海洋立国論

勉強のつもりで書いています。

レーダー

知ってるようで知らないレーダーを今回は取り上げます。

レーダーの発達は凄まじいものがあります。
現代はレーダーの優劣が戦闘を左右するレベルです。
近年、護衛艦はじめ多くの軍艦が採用している最新のレーダーが「フェイズドアレイレーダー」と呼ばれるレーダーですが、このレーダーを中心にレーダーについてざっくりと解説してみたいと思います。
前回取り上げたBMDで中心的役割を果たすのが、この方式のレーダーである「SPYレーダー」です。

「一般的なレーダーの基本的な仕組み」

現在使われているのは「パルスレーダー」という種類です
これはアンテナから電波を一瞬だけ発信します。ほぼ光速の電波の波は真っ直ぐに進み、何か電波を反射するものがあるとすかさず返ってきます。アンテナはこの反射波をキャッチ、往復にかかった時間などから反射したものとの距離や大きさを図ります。

従来のレーダーは二次元レーダーと呼ばれ、平面的な測定しかできないものでした。距離・位置・高度・大きさなどを詳しく知る必要がある時は、性質の異なったレーダーを組み合わせて使うなど工夫が必要でした。衛星放送などを受信する時に見るアンテナはパラボラアンテナですが、これは極めて指向性の強いアンテナで、発信した電波のエネルギーは拡散せずに遠くまでアンテナの向きに真っ直ぐ飛びます。逆に弱い電波でもお皿(反射器)キャッチすれば、中央の受信機に収束します。この能力は極めて重要で、電波望遠鏡が巨大なパラボラアンテナであるのはこのためです。

しかし、飛行機を見つけるなどの対空レーダーとして使う場合は、全周360度を探る必要があるため、アンテナ自体を回転させ、なおかつ秒間に何百回と言う電波のパルスを発信しなければなりません。
また、アンテナが向いていない時は目標を一時的にロストしているため、(1周すればまたキャッチ)ミサイルの誘導などには不向きです。ミサイルを誘導するためには目標にアンテナを固定しなければならないので、戦闘艦艇には専用の「射撃管制レーダー」が搭載されています。
しかし多数の目標が見つかった場合はレーダーの数以上となれば同時対処ができません。前回も書いたようにイージスシステムは「ソ連のミサイル飽和攻撃」に対抗するために開発されています。このレーダーの方式では対応できない事は明白です。

「フェイズドアレイレーダーの登場」

そこで、開発されたのが「フェイズドアレイレーダー」という革新的なレーダーです。

写真を見てください。艦橋両脇に六角形ぽい板が取り付けられています。これがそのフェイズドアレイレーダーです。この中に小さなアンテナ素子が沢山入っています。アンテナ素子がそれぞれの電波を飛ばす角度をちょっとずつ制御して、電波の波を上手い具合に任意の方向へ飛ばすことができます。(これは上下左右45度~60度くらいの範囲)一秒間に何千回もこの作業を繰り返すのです。

事実上はずっとレーダー波を照射し続けているのと同じになります。索敵と射撃管制、誘導など、従来は複数のレーダーが担った機能が、このレーダーだけで可能になりました。
またこのレーダーのエネルギーは強烈なようで、レーダーの作動中は甲板に出てはいけないという話もあります。
電子機器の塊で大きく重いため、小型艦艇には装備できず、膨大な電力を消費します。
全周を見張るためには4基ほど必要な為、護衛艦などは艦橋前面左右や後部構造物の左右など4か所に取りつけられています。

自衛隊ではイージス艦にはSPYレーダーを装備していますが、一部機能を簡略化し小型・軽量にしたFCSー3とかOPYというフェイズドアレイレーダーも開発し、汎用護衛艦などに採用しています。米軍も小型軽量な多機能レーダーを開発し装備しています。これらは電子制御技術とコンピュータの高性能化が実現させたものです。

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