海洋立国論

勉強のつもりで書いています。

現代の魚雷

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「魚雷」(ぎょらい)名前くらいはご存知でしょうか。

正しくは「魚形水雷」と呼びます。
魚雷の歴史は古いのですが、日本はこの分野では先の戦争(大東亜戦争第二次世界大戦)から現在まで最も高性能な魚雷を開発・運用し続けています。

魚雷の構造はざっと「弾頭部(炸薬が入っています)」と「機関部(エンジン・モータ)」「推進機(プロペラ・ウォータージェット)」で構成されています。

先の戦争で日本は「酸素魚雷」を世界に先駆けて開発しました。
これはエンジンの酸化剤に純酸素を使用したもので他国ではなかなか実現できなかった技術です。

通常の窒素の混じった空気は燃焼後に二酸化炭素を排気するため、水面に白い泡の形で航跡が見えるため、攻撃後に発見されやすく回避される可能性が高かったのですが、酸素魚雷は燃焼後に排出するのは、水に溶けやすい炭酸ガスであるため航跡がほとんど見えないものでした。
また、空気と異なり結果的には酸化剤を多く搭載できるため、高い燃焼効率と相まって他国の魚雷よりも数倍の射程距離と遥かに早い速度を誇りました。

さて、現在はと言うと、(と言っても兵器情報は機密事項ですから公開している情報通りでは無いと考えられます)潜水艦用国産魚雷として装備中なのが、89式魚雷長魚雷です。

最高速は100km~130kmと言われています。なによりも「深深度性能」が高く900m程度の深度からも発射できるのです。
この魚雷を搭載している新型の「そうりゅう」型潜水艦は同じく900m程度の潜航能力があると考えられます。

近年、装備の近代化が著しい中国の潜水艦は潜航深度が300m程度で魚雷も同じ。これは「そうりゅう」型が900m深海に潜ってしまえば、相手は攻撃もできない立場になり、こちらは一方的な攻撃が可能という事になります。自衛隊が潜水艦戦力が最も効果的な抑止力であると考えているのは、近頃の海自潜水艦の建造ペースからわかります。
日本は潜水艦の艦体に使用する「高張力鋼」の製造技術が非常に高いため、このような潜航能力を持つことができます。

現在は後継の新型魚雷(G-RX6)を開発中ですが、これはセンサー類の探知能力向上などの高性能化を柱としており、音響画像認識によるデコイ(囮物体)対抗能力、海底・海面の距離検出による目標の直下直上検知するセンサの採用、水素と酸素の燃焼によるタービン推進(排出するのは水)としたため無航跡となるなど機能満載。さらに光ファイバーケーブルによる有線誘導も可能です。大量の情報を軽量な光ファイバーで素早く送信できます。

大型の装備品(水上艦、潜水艦、戦闘機など)に目が奪われがちですが、このように細かな装備品の質が高い事が非常に重要です。

写真は97式短魚雷です。魚雷には潜水艦用の「長魚雷」と水上艦や航空機搭載の「短魚雷」があります。
短魚雷は水上艦においては垂直発射器(VLS)からロケットで発射され、10kmほど飛行後ロケットから分離しパラシュートで着水、目標に向かって音響探査し攻撃する「アスロック」と呼ばれるものもあります。