海洋立国論

安全保障・軍事について自分自身の勉強のつもりで書いています。

原子力潜水艦がいいな・・・(1)

以前にも書いたのですが、私は「空母保有」については基本的に反対です。

それよりも・基地の抗堪性強化・早期警戒機の増勢・潜水艦戦力の増勢が優先であろうと考えています。そのうえで原子力潜水艦の配備が最も効果的であると考えていますが、我が国では空母保有以上にハードルが高いですね・・・

 

今回はなぜ原子力潜水艦(以下:原潜)が効果的であるかを考える前に、まずは現状を整理します。

・日米同盟下での海上自衛隊の基本的役割とは

  a シーレーン海上交通路)の安全確保

  b 有事の際の米軍来援基盤の維持

つまりはこの2点であり、その為の防衛力整備に注力してきました。確かに軍事組織であるが故の自己完結性を活用して災害派遣に、機動力を活かして離島からの急患輸送、軍隊であるが故の南極への輸送任務や流氷観測などの任務も実施していますが、あくまで主任務は上記2点であり、他国の領域への軍事侵攻や侵略、威嚇などは行いませんしその能力もありません。

四海に囲まれ、資源の輸入も製品輸出もすべて海を超えなければならない日本は間違いなく「海洋立国」であり、アルフレッド・セイヤ―・マハン(1840-1914・米海軍・戦略家)が提唱した「シーパワー」が必要な国であり、地政学の基礎となった、マッキンダー(1861-1947・英地理学者)は、日本をシーパワー大国とみなしていました。

資源確保は国家運営の基礎であり、安全保障上最重要項目と言えます。

先の大戦では日本が資源獲得の為におこなった南部仏印(フランス領インドシナ)への進駐は米英の経済制裁(対日石油輸出禁止など)に繋がり、日本国内の早期開戦論に勢いを与えたことで戦争回避が不可能な状態へと進みました。

資源の多くが通過するシーレーンとは海上交通路と訳されますが、ある国家にとって経済・軍事面で極めて重要なルートのことです。

日本の生命維持にとって重要な原油を運ぶシーレーンは、ホルムズ海峡を出てアラビア海を通りマラッカ海峡ロンボク海峡(これらをチョークポイントと呼びます)などを通過、南シナ海を経て日本へやってきます。石油などのエネルギーは生命線であり、これを干しあげられるとどうにもなりません。特にチョークポイントを抑えられるとどうにもなりません。

つまりシーレーンの確保は国家の安全保障上、最重要と言えます。

 

海洋国たらんとする中国の意図

中国は貿易など経済面でも日本とは深いつながりがあります。また、日本には本国以外では最大の戦力を置いている在日米軍があります。正面からの武力による侵攻や威嚇は日米中での全面戦争の引き金にもなりかねず、自国にも大きな損失を与えることになります。偶発的な事態から戦争に発展すること(エスカレーション)を避けるための連絡メカニズムなどの構築もされており、大国間での全面戦争はまず起こりません。マスコミや一部の人の危機を煽るような論調には同意しかねます。

しかし、中華思想と言われるように中国は世界の中心であろうとしているのは多くの事例から認めざるを得ないですし、中国にとっての安全保障観からすれば、アメリカと太平洋の出口である日本が邪魔で仕方がありません。

長期間をかけて南シナ海を自国の保護海域とし、アフリカ諸国などの小国を中華マネーでコントロールし、米海軍を自国沿岸から遠ざける装備体形を整えてきました。

また、2003年中国中央軍事委員会において採択された「三戦(輿論戦、心理戦、法律戦)を駆使してきました。

もし、我が国の尖閣諸島で武力紛争が発生し、日本が自衛権を発動した時、中華マネー(旅行者や投資など)を日本から撤退させるでしょう。それは一部の日本国民・企業が反発するでしょう。そうなれば領土(例えば尖閣)を放棄して中国と和解する政治家も多く出るでしょうし、政府も妥協するかもしれません。

これはハーバード大教授ジョセフ・ナイ(1937-)が提唱する「ソフトパワー」の行使の二段階モデルと言われるものに相当しています。つまり相手国の国民等への働きかけなどにより、エリートの決定に間接的に影響を与えようとしています。現代ではSNSやメディアを通じてのプロパガンダフェイクニュースも活用しています。シリア問題に対するロシアが好例ではないでしょうか。

あとはアメリカを追い出す(もしくは遠ざける)だけです。

その為に、南シナ海戦略原潜の聖域とし、新型中距離弾道ミサイル(DF-26・射程4000km核非核両用)を配備し、沖縄の在日米軍やグアムの米軍にプレッシャーをかけています。第一撃を避けつつ反撃を期するには米軍はグアムより遠方に遠ざける必要がありますし、そうなれば東シナ海での軍事行動がやりやすくなります。日米は軍事同盟の最重要課題である「即応性」が失われることになります。軍事同盟は「即応性」「双務性」がなければ成立(信用)できません。

米軍を追い出すには日本国内の反米感情を高める必要もあります。基地問題に乗じる手もありますし、オスプレイを取り上げる方法、SNSでローカルな事件事故を拡散する方法、一見エビデンスがあるようなデータを列挙し不安をあおる方法・・・あの手この手を使います。軍隊と言うのは相手国の信用や良好な関係がなければ駐留しにくいものです。

世界中でパワーバランスや安全保障環境が30年前とは大きく変わっています。日本は独自の安全保障観とドクトリン(基本原則)や法整備と防衛力整備を急がなければなりません。

==次回につづく==