オレ様的夜ネタ ~平和を守るために~

山奥で農業・林業・養蜂をしつつ、安全保障・軍事について自分自身の勉強のつもりで書いています。

原発は狙いません

原発を狙うのか

北朝鮮のミサイル能力が向上し、アメリカとの緊張の高まりとともにいくつかの議論が起こっていますが、そのなかに「原発が狙われるのではないか」「原発が攻撃されたら被害が甚大だ」というのを見かけました。

東日本大震災に伴う原発事故の記憶も生々しいのでその気持ちはよくわかります。もう二度と原発によって住めなくなるような事になりたくはありませんし、原発は日本のあちこちの風光明媚な地域にあります。そんな日本の資産とも言うべき美しい自然が人の近づけない場所になるなんて考えたくもありません。

しかし、この意見には大きな勘違いがあります。結論を言えば「原発は狙われない」と考えて差し支えないのです。その理由を述べたいと思います。

 

現状はどうなのか

前提として現在の北朝鮮の攻撃力は、日本向けの弾道ミサイルであるノドン・テポドン1・2はおよそ100~200発保有していると考えられます。

そしてこれらのミサイルの発射器は50基ほどあるとされています。また現在のところ弾頭は大半が「通常弾頭」で「核弾頭」の搭載は多くても50発程度。

さて、北朝鮮がなんらかの理由で我が国を弾道ミサイルで攻撃するとしましょう。

 

確率で考えると

発射器は50ありますから、一度に最大で50発は発射できます。

そのうち、MD(ミサイル防衛)でミッドコースで迎撃されるものは迎撃率70%として35発。(試験結果からでは全弾迎撃する可能性もありえますが)

発射に失敗するものが10%として5発。この時点で残り10発しかありません。

そして弾道ミサイルにはCEPというものがあります。半数必中界と呼ぶもので撃ったミサイルのうち半数がどれくらいの半径に落ちるか?を表すものです。命中精度みたいなものですね。精度が良いとされる米ソでも300m(勿論所説あり)くらいとされますので、北朝鮮なら1000mってところでしょうか。

”半数”必中界ですから、通常弾頭のミサイルが原発から半径1000m以内に落ちるのが5発。

そして原発は建屋と格納容器に囲まれ極めて頑強な構造。津波のときのような電源喪失を想定しても電源部は地下で津波の水圧にも耐える分厚い扉で守られています。

原発に5発とも直撃させれれば多少の被害はあるでしょうが、3平方キロ以上の面積の範囲に5発ですから、600平方メートルあたり1発が落ちる計算。

これで原発に当たりますか?無理でしょう。原発敷地内に落ちたとしても、そこが格納容器や原発建屋、制御室であるとは限りません。駐車場や職員の宿舎などかもしれません。

費用面

そしてミサイルの費用です。一発当たりの費用は勿論わかりませんが、日本のイプシロンという低コストを目指した固体燃料ロケットが30億ほどだそうですから、同じとしても50発×30億で1,500億円ですね。

それほどの費用を使い、命中するかどうかわからない原発に貴重な核弾頭を落として何になるのでしょう。

 

戦術的に愚策

まして原発周辺は海岸沿いの「田舎」です。人的被害も限定的でしょう。命中率が多少高かったとしてもそんな効率の悪い事に虎の子の弾道ミサイルを使えない。

ジュネーブ条約追加第一議定書でも原発は攻撃禁止目標です。北朝鮮はこの条約の締結国であるうえ、国連でも自国の核保有を正当化する発言を繰り返しており、その立場からも条約違反はできません。自ら条約違反をすると自国の核保有の正当性を無くすことになり、中露も弁護できなくなります。世界中から反発必至でアメリカの攻撃を誘発します。

 

結論

ということで「原発」には撃ちこまないと考えて差し支えありません。