海洋立国論

山奥で農業・林業・養蜂をしつつ、安全保障・軍事について自分自身の勉強のつもりで書いています。

現代の空母事情

さらに今回も空母ネタです。

海上自衛隊ヘリ空母「DDH183-いずも」の空母化(F-35Bの搭載)から始まった空母ネタ。前回は先の大戦時において日本帝国海軍が空母大国だったことを書きました。では現状の世界の空母保有状況はどうなのでしょうか。

==アメリカ==

アメリカ合衆国海軍】

空母の最大保有数、展開能力ともアメリカはダントツです。11隻保有しており全て原子力推進空母です。(「ニミッツ級」10隻と最新型の「フォード級」1隻)

ニミッツ級は1番艦「ニミッツ」が1975年就役、その後順次建造がおこなわれ、10番艦の「ジョージ・H・W・ブッシュ」は2009年就役と長い間作られてきました。横須賀を母港とする「ロナルド・レーガン」は9番艦です。

建造中に技術の進歩と共に少しずつ異なりますが、基本は同じで各艦70~90機を搭載しています。搭載機は多種に及び、戦闘攻撃機、警戒機、ヘリコプターなどです。

今後の旧型の退役に伴い新型の「フォード級」が3~4年ごとに就役し11隻体制(若しくは12隻)は維持するようです。新型のフォード級排水量およそ10万トン、原子炉の炉心寿命が50年となり退役まで運用可能、電磁カタパルトという新型のカタパルトを装備しています。建造費は1隻だけでも1兆円を大きく超えています。他にも強襲揚陸艦保有し固定翼機を運用しています。

==中国==

人民解放軍 海軍】

中国は過去に幾つかの退役空母を他国から購入し調査して学んできました。そしてウクライナから入手した「ワリヤーグ」を改修し遼寧(りょうねい)として保有(練習空母的存在)しています。現在は国産の通常動力型空母001A型と002型を建造しています。その後も10万トンクラスの大型空母建造を計画しており、今度の動向が注目されます。中国は外洋海軍(ブルーウォーターネイビー)を目指しています。外洋海軍とは世界各地へ遠征し軍事力を行使でき、洋上補給などの手段を用いて長期間継続して展開できる海軍です。アメリカ、イギリス、フランスは能力を保有しており、海上自衛隊もその範疇に含まれます。(ただし、海自は展開し対潜哨戒、シーレーン防衛はできても、敵地を攻撃するような能力は保有していない。)

==イギリス==

ロイヤルネイビー王立海軍)】

イギリスは昨年新型の空母を就役させました。「クィーン・エリザベス」です。2番艦が「プリンス・オブ・ウェールズ」(建造中)でどちらもF-35Bを搭載する予定にしています。以前、雑誌で艦内の様子を見た事がありますが、やはり「イングランドっぽい」印象でした。軽空母も運用していましたが全て退役済みです。

==インド==

中国の脅威を感じているインド海軍は急速に数・質とも増勢してきています。かつてはイギリスの中古の空母を購入し運用していましたが退役。ロシアから購入した空母「ヴィクラマディチャ」、建造中の国産空母「ヴィクラント」、計画中の「ヴィシャール」があります。「ヴィシャール」はアメリカの技術供与によって電磁カタパルト装備となる予定です。

==フランス==

アメリカ以外では唯一の原子力空母「シャルル・ドゴール」を運用しています。回転翼機搭載の強襲揚陸艦ミストラル」級3隻とともに任務に就いています。空母は少ないですが原子力潜水艦は沢山持ってます。

==イタリア==

空母「カブール」を保有。他用途に使えるように建造され揚陸任務、輸送、病院船などの機能盛り沢山なフネです。イタリア海軍ってイメージあまり無いですね。

==ロシア==

「アドミラル・グズネツォフ」のみ保有。艦齢が高いため近代化改修を施しているとみられますが、最近までシリアへの空爆を実施しています。大型の原子力空母建造計画はありましたが、政権の意向によって中止されたと報じられています。

 

他、タイやブラジルも保有したり計画していたりしますが、どちらも低調ですね。やはり高額な建造費と搭載機とその維持費に苦しんでいるようです。

スペインやオーストラリアでは強襲揚陸艦(軽空母)を運用していますが。オーストラリアは固定翼機を載せず、スペインは「ハリアーⅡ」を搭載(今後F-35Bに)しています。

 アメリカ、中国以外は建造費・維持費に苦しんでいます。計画はしても財政上の理由から中止になった艦も多くあります。日本が検討しているのは「強襲揚陸艦」クラスの中型空母ですが、それでもそれなりに高額になるのは間違いありません。空母保有となれば護衛する艦や補給艦も必要です。ミサイル防衛も進めなくてはならない状況で空母保有は難しいのではと思うのですが、3月20日自民党の安全保障調査会は次期「防衛計画の大綱」に空母保有を提言することを決めました。新造か改修どちらかは決まってはいないですが、前々回(3/13)に書いた問題点はどう解決するんでしょうか。

ただ、「日本が空母保有を検討」という情報を流すことは、中国の海洋進出の脅威を訴える効果はあるでしょうし、対中国を考えると「日本を刺激すれば防衛の為に空母保有しますよ。いいんですか?」というアピールには繋がります。

 

帝国海軍は空母大国

前回、先の戦争開戦時にはすでに日本は空母大国だったと書きましたが、どのようなものだったのかを振り返ってみようと思います。

当時はまだ戦艦が海戦の主役と考えられてはいましたが、空母による航空攻撃こそ重要であると、海軍の山本五十六(いそろく)や井上成美(しげよし)は考えていました。

早い段階で空母の研究をすすめ開戦時には高い技量で世界一といえるものになっていました。

開戦後にも空母は造られていきましたが、資材不足などもあり計画通りには進んでいませんし、商船や他の艦種から改装や変更をおこなって空母にしたものも多くあります。

また、小型の空母は艦隊護衛や哨戒任務、航空機輸送などの任務が主でした。

対するアメリカは開戦時には空母戦力では日本に劣るものの、巨大な工業力を背景に一気に増産をおこない、小型空母(護衛空母と呼称)に至っては毎週末にどこかの造船所で進水していると言われるほど圧倒的でした。

今回はその空母たちの一部概要を見てみようと思います。但し最初から空母として建造されたものと戦艦や商船からの改造などもありますが、区分しないでおきます。

数字は(竣工年/基準排水量トン/全長m/搭載機数)の順。数字はおよそで表記。搭載機数は補用(予備)は含まず。()内は戦没・沈没した場所。なお、資料によっては数字が異なるものもあります。

==第一航空戦隊==

赤城(あかぎ)昭和2年 36,500トン 250m 66機(ミッドウェー海戦

加賀(かが)昭和3年 26,900トン 238m 60機(ミッドウェー海戦

==第二航空戦隊==

蒼龍(そうりゅう)昭和12年 15,900トン 227m 57機(ミッドウェー海戦

飛龍(ひりゅう)昭和14年 17,300トン 227m 57機(ミッドウェー海戦

==第三航空戦隊==

鳳翔(ほうしょう)大正12年 7,500トン 180m 15機(戦後復員船、その後解体)

瑞鳳(ずいほう)昭和15年 11,000トン 205m 27機(レイテ沖海戦

==第四航空戦隊==

龍驤(りゅうじょう)昭和8年 8,000トン 180m 36機(第2次ソロモン海戦

祥鳳(しょうほう)昭和17年 11,000トン 205m 23機(珊瑚海海戦)

==第五航空戦隊==(のち、第一航空戦隊)

翔鶴(しょうかく)昭和16年 26,000トン 257m 72機(マリアナ沖海戦)

瑞鶴(ずいかく)昭和16年 26,000トン 257m 72機(マリアナ沖海戦)

 

==そのほかにも==

大鳳(たいほう)昭和19年 29,300トン 260m 52機(マリアナ沖海戦)

信濃(しなの)昭和19年 62,000トン 266m (回航中に沈没)

雲龍・天城・葛城(うんりゅう・あまぎ・かつらぎ) 昭和19年 17,500トン 227m 57機(東シナ海・呉湾外・除籍後復員船)

 他にも商船・客船から改装された小型の空母が多数あります。

飛鷹(ひよう)隼鷹(じゅんよう)大鷹(たいよう)雲鷹(うんよう)沖鷹(ちゅうよう)神鷹(しんよう)海鷹(かいよう)千歳(ちとせ)千代田(ちよだ)などなど。 

変り種は「信濃」でしょうか。大和型戦艦の3番艦として設計変更され、竣工10日後に横須賀から呉に回航中に魚雷攻撃で沈みます。あっけない最後でした。

その他もほとんどが沈没しています。敵に見つかれば真っ先に狙われるのは空母なうえ、飛行甲板は無防備、艦体の装甲も比較的脆弱。勿論対空機銃などは装備されていますが、さほど命中するものではありません。また艦内には航空機用燃料、弾薬などが大量に搭載されていますので火災が起きれば誘爆してしまいます。

しかし、世界初の空母撃沈は日本の第一、第二、第五航空戦隊が撃沈したイギリス海軍の空母「ハーミス」ですし、空母による大規模な航空攻撃を実施したのも日本が最初です。

対してアメリカは120隻近くが戦中に建造されています。(開戦前は8隻)

当然、パイロット育成も飛行機生産も桁違い。海軍左派が開戦に反対したのはこの事を分かっていたからですね。

しかし、開戦劈頭日本海軍の空母艦隊は無敵といえるものでした。その思いがあるのかどうかは分かりませんが、海上自衛隊に空母を!と言う声は昔からあり、今回の「いずも」空母化計画はどうなるのでしょうか。

個人的には問題が多すぎて実現不可能だと思いますが。

 

空母「いずも」について考えた。

防衛省はヘリコプター搭載護衛艦「いずも型」を改修し、固定翼機(F-35B)を搭載し空母化することを検討していると報道されています。

=空母大国だった日本=

我が国は先の戦争(大東亜戦争・太平洋戦争)前にすでに空母を運用しており、開戦時には世界一と言える空母大国でした。空母として最初から建造された「鳳翔(ほうしょう)」は世界初の純粋な空母であったし、開戦時には練達の搭乗員(パイロット)、練度の高い艦隊運用、世界一の航空魚雷を持ち、開戦劈頭は無敵空母艦隊であったと言えるでしょう。

=再燃する空母保有論=

海上自衛隊発足以降、憲法との整合性や専守防衛というお題目の元、攻撃的兵器と見なされる空母は保有できませんでしたし、日米同盟がある以上その必要もさほど無く、周辺国への対日感情も考慮してさほど議論すらされてきませんでした。しかし近年、北朝鮮・中国・ロシアの軍事的脅威が高くなるにつけ、空母保有論は再燃するのは目に見えていました。(他国を攻撃する為の空母では無く離島防衛を目的とした空母)

そこで考えられるのはアメリカのような大型の原子力空母では無く、「いずも型」の改修だとすると、強襲揚陸艦クラスになります。アメリカは既に「ワスプ級」次いで「アメリカ級」を配備しつつあります。正規空母ほど多数の艦載機は積みませんが、戦闘機を搭載し空母と同様な運用が可能です。さらに輸送や揚陸も可能になっている艦もあります。

=いずも=

「いずも型」は現在2艦あり、満載排水量26,000トン、全長248mと海上自衛隊最大の護衛艦で、対潜哨戒ヘリコプターSH-60J/Kを主に運用しています。艦内に広大な格納庫を持ち、最大14機のヘリを搭載できオスプレイの搭載も可能です。

=F-35B=

空母の能力はなにを搭載するかによって決まります。(空母自体は”航空機の入れ物”)F-35Bとは最新鋭のステルス・ネットワーク能力を持つ戦闘機です。航空自衛隊に順次配備されているF-35Aは通常の滑走路を利用した離発着をおこないますが、F-35Bは短距離離陸・垂直着陸が可能で、カタパルトを必要としません。その代わりに燃料と武器の搭載量も少なく航続距離が短いのが欠点と言えます。

 

さてこの空母保有計画について考えてみます。

 

=利点=

(1)陸上基地が長距離ミサイル・弾道ミサイルの標的となった場合、脆弱な自衛隊の航空基地ではかなりの被害を受けることが予想されます。滑走路に穴が開けば離着陸ができません。回復までの間、空母は残存性を活かして航空作戦を実施できる。

(2)必要な地点まで進出し航空作戦を実施できることは戦略上多様な選択肢を与え、それによって抑止力が高まる事が期待できる。

(3)自衛隊には敵地攻撃能力(目標設定・偵察・装備)が無く、数も少数で航続力も短いF-35Bなら、他国への攻撃論は的外れであり憲法にも抵触しない。

(4)離島防衛の場合は周辺海域への進出を行う事で、陸上基地からの進出よりも時間的にゆとりが生まれる

(5)米軍は有事の際には沖縄の基地から航空機を後方へ分散配置することを検討しており、そのカバーの為には空母化は役に立つ。

 

=問題点=

(6)常時運用するには4隻程度必要になり、艦載機も含めコスト面で膨大になる。なぜか海自には「いずも型」2隻・「ひゅうが型」2隻=計4隻のヘリ空母があるんですが、これは偶然の一致です。多分。

(7)現在でも定員割れの状態で運用している海自の負担が大きくなり過ぎる。

(8)F-35B搭載の場合は、改修がかなり大幅になるうえ改修中は任務に就けない為、対潜哨戒網に穴が開く

(9)F-35B搭載分に応じて対潜哨戒ヘリを減らすことになる。これも対潜作戦には不利にはたらく。そもそも水上艦(特に空母)は潜水艦に弱いため、対潜ヘリの減少は避けるべきである。

(10)海自の本来任務は「シーレーン保護」と有事の際にはアメリカ(空母戦闘群)の「来援基盤維持」。その為の対潜哨戒であり、この能力を減じるのは本末転倒。さらには中国の潜水艦の数と能力は高まっており、数においては自衛隊を圧倒している。

 

などが考えられます。さてどうなるのでしょうか。

 

=運用は可能か?=

予算が潤沢なら新造でしょうが、艦載機と搭乗員もセットで4セット必要ですから、30,000~40,000トンクラスの艦を4隻、F-35Bを6機×4隻=24機、SH-60、MV-22、などの回転翼機を8機×4隻程度としても・・・ん~無理じゃ・・・

海上で運用するF-35Bはメンテナンスも頻繁で費用もかなりなものになると予想できるので維持費も馬鹿高いのではないでしょうか。

また従来の護衛隊群に配備するのか運用形態はどうするのか。

そもそも、費用の増大は国民の合意が得られるのか。いざ桶狭間!ってなった時にスムーズに運用できるだけの法整備はできているのか(できてません)

問題山積で簡単にはいきそうにありません。私はそれよりも以下の手法で海洋進出する中国に対抗すべきであると考えています。

 

=原潜とAWACS

最も効果的だと思うのは、ディーゼル潜22隻体制に原子力潜水艦を6隻程度配備することだと思います。原潜には魚雷と共に対艦ミサイルを搭載し牽制します。原潜は行動範囲が広いうえ、長期間の潜航が可能です。哨戒任務にはぴったりです。(現実的には原潜を持てないので夢です) また、AWACS早期警戒管制機)、空中給油機を増勢し、F-35Aの滞空時間を稼ぎ、LOR,EOR(簡単に言うと前方展開しているレーダーによる迎撃)能力によって対処します。もし敵が上陸したらEA-18Gグラウラー(電子戦機)による対空レーダーの妨害、その後にF-35Aによる攻撃、我がほうの基地の抗堪性(こうたんせい)向上と防空能力の向上、米軍のように分散後方配備による被害の極限、衛星による早期警戒監視システムの能力向上などもセットですが、空母より現実的だと思いますがいかがでしょうか。 

中国は軍事強国へ

我が国が注目しなければならない国として中国は筆頭でしょう。経済・軍事・技術全ての面で我が国は遅れをとりつつあります。チャイナクオリティだとか相手を見下していた時代はとっくに過ぎ去っていて、国力では追いかける立場になっています。軍事についても同様です。確かに以前は規模だけが大きな軍隊であり、日米同盟と自衛隊の能力の前には太刀打ちできず、軍事面では中国は脅威といえるものでは無かったでしょう。

しかし、軍事予算は拡大し続けてきました。習主席の号令の元、猛烈な汚職摘発による中抜きの減少によって、不正流用が減り正規に使える予算が増えてきているのは明らかです。以前は予算規模の割に装備が貧弱であった感が否めませんが、現在は予算規模に応じた装備や研究開発が進んでいるように見られます。来年の軍事予算は前年比8.1%増の1750億ドル(公表値)で、実際はその23倍はあるとされます。この予算規模は予算の停滞する自衛隊を一気に引き離し、このままいくとアメリカのしっぽが見えるのではないでしょうか。中国は日本と比べてもGDPが倍ほど、経済成長率が4倍ほど。かたや日本は長らく減少傾向でしたが、安倍政権によって10年前の水準にようやく戻したところ。比べ物にならないレベルです。 

先ごろの中国国家主席の任期撤廃による安定的政権運営が見込めるようになって、習主席は権力争いからの開放されることとなり、軍制の改革を推し進め 人民解放軍の完全なる掌握を進めています。(軍区の再編成や指揮系統の改革など)

また、宗教面でも中国は長らく続いたカトリックの司教の任命権争いに勝利したことが報道されました。中国が司教候補を提示しバチカン側には拒否権しか与えられないことで双方合意。中国の任命する司教は、当然中国政府の意向に沿う人となるでしょうから、宗教面でも政府の統制が効くようになりました。カトリックはリベラルであるためこれを抑えることは、人権や倫理面、軍事行動での反発を抑えることができます。つまりはバチカンの敗北です。

一帯一路構想による貧しい国への進出による合法的な占領も進んでいます。インフラ整備による借款を押し付け、労働者は中国から。カネと技術は対象国には落ちず粗悪なインフラと借款が残る。対象国は結果的に中国の借金の為に中国の意向に沿うようになります。「返済を猶予するから米軍の寄港を拒否せよ」と言われれば従わざるを得ません。

日本でも北海道の土地は中国資本が買収しつつあり、ようやく問題になりつつあります。一部の国では海外資本の土地の取得を制限する動きもありますが、明らかにターゲットは中国です。

私が危惧するのはAIによる軍事面での能力向上です。AIは新しい分野であるため米国との技術差がありません。中国は早い段階で技術習得の為にアメリカなどに研究者を送りこんでいますので同じ土俵で勝負ができます。むしろ4軍ごとにバラバラな開発研究をしているアメリカより政府の統制の元で一元的に開発している中国が有利ではないでしょうか。またAI搭載によって無人化された兵器は人命を損耗しないため、使用の閾値が低くなるでしょう。

これらをさらに推し進めるためには国内の言論統制、党の統治強化、反乱分子の監視などを強化しなければなりません。

中国は米ソ冷戦を冷静に分析しており軍拡競争による疲弊を誘発することはありえないでしょう。冷戦時代、ソ連は本来は陸軍国であるのに、当時のレーガンアメリカ大統領に悪の帝国と挑発され、軍拡競争に陥り海軍に力を注いだ結果、経済が破たんしましたが、中国は長い時間をかけて着々と準備を進めています。まず経済規模を拡大させ(最恵国待遇や借款などをフル活用)次に先進的な技術の盗用(技術者派遣や留学生、海外投資や合弁)、そして国産化、大量生産、新規開発投資と進めています。政権ごとに方針が変わることは無く、共産党一党独裁だからこそできることでしょう。例えば空母を例にしてみると、ウクライナからワリャーグを購入し改修、訓練用に運用してノウハウを習得してから、国産化された通常型空母の建造を開始、原子力空母は開発を開始しました。搭載機はロシアから購入したものをリバースエンジニアリングで技術習得、ハッキングによる最新鋭技術も獲得。艦載機・ステルス機の運用を開始するまでになりました。さらに巨大市場を背景に先進技術者を海外から招へいし技術を吸収。企業買収によるノウハウの獲得を進め自国開発するという流れです。この方向は今後も変わらず戦闘機。、潜水艦、通信、空母などの装備を充実させ、運用の習熟へとすすむでしょう。そうなるとアメリカとの対立を恐れることは無くなり、覇権国家としての挑戦を始めることになります。日本はどのようにするのか。文書の書き換えごときでドタバタしているのを中国は喜んで見ていることでしょう。

2月7日は北方領土の日

2月7日は北方領土の日でした。実はこの日に間に合わせたかったんですが諸事バタバタしてまして間に合いませんでした。さて、北方領土について改めて纏めておこうと思います。

 

  1. 日本が主張している「北方領土」とは、歯舞諸島国後島色丹島択捉島の3島と1諸島。

  1. 1855年2月7日「日魯通好条約日露和親条約)」で、択捉島と得撫島(ウルップ島・択捉島の北東側)との間で国境線を確認。(北方領土の日が2/7であることの根拠)

  1. 1875年「樺太千島交換条約」によって南樺太(当時日露混在の地)を日本が放棄する代わりに、得撫島から占守島(シュムシュ)までの18島と交換。日本側全権:榎本武揚

  2. 日露戦争後の「日露講和条約ポーツマス条約)」で、ロシアから南樺太を獲得、1906年より国境画定作業を実施。(北緯50度線)日本側全権:小村寿太郎

    ~このころまでは領土問題は存在せず、むしろ双方とも紳士的な行為が見かけられます。~

  3. 1945年8月9日 日ソ中立条約をソ連が破棄し対日参戦し満州樺太、韓国へ進軍。ヤルタ会談での合意に基づく行為であり、日本は一方的破棄を責めますがソ連側は連合国側の同意に基づいた行動)

  4. 8月14日 日本はポツダム宣言受諾を連合国に通告。(ソ連は降伏を根拠にして千島へ)

  5. 8月18日 ソ連占守島へ攻撃開始。

  6. 8月20日 真岡郵便電信局事件。以後も各地で民間人への暴行・強姦・殺害、避難船を撃沈するなどが相次ぐ。

  7. 8月29日 ソ連択捉島占領。

  8. 9月2日 ミズーリ艦上で降伏文書調印。

  9. 9月4日 ソ連国後島色丹島占領

  10. 9月6日 ソ連歯舞諸島占領

  11. 1946年2月2日 南樺太、千島列島の領有権を宣言。(ハーグ陸戦条約および連合国協働宣言1942.1.1に違反する不法併合の開始)

経緯はざっとこのようになっており、ソ連(ロシア)が不法に併合した事実がわかるかと思います。

領土に関していうと実効支配は非常に強力です。竹島もそうですが北方領土に関しては特に強力で、前回も書いたようにプーチン政権は絶対に引き渡すつもりはありません。

最近は民間飛行場の軍民共用化、新型対艦ミサイルなどの配備、基地の整備など軍事力もどんどんと強化していますし、オホーツク海ロシア海軍の聖域として確保するには絶対譲れないラインだと思います。

クリミアでの一件でもそうですし、シリアでも民間人への無差別攻撃は実施していることはほぼ確実であり、武力で不法に併合した事を「いけないこと」だと思う価値観ではありません。「自国の安全確保の為に持てる武力を使うこと」は正当であるとする価値観を持っているのでしょう。実力で支配しているため、北海道の漁民はやむを得ず安全と収入確保の為、民間協定により「入漁料」を支払う事で一定の漁獲高を得るしかありません。

兎に角もまずはそもそも価値観が違う。クリミアでも米欧からいくら非難され経済制裁をされてもブレない。この国と対峙し交渉していかなければならないのは大変です。いくら経済援助や資金協力を提示しても、ロシアも安全保障上重要な場所ですから4島返還は厳しい道のりですね。

北方領土は日本固有の領土です。また全域を世界自然遺産にしても良いくらいです。日本に返還された時には従来型の開発などで自然を荒らすことが心配です。その点だけは大規模開発が双方ともしにくいグレーゾーンであり、資金力が無いロシアが相手だったことは自然保護には貢献していると言えるのではないでしょうか?中国相手なら埋め立て、施設建設で今頃・・・

そうだロシアだ。

このブログにほぼ登場した事が無いのがロシア。

中国、北朝鮮との軍事的摩擦がニュースの大半を占めていますが、ロシアにはもっと注意を払わなければなりませんね。全く不勉強で詳しくはないのですが、それでも幾つかの課題は感じています。

ソ連の崩壊以降、ロシアは経済的に困窮し軍事的には脅威が小さくなっていましたが、プーチンが大統領になった頃から、新興国のエネルギー需要の増大などを背景に経済力が復活しました。エネルギー資源に頼った経済開発は減速してはいるものの、一時の困窮ぶりを考えると、経済力の回復に伴って大国ロシア復活への道を進んでいるようです。ロシアは国連の常任理事国であり、アメリカと対抗できた過去の栄光があり、広大な国土には未開発のエネルギーは未だ豊富です。大国意識が高いのも頷けます。

ロシアについて整理しますと、州や市、地方、共和国など多くの構成体からなる連邦制国家ですが、その権限は構成体によって異なっています。

 

ロシア(プーチン大統領)は焦っているように思えます。

ロシアにとっては中国も商売敵ですが国境紛争は大幅に譲歩して確定させていてるので、当面の脅威は欧州諸国、NATOとアメリカ。日本なんて眼中にないと思いますが。

ソ連時代は本国の周囲は身内とも言える連邦国家群で固め、その周囲は経済的、軍事的影響力の及ぶ東欧諸国。この緩衝地帯ともいえる周辺国がロシアを守っていました。ワルシャワ条約機構だったり、コメコンなどの軍事的・経済的枠組みです。しかしソ連崩壊後、東欧諸国は次々とNATOやEUに加盟し、それに伴いそれらの国々が提供していた工業力、技術力、労働力などがロシアの元を離れていくことになりました。追い打ちをかけたのが温暖化で、一面では北極海の氷に守られていた国土が温暖化で氷に閉ざされる期間が短くなり(場所によれば凍結しない)艦船の侵入が容易になりつつあります。核報復能力として重視していた、戦略原潜は氷の下に潜る事で対潜哨戒から逃れていたものが、水上艦~航空機による発見を容易にしかねないようになり、これらによって相対的に西側諸国に比べて立場が弱くなりました。軍事力はソ連時代と比べて兵員数は激減しており、大規模作戦に必要な演習も足りず(最近は増えつつある)、近代化では特にネットワーク化はかなり立ち遅れているようです。

その為、あの手この手を使って国際社会に自国の行動が安全保障上正当であることを訴え、NATOの東方拡大による脅威、アメリカの一国独裁による世界観の横暴を訴えつつ、一方ではシリアに介入しアサド政権を支援し、ウクライナからクリミアを奪い、(クリミアはロシアが軍事侵攻でウクライナから独立させ、その後連邦に編入したもので力による現状変更は到底認めることはできないとするのが、NATOや日米の見解です。)大相撲の優勝力士”栃の心”の祖国ジョージアグルジア)とは以前に戦闘をしてまでNATO加盟を阻止(事情はもっと複雑ですけど)自国有利の地理的条件を固めようと躍起になっていると思います。

 

ソ連時代にはアメリカに対する核の報復力を維持する為に、北極海弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)を北極海に常時配備していましたが、ソ連崩壊以降、資金が無いため整備もできずにいました。その潜水艦戦力を復活させるべく順次新造~配備しており、核報復能力は復活してきています。潜水艦運用は中国と異なりノウハウと経験は豊富なので、これは新たな脅威となります。

沿岸域にも同時に多数の目標に対する攻撃能力を持つ長射程の地対空ミサイルシステムS-400を配備したり、対艦ミサイル、レーダーの設置などもすすめています。これはロシア版A2AD(接近阻止・領域拒否)です。

近年復活しつつあるロシア軍はシリアを実弾演習の場として使う事で、(つまり民間人も犠牲になる)兵器の能力、練度、指揮系統、運用などの各種能力向上を図っています。一時は鳴りを潜めていた空中パトロールも増加し米軍機に頻繁に異常接近したり領空侵犯も増加傾向になります。

このような事を考えた時にいつも思うのが、日本の北方領土です。ロシアの視点から考えた時、ロシアが4島どころか一部でも返還するとはありえないのではないかと。国後に対艦ミサイルを配備し戦闘機の展開や日本への領空侵犯の数も増加傾向です。また北方領土にも新鋭地対艦ミサイルを配備。

プーチン大統領安倍総理との会談で「北方領土はロシアのもの」と明言したと伝えられています。またいくら「法による秩序」を言ったところで、武力による現状変更と実効支配は世界中で起きており、そうなった時にはもう手遅れで取り戻せないのが実態です。

尖閣諸島・沖縄は中国が狙い、竹島は韓国に占拠されたままであり、北方領土は交渉すらできないまま。取り戻すことは容易でなく、ましてやこれ以上占拠されないという保証はどこにもありません。我が国が考えなければならない事は、効果的に相手の能力と意志を最小化することです。それは抑止力であり経済力であり外交ですが、夫々に限界があり見極めなければなりません。外交無き軍事力の向上は緊張を高めますし、軍事力の向上には経済力が必要ですし、安全が担保されなければ経済力も向上しません。

国際社会は優しい人で溢れている訳ではないのです。

中国が尖閣に武力侵攻をし実効支配を確立した時、世界は日本の味方になってくれると思いますか?極東の島国の小さな無人島と中国の巨大な消費市場を天秤にかけた時、その経済的メリットを無視しても日本に味方する国がどれだけあるでしょうか。

安全保障理事会で「武力侵攻」を非難する決議案がでても、拒否権を持つ中国が拒否して決議は採択されず、国連による「法」の正当性は得られないでしょう。

自衛権の範囲で対応するとしても、占領された土地を取り返す作戦ほど難しいものは無く、双方に戦死も多く出るでしょう。それを覚悟して奪還作戦を決意できる政治家はいますか?世論はその決意を支持しますか?

やはり、武力侵攻を躊躇するだけの能力と法整備、意思表示は必要であり、日本と経済的・技術的に交流しておくメリットを米欧印豪などと共有する仕組みは必要だと思います。それが憲法改正であり(それに伴う法整備)、TPPであり、防衛力整備であり、多国間合同軍事演習(信頼醸成処置)です。

残念ながらまだこの世界は互いを信用できる域までは到達していません。いつかはそうなると信じていますが。

名演説。

ちょこっと更新。

戦争にはプロパガンダがつきもの。
プロパガンダの基本の要素とは、

1stガンダム 宣戦布告時やガルマ国葬の折の、ギレン・ザビ総帥の演説、0083StardustMemoryでのデラーズ演説に多く含まれています。

なかなかの名演説ですよ。^_^;

主な骨子は

1、戦争目的の正しさを訴える。
2、戦力差があっても互角以上である。
3、望んではいない戦争である。
4、相手が不当な兵器を保有している。
5、覇権や権力の為ではなく使命や大義の為である。
などです。

戦争と言う破壊行為にはプロパガンダは必須ですが、破壊だけが戦争ではなく、そこに向かわせる力もプロパガンダの役目です。

これは、政治家達だけの言葉ではありません。
メディアは勿論のこと研究者や経営者もしかしたら一般市民だってその片棒を担ぐかもしれません。


言葉は慎重に使いたいですね。