海洋立国論

安全保障・軍事について自分自身の勉強のつもりで書いています。

海洋国家としての必要なこと(2)

前回、「相応の海軍力が必要」と書きましたが、海上自衛隊は相当の海上戦力を保有しています。しかし広大な海洋を保護するには絶対的に数が足らないのは明白です。戦力も輸送力も不足していると私は考えています。

空母は不要

まず水中戦力として効果的なのは「潜水艦」で現在急速に増勢に努めており、計画では22隻まで増勢予定です。しかし乗員の休息、艦のメンテナンスや補給を考えると常時任務に就くのは広い海域に10隻以下。しかも自衛隊の潜水艦は「通常動力型」で静粛性は極めて高いと言われますが、空気が必要なディーゼルエンジンとバッテリー駆動のモーターとの組み合わせ。長期任務はできずおよそ2週間くらいと言われています。しかも潜水艦は航空機に対しては無力ですのでやはり海洋保護に航空機は欠かせません。

遠方の海域やシーレーン保護で航空優勢(制空権)を確保し他国の干渉を排除するには「空母」となる訳ですが、アメリカが保有しているような巨大空母は非常にコストが高く攻撃的性格が強いため、専守防衛を旨とする我が国には馴染みませんし国民の理解は得られないでしょう。

空母艦隊を構成するには、最低でも空母、搭載する艦載機と艦載ヘリコプター、護衛する護衛艦駆逐艦)、潜水艦が3セット必要で、資材も人員も膨大です。消費税を20%にして全部を防衛費にあてて運用できるまでには10~20年がかり。

しかも完全に航空優勢を確保しようとすると(高価な母艦を保護するためにも)沿岸からの攻撃(長射程の対空・対艦ミサイル)にも対応しなければならないので、対地攻撃力(敵策源地攻撃力)が必要になってきますが、現段階で敵策源地攻撃力はありませんし、議論もすすんでいません。周辺国の反発は必至で空母艦体なんて非現実的なものは不要。かえって軍拡競争のきっかけを我が国が作る事になります。

因みにアメリカの国防費が年間65兆円。海軍ではこれで維持しているのが艦艇総数300隻(うち空母10隻)で任務可能な前方展開している艦艇は120隻程度です。日本はアメリカと異なり全地球上に海軍力が必要な訳ではありませんから、それの1/3としても20兆円(現在は5兆円)4倍増なんて無理ですよね。以前に「核保有の非現実性」を書いたことがありますが、「空母保有も非現実的」なんです。

しかし航空優勢の確保は非常に重要ですし一義的に自国の権益は自国が確保するのが国際常識。ではどうするか。

強襲揚陸艦という選択

日本には対潜水艦のためのヘリ空母とも呼ばれる護衛艦が4隻と甲板が空母状な輸送艦3隻がありますが、他国にはこれと似たような形をしている艦で「強襲揚陸艦」と一般的に呼ばれる艦があります。

国際基準がある訳ではないのですが、通常は1.平甲板(空母のように平たい甲板)2.大量の人員や車両の輸送が可能 3.航空機多数運用が可能 4.ウエルデッキ(後部から小型の船艇が出入りできる)があるなどです。

海上自衛隊の艦艇では、おおすみ輸送艦にウエルデッキがあり、ひゅうが型、いずも型ではヘリコプターの同時多数運用実績が豊富です。この両方の条件を満たす船が一般的に「強襲揚陸艦」と呼ばれます。(例外はあります)

後は今後導入するオスプレイを搭載し、最新鋭ステルス戦闘機F-35B(垂直離着陸型)を導入すれば比較的短期間に装備できます。空母よりも遥かに低コストであり、空母1隻分で3隻装備可能になり、常時1隻は任務に就けることになります。(これはあくまで空母艦隊と比較しての話です)1隻あたりの搭載機はF35が3個飛行隊12機(予備機2機)SH60K哨戒ヘリ3機、オスプレイ1機、その他多用途ヘリ2機程度、人員輸送、LCAC(エアクッション型揚陸艇)1隻程度は必要ですので、それなりに大型化はします。(基準排水量.3~4万トン?)搭載機をぐっと減らして2万トンクラスが現実的でしょうか。

演習でも「無双ぶり」を発揮したF35は優れたステルス性能、優秀なセンサー、データリンクにより遠方からの敵航空機の侵入を一方的に察知し攻撃可能です。つまりこのF35搭載艦が遊弋するだけで圧倒的な抑止力を確保できることになります。

最大の問題は人材不足。これは早急になんとかしなければなりません。人材育成は費用と時間がかかりますので、いざ桶狭間!な時にフネはあっても人手不足ではいけません。

法改正

また航空機(戦闘機)を搭載した艦船が東シナ海を航行すると一部周辺国は反発必死。そこで憲法改正が必要になります。

一般的に「憲法改正=戦争できる国へ」とイメージが刷り込まれていますが、全くの逆だと思います。しっかり軍隊としての役割を明示し関連法案で禁止事項(ネガティブリスト)化すること。軍人としての責務と誇りを与え、安心して任務を遂行できるようにすること。十分に周辺国に説明をおこない理解を得るようにすること。(掃海艇派遣だってPKOだって最初は反発されました)

今のようにどうとでも解釈できる状態のほうが異常です。装備と人材と法律。3点セットで改善しなければならないのではないでしょうか。

(写真は海上自衛隊フォトギャラリーより)

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