海洋立国論

安全保障・軍事について自分自身の勉強のつもりで書いています。

現代の空母事情

さらに今回も空母ネタです。

海上自衛隊ヘリ空母「DDH183-いずも」の空母化(F-35Bの搭載)から始まった空母ネタ。前回は先の大戦時において日本帝国海軍が空母大国だったことを書きました。では現状の世界の空母保有状況はどうなのでしょうか。

==アメリカ==

アメリカ合衆国海軍】

空母の最大保有数、展開能力ともアメリカはダントツです。11隻保有しており全て原子力推進空母です。(「ニミッツ級」10隻と最新型の「フォード級」1隻)

ニミッツ級は1番艦「ニミッツ」が1975年就役、その後順次建造がおこなわれ、10番艦の「ジョージ・H・W・ブッシュ」は2009年就役と長い間作られてきました。横須賀を母港とする「ロナルド・レーガン」は9番艦です。

建造中に技術の進歩と共に少しずつ異なりますが、基本は同じで各艦70~90機を搭載しています。搭載機は多種に及び、戦闘攻撃機、警戒機、ヘリコプターなどです。

今後の旧型の退役に伴い新型の「フォード級」が3~4年ごとに就役し11隻体制(若しくは12隻)は維持するようです。新型のフォード級排水量およそ10万トン、原子炉の炉心寿命が50年となり退役まで運用可能、電磁カタパルトという新型のカタパルトを装備しています。建造費は1隻だけでも1兆円を大きく超えています。他にも強襲揚陸艦保有し固定翼機を運用しています。

==中国==

人民解放軍 海軍】

中国は過去に幾つかの退役空母を他国から購入し調査して学んできました。そしてウクライナから入手した「ワリヤーグ」を改修し遼寧(りょうねい)として保有(練習空母的存在)しています。現在は国産の通常動力型空母001A型と002型を建造しています。その後も10万トンクラスの大型空母建造を計画しており、今度の動向が注目されます。中国は外洋海軍(ブルーウォーターネイビー)を目指しています。外洋海軍とは世界各地へ遠征し軍事力を行使でき、洋上補給などの手段を用いて長期間継続して展開できる海軍です。アメリカ、イギリス、フランスは能力を保有しており、海上自衛隊もその範疇に含まれます。(ただし、海自は展開し対潜哨戒、シーレーン防衛はできても、敵地を攻撃するような能力は保有していない。)

==イギリス==

ロイヤルネイビー王立海軍)】

イギリスは昨年新型の空母を就役させました。「クィーン・エリザベス」です。2番艦が「プリンス・オブ・ウェールズ」(建造中)でどちらもF-35Bを搭載する予定にしています。以前、雑誌で艦内の様子を見た事がありますが、やはり「イングランドっぽい」印象でした。軽空母も運用していましたが全て退役済みです。

==インド==

中国の脅威を感じているインド海軍は急速に数・質とも増勢してきています。かつてはイギリスの中古の空母を購入し運用していましたが退役。ロシアから購入した空母「ヴィクラマディチャ」、建造中の国産空母「ヴィクラント」、計画中の「ヴィシャール」があります。「ヴィシャール」はアメリカの技術供与によって電磁カタパルト装備となる予定です。

==フランス==

アメリカ以外では唯一の原子力空母「シャルル・ドゴール」を運用しています。回転翼機搭載の強襲揚陸艦ミストラル」級3隻とともに任務に就いています。空母は少ないですが原子力潜水艦は沢山持ってます。

==イタリア==

空母「カブール」を保有。他用途に使えるように建造され揚陸任務、輸送、病院船などの機能盛り沢山なフネです。イタリア海軍ってイメージあまり無いですね。

==ロシア==

「アドミラル・グズネツォフ」のみ保有。艦齢が高いため近代化改修を施しているとみられますが、最近までシリアへの空爆を実施しています。大型の原子力空母建造計画はありましたが、政権の意向によって中止されたと報じられています。

 

他、タイやブラジルも保有したり計画していたりしますが、どちらも低調ですね。やはり高額な建造費と搭載機とその維持費に苦しんでいるようです。

スペインやオーストラリアでは強襲揚陸艦(軽空母)を運用していますが。オーストラリアは固定翼機を載せず、スペインは「ハリアーⅡ」を搭載(今後F-35Bに)しています。

 アメリカ、中国以外は建造費・維持費に苦しんでいます。計画はしても財政上の理由から中止になった艦も多くあります。日本が検討しているのは「強襲揚陸艦」クラスの中型空母ですが、それでもそれなりに高額になるのは間違いありません。空母保有となれば護衛する艦や補給艦も必要です。ミサイル防衛も進めなくてはならない状況で空母保有は難しいのではと思うのですが、3月20日自民党の安全保障調査会は次期「防衛計画の大綱」に空母保有を提言することを決めました。新造か改修どちらかは決まってはいないですが、前々回(3/13)に書いた問題点はどう解決するんでしょうか。

ただ、「日本が空母保有を検討」という情報を流すことは、中国の海洋進出の脅威を訴える効果はあるでしょうし、対中国を考えると「日本を刺激すれば防衛の為に空母保有しますよ。いいんですか?」というアピールには繋がります。