海洋立国論

安全保障・軍事について自分自身の勉強のつもりで書いています。

中国は覇権国家を目指す

▼習金平の指導力

中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現」・・・これは習金平総書記が就任した時に目標として掲げた言葉です。

絶対的権力者である彼の言葉はそのまま中国の国家運営方針となり、そのなかで「核心的利益」を5つ掲げてその点に関しては譲らない事を方針として着々と進めています。それらの意味を解釈すると以下のようになると思います。

1)国家の統一

 台湾と香港の完全なる統一と新疆ウイグル自治区チベット自治区を維持する。また思想や宗教を制限し完全なる統一を目指す。

2)国家の安全

 列島線を設定し対アメリカに対し「A2/AD(接近阻止・領域拒否)」をおこない、軍事的な介入を阻止する。

3)領土の保全

 南シナ海、対ロシア、対インド、東シナ海での領土を保持、または拡張する。

4)中国の憲法による社会の安定

 共産党一党独裁政権の維持。共産党支配による中央集権体制による統治。

5)国家の主権

 これらの国家主権に係る諸問題に対して、他国の干渉を受けず介入は認めない。干渉、介入には厳しく対処する。

こういいつつも、中国にとって好ましい態度を取るなら「協調的関係を築き平和発展の道を歩む」としています。 

つまりアジアの盟主となろうと考えているのでしょう。 目的は明確です。

 

▼経済と軍事は政治にリンクする

実際、中国は急拡大する経済力を背景に、「一帯一路(シルクロード経済ベルト)+(21世紀海上シルクロード)」を提唱し、AIIB(アジアインフラ投資銀行)を設立・発足させ、投資を進めています。「一帯一路は」アフリカ・ラテンアメリカ・北極圏まで拡大させています。

習金平はアメリカを始め先進諸国による「先進国有利ルール」を不公平と批判、中国をリーダーとするアジア中心の安全保障ネットワークを構築し、中国にとり好ましい安全保障環境をつくろうとしています。

そのため、軍事予算を大規模に増額し軍編成の再編と空母機動艦隊の創設を始めとした海軍力の強化をおこなっています。

元来は陸軍国であった中国ですが、広大な海洋を支配しなければ自国の影響力は限定的ですし、物資を締め上げられればお手上げです。

そのため、アメリカに対抗するため、本心では信用を全くしていないロシアとの関係改善を図り、国境紛争を決着させたうえ、ロシア主導の「ユーラシア経済連合(EAEU)」と一帯一路をリンクさせ「大ユーラシアパートナーシップ」を構想、資金面でもロシアとの繋がりを深めようとしています。

中国の恐ろしいところは、このように「目的の為には敵とも手を結ぶ」ことができる点です。

 

▼自信を深める人民解放軍

成長する経済による軍事力の強化は中国軍に自信を与えました。

南シナ海での横暴なふるまいをし、海域に九段線と呼ぶラインを一方的に設定し周辺国を軍事力で威圧、フィリピンの提訴によって常設仲裁裁判所の裁定で「敗訴」すると、「紙くず」として無視、さらには同海域での米軍機(P-8)や艦船(カウペンス)に対する挑発行動。

東シナ海では尖閣諸島を巡っての常態的な接続水域や領海への侵入と火器管制レーダー照射や防空識別圏(ADIZ)侵入による自衛隊機の緊急発進の増加(30年度で約1000回のうち65%ほどが中国機)

 

香港や台湾、ウイグルチベットの問題に対して、これを批判するものは【国家の主権】を犯すもの、内政干渉として非難しています。

 

経済的に中国依存が強いASEANは、アメリカのASEAN政策への不信感もあってこれらの行動を全面的に非難はせず言わばある程度黙認してきました。

一方で、成長する経済力を背景に台湾の外交関係を妨害、他国へ華人流入することによる世論への影響力の増大、中国の意に沿わない時には旅行者の制限や輸出制限なども堂々とおこなっています。(シャープパワーの行使・2018/09/20)日本でもレアメタル問題がありましたし、韓国では旅行の制限などもしました。

 

これらの行動の原動力は「経済力」ですが、それを「中国は夢の巨大市場」としてもてはやし育ててきたのは、他でもない「日米欧」の先進国です。

中国はその受益者であったのですが、その受益者が今は脅威となりつつあります。

 

経済力と軍事力を背景にして中国に有利な国際環境を作り上げようとしているのは明白です。

 

日本も北海道の原野を大規模に買収(10,000ヘクタールを超えるとも)し、一帯一路のルートとして北海道に触手を延ばしています。「即位正殿の儀」に出席した王副主席が出席後に北海道を訪問したことでもその意味がわかると思います。

南西諸島も丸ごと買い取りたいとの情報もありますし、基地問題を契機として沖縄への関与をますます強めています。沖縄は南西方面防衛の要ですし、本国以外の米軍最大の根拠地ですので安全保障上の脅威となります。

 

▼対抗する太平洋諸国

【米・豪・ASEAN

アメリカは「貿易戦争」「資本流入の制限・株式市場上場への制限の検討」「香港人権法・ウイグル人権法の制定」、ファーウェイ(5G)技術への締め付けなどの手を打っています。

 オーストラリアも「反スパイ法」を成立させ、ビジネス名目の中国のスパイ活動に対処、外国からの政治献金を制限し内政干渉を防止するなどしています。

ASEANはPOC(南シナ海における関係国の行動に関する宣言)を採択し、COC(行動規範・非公開)を策定しつつあります。

 

【日本】

日本は安倍政権の提唱した「自由で開かれたインド太平洋戦略」に、アメリカやインド、ASEANが賛同、そのASEANはインド・オーストラリアとの関係を強化。

Quad (日米豪印)戦略対話の開始、TPPやRCEP(東アジア地域包括的経済連携)による協調路線(取りこみ)の模索などをおこなっています。

自衛隊は中国海軍との国際交流の促進、南シナ海での潜水艦の浮上による示威行為、海自最大の護衛艦「いずも」「かが」などの派遣や、先だっては「ロナルドレーガン」「いずも」との共同訓練、多国間訓練の実施や沿岸諸国への寄港などで抑止を図っています。

 

▼幼稚な政治と国民 

しかし国内の法整備は遅れており、土地の買収に関する危機感も欠如しています。

特に自衛隊基地や港湾、空港などの周辺土地の買収や、企業買収による情報漏えいは国家の安全保障に関わる重大な問題です。

海洋防衛に死活的に重要な潜水艦隊基地の周辺の土地を買い取られ、そこから監視・攻撃されたら・・・

軍民供用の空港で意図的に中国旅客機が滑走路上で事故を起こしたら・・・

サイバー戦の人員数でも桁が違うので対抗できるはずがありません。通信インフラをコントロールされたら・・・

 

夢ではなく有事には容易に想定できる事態です。善意で国際関係は生き残れません。

無慈悲な暴力はいつ襲ってくるかわかりません。世界中で戦争は起きているしテロは絶え間いのです。

ちょっとした花見ごときの問題で国会を止めるなど能天気も良いところです。

気づかないうちにあちこちに「五星紅旗」がはためくことになりますよ。

 

ぼーっと報道に踊らされてるんじゃねーよ!