海洋立国論

勉強のつもりで書いています。

災害派遣で活躍するUH-60J

災害派遣
今回の台風19号は各地に甚大な被害をもたらしていますが、今回に限らず自衛隊都道府県から災害派遣要請があった場合に駆けつける多くの部隊の映像が流れます。そのなかで、ヘリコプターで被災者を吊り上げて救助している映像を見かけます。それが写真の航空自衛隊・救難ヘリコプターUH-60Jです。
また、少し仕様は異なりますが、同様の機体は陸自のUH-60JA 海自のSH-60J/Kなどがあります。

 

救難隊

航空自衛隊の航空救難団には救難隊が10か所(千歳、秋田、松島、百里、新潟、浜松、小松、芦屋、新田原、那覇 )あり、任務の特性上24時間365日待機しています。
ベースとなった機体は、アメリカ・シコルスキーエアクラフト社の「通称:ブラックホーク」であり、日本では三菱重工ライセンス生産し1991年に初号機を納入(2015年以降は能力向上型)しました。
映画「ブラックホークダウン」では、ソマリアの戦地で運用され墜落するシーンが描かれています。
多くの派生型がありますが、中型軍用ヘリコプターとしてはベストセラー機で世界中で運用される信頼性の高い機体です。

 

救難機として
航空自衛隊ではこの機体を魔改造し、人を助けるための装備をし、厳しい訓練を積んだ隊員が5名搭乗しています。(正副パイロット2名、機上整備員1名、救難員2名)
エンジンは2基搭載しており大きな出力を発揮。
航続時間を稼ぐために機体の両横にゴム製の「増槽」(でっかい燃料タンク)を取り付けています。

機体の先頭に突き出た棒は、空中給油の為の「プローブ」と呼ばれる装置。(長距離の進出の場合で空中給油が必要な時に使いますが、全ての機体に装備されている訳ではありません)
機首の丸いでっぱりは赤外線暗視装置で、夜間の捜索をおこないやすくするための装備です。
また機体の側面に丸窓がついていますが、「バブルキャノピー」と呼ばれる下方を広く探索する為の窓です。
パイロットを補助し安全に救助するため、ホバリング(空中停止)を安定してする為の装置や、一定方向に機体を向ける装置、気象レーダーがついています。

 

高い技量の救難員
救難員の試験は28歳以下で
【水泳検定】クロール500mを12分59秒以内、横潜水25メートル以上、水深4mで呼吸停止30秒以上、立泳ぎ5分以上
【体力検定】懸垂10回以上、腕立て伏せ40回以上、腹筋45回以上、かがみ跳躍45回以上、300m走64.9秒以内、重量物(65kg)搬送200m以上 。

合格したら過酷な訓練(教育)を1年。さらに空挺レンジャー」課程を修了しているそうなので、要救助者は助けに来てくれたら、指示に従い全てお任せしましょう。

 

司令官
現在の航空救難団司令(40代)は、川波清明・空将捕・防大32期で、この4月に着任したばかり。

「我が国は昔から地震、台風、火山噴火、大雨、洪水など自然災害が多いところです。こういった災害が発生しないことを心から祈ってはいますが、万が一に備えることも我々の務めだと思っております。航空救難団は24時間365日いざという時に国民の皆様のご期待に応えるべく日々精進して参ります。 」とHPで述べられています。

 

自衛隊を「軍隊」だとして忌避するのではなく、あらゆる災厄から我々国民を命がけで守ってくれる組織として、身近に感じていただければと思います。

(写真は航空自衛隊HPより転載)

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UH-60J