中国を舐めたらアカン!
戦前の世界(欧州)は軍事的にバランスを取る勢力均衡によって平和を維持し、第二次世界大戦で日本とドイツという挑戦国を退けたのちアメリカは、日独を同盟国として取り込んでロシアに対抗しバランスをとってきました。
広大な国土ゆえに戦略的に縦深性が高いため、ほぼ侵攻不可能なソ連に対し日米独英という巨大連合はアメリカの覇権維持に重要な役割を果たしつつ、冷戦という一歩間違えば世界の破滅を迎えそうであっても、大国間の戦争は抑止されてきました。
結果からみれば不安定であっても大国間戦争の抑止された状態で言わば平和な状態でした。
日米同盟の強化が必要な理由は東アジアに「力の真空」を作らせず、安定的な東アジア情勢を構築するためですが、欧州のNATOのように共通の価値観や歴史的繋がり、政治体制などがある訳では無い東アジアは、価値観・政治体制・経済力などが異なりすぎるため、アメリカの圧倒的「力」によって安定させ、東アジア各国は、ある種の「共同体」を構成し目的を達成しようとしています。
もし、日本が防衛努力を怠り、日米同盟の信憑性が低くなった場合、敵対国は戦争を仕掛けるかもしれません。
こちらが望まなくても戦争で得る利益が大きいと相手が判断すれば起きうるのが戦争。
意志×能力=戦争リスクですが、相手の能力が急速に高まりつつある現在において、物理的な能力としての「防衛力」と同盟などの信憑性を高める努力をし続ける必要があります。
攘夷です。夷荻は打ち滅ぼさなければならない。との思いが根底にあるのだろうと思います。
ニュースでの報道官声明などを見ても「中国によって統治されて安定的な世界を築くことができる」と真剣に思っているような気がします。
将来の戦いは「智能化戦争」と認識しています。正確な認識だと思いますし、そうなるように技術の軍民融合をすすめ先端技術の軍事転用を国策として推進しています。
表を見てください。こうして並べてみると、中国のしたたかさがわかります。
日本が防衛費1%を越さず、憲法も改正せず、靖国神社参拝を中止し、ミサイルの射程も延ばさず、核も戦略原潜も空母も持たず、それどころか国家の姿を議論すらせず、ひたすら隣国たちを刺激しないように、隣国に円を供給し続けている間にも、中国はしっかりと自分の論理に基づいて行動しています。
こちらを忖度なんてしません。
国際法に準拠しなくてもまずは独自の判断で制定できる「領海および接続水域法」「海警法」などを続々と整備。批判も「国内問題」として一蹴。
国際ルールに則らず独善的で軋轢はあるものの、経済ではある種まっとうな投資をしてきました。
優秀な子供には高い教育や留学を与え、成長させる産業には集中的に投資し企業を育成。
海外からの投資と企業誘致を呼びこみ、都市部は急速に発展させました。
経済力こそが力の根源であり、その源は膨大なエネルギーに支えられます。
南シナ海にはクウェートの埋蔵量に匹敵する海洋資源と豊富な漁業資源があるといわれ確保を目指しつつ、それだけではエネルギー需要を支えられないため、中東からの輸入に頼らざるを得ない事も認識しチョークポイントである海峡の安全保障も確保しようと陸軍を削減しても海空軍を強化しています。
能天気な日本も官僚の不祥事ごときで時間を割くのではなく、国家運営に関しては見習うべき点も多いと思います。
さて、プロイセン国の軍人で軍事理論で有名なカールフォンクラウゼビッツ(1780-1831)の著書「戦争論」の冒頭の有名な言葉に「戦争は異なる手段をもって行われる国家の政策の延長にほかならない」とありますが、中国はそのことをよく理解しています。
逆説的に言えば「戦争は武力行使や戦力投射であるとは限っていない」と。
現在はあらゆるものがネットワークで繋がり、高速化で人やモノ間の距離も障害となりにくくなりました。
軍事的手段と非軍事的手段は区別されず、あいまいです。政策目標を達成するための手段は武力で無くても良いのです。
また高度なレベルで軍民融合した情報コントロールは戦時において有効なだけでなく、他国および国内の世論誘導や情報統制に有効である事は、近年の「アラブの春」でもSNSが大きな役割を果たしていたことからも伺えるます。
クラウゼビッツはこうも言っています「戦争を抑制するものがあるとすれば、戦争に内在する力の均衡だけである」
まずは2027年が注目すべきポイントです。
我が国も政府も進むべき道をしっかり見定めてく議論をして欲しいものです。