海洋立国論

安全保障・軍事について自分自身の勉強のつもりで書いています。

東京オリンピックとインパール作戦

なぜインパール作戦のことを書こうと思ったのか?

それは最近「東京オリンピック」を「インパール作戦」になぞらえる人のSNS投稿を見たからです。いつかは書こうとは思っていましたが良い機会?なので (^_^;)

インパール作戦のことを知っている人は多いと思います。書籍も多くテレビでも特集とかありますしね。

 

概要

大東亜戦争末期の1944年(昭和19年)3月から7月まで日本陸軍がおこなった作戦です。

インパールとはインド北東部にある急峻な山岳に囲まれた盆地にある町。

当時インドはイギリス領でしたが、イギリスは日本が支那(中国大陸)で戦っている「国民党軍(蒋介石政権)」に支援をしており、そのルート(援蒋ルート)を遮断するため、実施しました。

司令官は「牟田口廉也中将・十五軍司令官(後に予備役)」上官は「川辺中将(後に大将)」です。

 

あまりにずさんな計画で参謀本部でも反対意見があったのですが、この二人が強行し多くの戦病死者を出した最悪の地上戦でした。

1月ごろに開始し雨季までに決着させるという根拠のない計画で始まったため、食料や資材運搬の車両手配も間に合わず、また食料補給は途中の町で徴発(奪う)するか戦利品で得ることや、運搬に牛や羊を使い順次食料にしていく(駄牛中隊)などを計画します。いや・・・いつの時代?って感じです。

 

そのため1か月程度の食料を携行して徒歩で進軍することになりました。さらに部隊の集合が遅れ行動開始は3月8日となりました。

対するイギリス軍は、倍の兵力と5倍の航空機をもつ重装備の部隊で制空権も握っていました。

この作戦前には現地に詳しい参謀たちがいたのですが、軒並み反対するので次々にクビにしてしまい、組織改編の際には現地に詳しい参謀が殆ど残っていなかったのです。

 

作戦開始したけれど・・・

劣悪な条件のもと、兵士は1か月で500kmを徒歩で山中を行軍。

駄牛中隊の牛たちは、途中の崖から転落したり、渡河中に水死したり、敵の攻撃に驚いて逃亡したり・・・結果、積んでいた弾薬や食料も散逸し戦力が減少しました。

インパール近くにはたどり着いたものの、空輸で補給するイギリス軍に頑強に抵抗され、持久戦の様相を呈します。インパールはモンスーン地帯で、雨季には滝のような雨が降ります。周囲はヒマラヤを望む山岳地帯、乾季には小川でも雨季には激流。道は泥沼で車両や銃砲は運びづらく、火もなかなか着かないのでコメも炊けず、生水は危険でも飲むしかない。

そして赤痢マラリアに罹患し兵士はバタバタと倒れていきました。補給も無いので攻撃するにも弾もない。

 

さっさと撤退すればいいものを、メンツにこだわる二人は顔を見合わせて威勢のいい掛け声だけはるか後方から。「やめる」を決断できないまま続け、士気は下がり死者(病死)は増え続ける。

退却を進言し続けた佐藤中将は、5月に死刑覚悟の命令違反によって部隊を後退させました。本来であれば軍法会議(陸軍刑法42条)ですが、表ざたになって監督責任を問われる事を恐れた参謀本部は、うやむやにしてしまいます。

この現状を知った、東条英機首相・参謀総長は7月1日に天皇に「作戦中止」を上奏し、翌2日に南方軍が中止命令、5日には中止され司令官は8月20日に解任されました。

 

白骨街道

日本兵からの感染を恐れ、追撃してくるイギリス軍は道端で見かけた日本兵の生死に関わらずガソリンを掛け焼却。それが無くても足を止めたら、戦車に踏みつぶされたり、トラやヒョウ、ハゲタカに生きたまま食われます。

結果、参加兵力のおよそ70%を損失。退却路は「白骨街道」と呼ばれ、現地の政治状況などから近年まで遺骨収集事業も行われていませんでした。

この戦いにはINA(インド国民軍)も参加しており、日本降伏後独立運動に参加、後にインド独立を勝ち取ります。

インド初代首相のネルーは「インドは程なく独立する。その独立の契機を与えたのは日本である。インドの独立は日本のおかげで30年早まった。この恩は忘れてはならない。(後略)」と語っています。

 

2つは同じ構図

このインパール作戦東京オリンピックが似ているとは、非常に的確に思えます。

(大文字=インパール作戦 小文字=東京オリンピック

 

A.雨季(季節)を考慮しないで実施した。兵士の都合ではなく司令官の都合。

 a.真夏に実施。選手の都合ではなく放送権(収益)の都合。

B.掛け声はいいが、具体的な作戦計画が杜撰。

 b.アスリートファーストと言いながら、水が・・・日差しが・・・

C.兵站を無視した作戦を強行。メシとタマが無けりゃ戦えない。精神論では勝てない。

 c.選手の体調管理なんて自身でしてねと言わんばかり。

D.責任の所在があいまい。参謀本部なのか、現地司令官なのか。

 d.森さんとこ?小池さんとこ?それとも政府なの?

E.組織内の融和と序列を優先し、合理的結論を導かず決断できない組織。

 e.JOCと東京都、財界、政府・・・誰が決めるの?

F.二百三高地以来の「突撃」のみの作戦。

 f.ボランティアの扱いが・・・

G.管理責任を負わない保身主義。

 g.小池さん見てたら・・・ねぇ・・・

H.気に食わない意見を言う人を除外する。理由は「組織の調和を乱すから」

 h.多分「これじゃ駄目だ」って言ってた人もいるだろうなぁ。(証拠は無い)

I.能力も無いのに希望的観測のもとに戦線拡大。

 i.借金大国で労働力不足なのに。いつまでJapan as No1のつもり?

 

日本人って75年たっても変わらないなぁと思います。

 

オリンピック組織委員の方々、少しは戦史の勉強したらどうでしょう?

良い教材になりますよ。多くの方の死が少しでも役立つのではないでしょうか?

 

 

こんな遠くまで行ってたんですよ。 (GoogleMapより)

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インパール周辺。盆地の様子が分かりますね。 (GoogleMapより)

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