦に搭載されています。射程1000km射高500kmほどと言われています。テストは何度も行われており成績はほぼ満点です。新型の開発も進んでおりSM-3 BlockⅡA と呼ばれ射程は2000km射高2000km以上と物凄い性能です。これ以外に電源、冷却システム、射撃管制システム、データリンクシステムなど多くの付随するシステムがあります。


現在開発中のSM-3 BlockⅡAを装備した場合は1基あれば日本中をだいたいカバーしますし、2基あれば複層的にカバーします。同じイージスシステムでミサイルは(BlockⅠA)MD:弾道ミサイル迎撃能力を持ったイージス艦が2隻でカバーできると言われていますので、多分間違いないでしょう。

韓国は「THAAD」を配備しているのに、なぜ防衛省は今回「イージスアショア」の導入を決めたのは以下の理由があるのではと愚考します。

1)海上自衛隊イージス艦で運用実績があるので、ノウハウを蓄積しており作戦運用までスムーズにおこなえる。

2)整備設備、ミサイルなど共通するものが多いので維持費が安価になる可能性がある

3)ミサイル、レーダーの換装、ソフトウェアのアップデートで性能が向上する余地がある

4)イージス艦を前方進出させたり、早期警戒監視レーダーなど配備されているレーダーをセンサーノードとして活用しそれらとデータリンクする事により、実質的なレーダーの探知距離が広がり、イージス艦は監視、迎撃はアショアが受け持つことができ、イージス艦の能力に余裕がでる。このため、海上の他の脅威の監視に穴があかない。

5)常時配備のためイージス艦がドック入りや日本近海にいなくても(数が少なくても)迎撃能力を補完できる。

6)単純に迎撃ミサイルの数が増えるので、対処できる弾道ミサイルの数が増える。

7)SM-6とNIFC-CAも運用できるとあらゆる脅威に対処できるようになる。(NIFC-CAについては4月7日に解説しています)

8)当然ですが運用する人間の数がイージス艦を運用するより少なくすむ。

9)垂直発射器の数を増やせば迎撃数が増える。艦船ではランチャー数以上には増やせないまたランチャー全部にSM-3を搭載する訳にはいかない。

反面デメリットもあります。

1)ゲリラや先制攻撃の的になりやすい。先制攻撃する時はレーダー網を最初に潰します。

2)ばらして組み立てて移動できるらしいのですが、でかいので移動がやっかい。多分動かさないでしょうが。

3)設置場所の選定で揉めそう。青森、鹿児島、佐渡島、函館・・・管轄が空自か陸自か海自のどれになるかも関係しますし。

現在海自にはイージス艦が6艦あり、弾道ミサイル能力を付与されているのは「こんごう」「きりしま」「みょうこう」「ちょうかい」の4艦、「あたご」「あしがら」は改修中。新たに建造する予定の8200トン型イージス護衛艦2隻では初めから最新の弾道ミサイル対処能力が付与されます。

運用はノウハウのある海自が担当するのでしょうか。

海自は「破壊処置命令」が出っ放しで既に多く負担をしていますし、中国に対処するため潜水艦も増勢しています。任務が極めて多く人員の不足が心配されます。メカと違い練度の高い士官や隊員はそう簡単に育成できません。

空自はPAC-3や早期警戒監視レーダー(通称:ガメラレーダーJ/FPS-5)を運用していますが、近年中国による領空侵犯処置でのスクランブルで忙しい。

はたまた弾道ミサイルに直接対処していないが、基地警護能力のある陸自に新たに任務を与えるのか。どうなるんでしょう。防衛省の判断を見守りたいと思います。