海洋立国論

勉強のつもりで書いています。

中国と北朝鮮

北朝鮮の脅威と中国の海洋進出。これに対応するため色んな動きが出てきた昨年ですが、これからどうなるのでしょうか。

==中国==

中国は最大の貿易相手国であり、いわばお隣さんですから必要以上に緊張感を高めるのは得策では無いですし、友好関係を深めることができればそれに越した事はないと考えますが、民主主義と異なり共産党独裁体制はいわばブレーキが無いのと同じ。党(主席)が決定すればいつでも行動ができますし、そのような体制と装備は着々と進めているのは明らかです。ですから対話のチャンネルを開きつつも備えは怠れません。

~強硬な中国~

中国は17年の共産党大会でも明らかなように「台湾・尖閣」は固有の領土としており「祖国の完全統一」を目指すとしていますので、いつ力による(または力を背景とした)現状変更があるとも限りません(台湾・尖閣諸島の併合)。

また、2035年ごろを目途に世界一の軍隊を目指し、安全保障領域での闘争準備を進めるとしています。

先ごろ、駐米中国公使がある会合で「米海軍艦艇が台湾の港に入港するなら、その日は中国人民解放軍が台湾を軍事力で併合する日となるだろう」とアメリカを威嚇するかのような発言をしています。台湾近海での軍事演習は非常に活発で国力差から彼我の戦力差は開く一方。中国は建国以来、チベットを併合し台湾海峡危機を起こしベトナムとも戦争をし、インドとも紛争をおこし、ブータンの国境を一方的に変更するなど枚挙に暇がありません。スリランカでは借金のカタに99年間の港の租借権を取得しました。「真珠の首飾り作戦」の一環とされ、宿敵インドの封じ込めにかかっています。イギリスが香港を当時の清から99年間租借したのと同じ手法です。そのうえ昨年末には南シナ海の基地化を堂々と宣言しており、明らかに中国はアメリカにとって代わる覇権国の地位を欲していますし、実際にアジア地域の覇権国としての地位を築きつつあります。

日本ではニュースにすらなりませんが、まだまだネタはつきません。ま、金持ちになると地位と名誉が欲しくなるのは人の常ですが。

~空母~

また先日、中国は国産空母を4隻体制にすると報道がありました。一部には原子炉を搭載するとの報道もあります。原子力空母は簡単にはいかないでしょうが、核運用能力は日本以上ですからあとは時間の問題。

初の空母「遼寧」で空母の運用については訓練を積んできており、問題点の洗い出しも進んでいるとすれば、次からはもっとスムーズな展開ができると考えなければなりません。アメリカの空母11隻体制には及ばないものの、4隻揃うと必要な海域に常時軍事プレゼンスを示すことができるようになります。

~財政~

ただ気になる点は財政です。高度成長は終わりつつあり地域格差の拡大の対応や急速に進む少子高齢化対策、高齢者の福祉や年金などの問題もあります。空母4隻と搭載機、戦闘群を組むためのその他の多くの艦船の建造と維持、乗員の錬成など今後膨大な費用がかかるので果たして計画通りいくのでしょうか。ソ連は冷戦時代にアメリカとの競争に負けて破たんしましたが、中国はまだアメリカの軍事力と比較して劣るものの、相対的にアメリカの弱体化はハッキリしてきており、日本はアメリカの低下する軍事力を補完し、国の安全を自身で守れる体制を高めなければなりません。日米同盟はいまだ強力ですが、もはや安全保障をアメリカだけに頼ることで済んでいた時代は終わりました。

北朝鮮有事に~

北朝鮮問題に乗じて南シナ海東シナ海での覇権を握ろうとするでしょうし、万一アメリカが北朝鮮に攻撃を仕掛けた場合は、その隙に尖閣諸島の実効支配を目指す可能性は低くはないでしょう。アメリカは中国との全面戦争に発展する事を避けるため、北朝鮮への攻撃は陸上部隊の38度線以北への進軍はしないでしょうが、米軍の全力に近い戦力を投入し、38度線沿いの火砲やミサイル関連施設への大規模空爆を実施します。海軍力の無い北朝鮮相手ですから、米空母はかなり接近して行動できますが、米艦防護、機雷掃海は自衛隊にも要請があるでしょう。中国は難民対策と称して鴨緑江を超えて陸上部隊を侵入させ、北朝鮮の現体制を倒し傀儡政権を樹立させるかもしれません。

ここ数日で南北朝鮮の対話ムードが広がっていますが、オリンピックに乗じた時間稼ぎであろうと考えています。思惑通り軍事演習は延期になりました。北は弾道ミサイルの生産と配備に、アメリカにとっては攻撃準備の時間稼ぎが必要ですので双方が渡りに船だったのではないでしょうか。中国も準備に時間が必要ですから同じかも。

~開戦すると~

あるレポートでは北とアメリカが開戦する確率は20%以下だったり、40%程度だったりとバラつきがありますが、止めて欲しいもんですね。

現在は経済制裁で強制的に政策を変更させ対話するようにしていますが、我が国の現在の法律では韓国の同意が無い以上、自衛隊邦人救出には韓国に入れずかといって攻撃前になるとアメリカから情報はでてこなくなります。

ここで韓国内で日本人が戦闘の犠牲になれば、日本国内での嫌韓感情に火がつくでしょう。国内で在日韓国人に不当な被害が出ることも考えられます。同様に混乱に乗じて中国が尖閣諸島などを実効支配しようとした場合は対中感情も悪化します。人は感情に走ると制御は難しくなりがちです。この雰囲気に押されて政府は対応するとなると・・・

北朝鮮核武装を放棄すれば改善しますが、それは現体制の崩壊に繋がり難民の流入で韓国国内は混乱するでしょう。日本も大きな影響を受けます。そもそも核武装の放棄はありえませんが。

~政府対応は~

政府は矢継ぎ早に「イージスアショア導入決定」「電子戦機EA-18Gグラウラ―の導入検討」「DDHいずも空母化の検討」「高速滑空弾や長距離ステルス巡航ミサイルJASSM-ERの導入研究」などを打ち出しています。

(この兵器類については次回に)

ただ、国力が大きく異なる日中で軍拡競争は疲弊を招くだけです。相手に吊られ単純な軍拡に走るのは愚の骨頂で、日米同盟や豪・英・印なども交えた効果的な抑止力保持と低コストな防衛能力の構築を急ぐ必要があります。

我が国にあまり時間はありません。