海洋立国論

四方を海に囲まれて。

台湾侵攻

2019.12.11に「中国は覇権国家を目指す」と題してざっくり書いたのですが、それから8か月。終戦記念日を迎えるにあたり、また李登輝氏の死去もありましたので、中国について改めて書いておこうと思います。

【止まらぬ中国】
香港の国家安全法、台湾への恫喝、ブータン東部の領有権を勝手に主張し、インド・カシミール地方でのインド軍との衝突とその後に領土を拡張し兵舎を一方的に建設、尖閣近辺での嫌がらせ、WHOなどの国際機関での情報隠ぺい、宗教弾圧やウイグル族の弾圧、長期融資による債務のワナ・・・

「中国は覇権国家を目指す」の項でも書いたのですが、習金平主席の目標は「中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現」 で、その第一には国家の統一があげられ、それは台湾と香港の完全なる統一が最初の目標です。

香港は返還後50年を待たずにイギリスとの約束を反故にし「国家安全法」を制定し香港の自由を奪い共産党の指導下におきました。世界の反発はありますが、だからと言ってどの国も正当性のない武力行使はできません。共産党にとっては次は台湾だと自信を深めたように思います。

待たなかったのは、習金平主席の存命中に目標達成をしたかったのでしょうか。

【台湾統一までの道のり】
台湾を統一するには「武力」による併合しか選択肢はありません。しかしアメリカが目障り。

その為にデジタルABCD+G(Ai・Blockchain・Cloud・DataCenter・5G)での市場獲得を推進して経済力と技術力をつけてきました。この経済力と技術力を活かして軍事力を着実に成長させ、台湾侵攻に際して欧州・米国の関与を拒否できると判断する時が近いのかもしれません。

台湾統一と自国産業の維持のため、南シナ海の軍事基地化をすすめ、東シナ海では日本の尖閣諸島に対する嫌がらせをしつつ、鹿児島~沖縄~石垣のラインへの進出準備を進めてきました。

【侵攻を想定】
さて、台湾を武力統一する場合を想定してみます。

まず、大事なのは時間です。一気に占領し民主政権の転覆と臨時議会の設置などの体制変更を迅速に行わなければなりません。時間がかかると自由主義国家の関与を招きます。
一旦併合してしまえば、ロシアのおこなったクリミア半島併合と同様、他国が中台間の取り合いに武力で関与はしにくくなります。中国は台湾軍を一気に制圧できる航空戦力・ミサイル戦力は十分。上陸能力は力を蓄えつつあります。

侵攻は西側(大陸側)から始まります。侵攻後に順調に作戦を進めるには海上及び航空優勢を確保しなければなりません。しかし台湾の東側は高い山が連なっているため、侵攻軍は地上からレーダーによる監視や攻撃ができないので、東側から台湾の支援に向かう在日米軍海兵隊などの警戒監視や防御の為には、東シナ海第一列島線あたりに進出した海軍がおこないます。

中国海軍は訓練用として空母「遼寧」を運用し空母運用のノウハウを蓄えたのち、中型の空母「山東」を就役させ3隻目の003型は建造中。その後も計画は目白押し。そのモデルは「米海軍」であり、駆逐艦・潜水艦・補給艦もセットとして遠洋作戦能力を高めた艦隊運用によって、他国海軍の接近拒否をおこないます。

【INFの失敗】
INF(中距離核戦力全廃条約)に縛られる事が無かった中国は、核・非核を含めてASBM(対艦弾道ミサイル)DF-21D「通称:空母キラー」や東風26「通称:グアムキラー」などの準中距離~中距離弾道ミサイルを多数保有しています。それらが狙うのは「米軍基地」「自衛隊基地」「空母打撃群」などです。

日米に限らず自由主義国家では、国民である兵士の犠牲が甚大な場合は政権批判がおこり戦意を沮喪させられるかもしれません。ミサイル1発で高価な艦隊とともに乗り組み員数千人の人的被害は割りにあわず、勝ったとしても米国はそれほど大きな利益があるわけでもない台湾から手を引くかもしれません。武力による恫喝が効果を発揮します。

反面、民間への被害が甚大である都市部、戦時国際法違反である原発やダムなどのインフラへの攻撃は行わないとみられます。民間への被害が出た場合は、反米国家でさえ中国を非難せざるを得ず、民間資本の中国外への流出もあり得ます。そうなると中国には大打撃でしょう。事実、天安門後に中国は苦しみました。戦時国際法違反ならば共産党の主張する「法による統治(ご都合主義ですが)」の正当性が失われます。

海峡封鎖
米海軍の西側からの侵入に対してはバシー海峡などの封鎖を実施。横須賀やグアムから台湾西側に回りこむのを妨害します。これは主に潜水艦によっておこなわれます。

日本の生命線であるバシー海峡マラッカ海峡などを封鎖されると、生活コストが上昇し国民には厭戦気分と政権批判が高まり対中融和派が台頭するでしょう。

尖閣対応】
日米安保の対象と米軍が明言してる以上、中国が尖閣諸島には手を出すとは思えませんが、嫌がらせに耐えきれず日本が法的根拠もないまま中国公船を拿捕や攻撃すれば、第一列島線に中国海軍を進出させる口実を与えることになります。

ここは慎重に対応しなければなりませんが、国家の意思表示はする必要があるでしょう。日米豪英などで共同訓練などはアリではないかと思います。4か国共F-35戦闘機を運用しています。
英国は最新鋭空母クイーンエリザベスを中心とした空母打撃群をインド太平洋に常駐させるオプションを策定しており、常駐するとなれば艦隊や艦載機丸ごと受け入れ可能なのは日本です。米空母艦隊も常駐していますし、帝国海軍を支えたインフラと高い技術力を持っています。日本も「いずも」をF-35運用可能に改修します。その事前訓練にもなるでしょう。

【反中連合】
中国に対する締め付けも厳しくなっています。ファーウェイやTikTok等に対する制裁やヒューストンの中国領事館閉鎖命令、前述のクイーンエリザベスの展開、イージスアショアのグアム配備、INF離脱による中距離弾道弾開発、台湾への武器売却(F-16戦闘機、M1A2戦車、Mk48魚雷)や交渉中のMQ-9無人機、環太平洋合同演習(リムパック)への台湾の招待、米軍の無人空中給油機開発による作戦行動半径の長距離化とミサイルの長射程化、豪州も軍事費を大幅に増額しますし、オーストラリアの上院議員アデレードの中国領事館閉鎖を要求するなど、次々と進んでいきます。

【誇りある国に】
日本もだんまりを決め込む訳にはいかないのです。経済は中国頼りで安保はアメリカ頼りなんて身勝手で国家の意思の見えない、国益を堂々と主張しないそんな軟弱な国であってはならないのです。

遠くマリアナやソロモン海、フィリピン、シンガポール満州アリューシャン、インドまで進出し、戦後の世界地図に影響を与えた日本は、現在の世界秩序においては責任を果たす強靭な国民と国家であるべきと終戦記念日に思います。