海洋立国論

勉強のつもりで書いています。

軍事オプションを想像してみた

テーブルの上に何が?

「全ての選択肢はテーブルの上にある」この台詞何回聞いたんでしょうか。大きく分けると外交による対話、経済制裁国連決議などによる非難、そして軍事力。

最終手段は勿論軍事力。このところ手詰まり感がありますが、軍事オプションには一体何があるんでしょう。少し手段を探りたいと思います。

 

始まりはどっちから?

まずは、周辺の軍事力を強化し威嚇することから始まります。

空母打撃群や、韓国への地上部隊の増派などは北朝鮮の危機感をあおり、北朝鮮が妥協して交渉のテーブルにつくならばいいものの、北朝鮮核武装の意思は固くまずありえない。核実験をしても、結局アメリカは実力行使に出ないと値踏みされており、さらに過激な行動に出る可能性も。

例えば「太平洋に向けて弾道ミサイルのさらなる発射」や再度の「核実験」もやるでしょう。もし、「威嚇」が北朝鮮が存続の危機と受け取りアメリカによる「攻撃準備」であると解釈した場合はさらに致命的な危機が生じると言う人もいますが、それでは北朝鮮にとっても最悪のシナリオ。北朝鮮は戦争すれば崩壊することは自覚しているでしょう。しかし中国とロシアはアメリカの攻撃をチャンスとして利用します。

南シナ海東シナ海、クリミアやシリア、アフガニスタンなどでアメリカの影響力を排除しようと動くでしょう。アメリカはそれに対応しつつ北朝鮮と戦うことになり、厳しい戦いになります。中国はこの事態を見越してか、インドとの国境付近のいざこざは一旦手打ちにしており、ロシアは武力攻撃に「反対」の立場を貫いています。

 

手を出させるアメリカ

米軍は先制攻撃はしません。如何に大量破壊兵器であっても「実験」段階での攻撃は筋が通らず国際的に非難を浴びますし、アメリカも冷戦時にはもっと大規模に「実験」をしてきているのです。今はブッシュJrの時代とは違い、アメリカの国力は相対的に落ちているので、国際世論を無視した武力行使は不可能です。また、「自衛権」の発動にならない事態での開戦は「侵略戦争」になり、攻撃の正当性を無くします。

ただし、北朝鮮が核をどのような形であれ「使用」した場合は攻撃することになります。

そうしないと「核の傘」の信頼性が揺らぎかねず、アジアでのアメリカの立場は地に落ちます。日本、韓国もドミノ的に核兵器保有論が強くなるでしょうし、それをアメリカは拒むことができなくなります。特に被爆国の日本が万一核保有に至った場合は韓国、台湾、ベトナムなども一気に核保有に走りかねません。また、北朝鮮の核保有を認めて交渉するというカードも同じような結果を生むのでこれもできません。

そこで「威圧」し続け「暴発」を待つことになります。その際には韓国、日本、グアムが標的となります。この初撃の被害を如何に最小化するのか。ここは重要なポイントになるのではないでしょうか。

 

勝手なシナリオを書いてみた

北朝鮮の先制攻撃後、空想的攻撃シナリオを勝手に書いてみました。

(1)潜入

SEALs(米海軍特殊部隊)が北朝鮮内部に潜入。金正恩の所在地確認など情報収集にあたる。また米軍機が撃墜された場合に備えパイロット救出任務も。

(2)ジャミング

EA-18Gグラウラー(電子戦機)をエスコートジャマーとして飛ばし、対空レーダー網と通信網をダウン(ジャミング)させる。E2-D、E-3も発進し航空管制と空中警戒にあたる。

(3)トマホーク発射

戦略原潜ミシガンや在日米軍イージス艦4隻などから巡航ミサイル「トマホーク」を発射し、固定目標(レーダー、通信網、ミサイル発射施設)を破壊。総数は300発規模となる。(ミシガン154発 水上艦各50発として)同時にMQ-9リーパーなどのUAVによる対地攻撃を実施。可能な限り弾道ミサイル発射施設、TEL(移動式発射器)を破壊。BMD(弾道ミサイル迎撃)能力のある残り8隻は弾道ミサイル警戒(太平洋側)海自は日本海側に布陣。韓国にはイージスはあるがBMD能力は無いので警戒監視のみ。弾道ミサイルのみがアメリカへの直接の脅威。その観点からソウルに被害を与えるロケット砲や長距離砲は後回しになる。

(4)防空能力の剥奪

佐世保強襲揚陸艦ワスプ搭載のF35、岩国基地配備のF35が航空優勢を確保する為、北朝鮮の深部に進出し対空ミサイルランチャーを破壊。(ステルス機は敵地侵入が比較的容易)またトマホークでは地下目標、移動目標には効果が限定的なため。その後に進出するのは韓国軍のF-15K、在韓米軍のF-16など第4世代機が掃討する。(発射機の位置確認のためあえて発射させる可能性も。)

(5)空母出撃

空母「ロナルドレーガン」のFA-18E/F攻撃機4個飛行隊は38度線付近へ進出するグアムのB-1BとB-2スピリットの直掩にあたりつつ進出。

(6)爆撃開始

B-1B、B-2は38度線付近の火砲を爆撃で破壊。在韓米軍の地上軍と韓国軍は北朝鮮の侵入を阻止すべく38度線を守る。北に地上軍の派遣をすると中国を呼びこみかねず、そのリスクを避けるため北方に地上軍派遣は無い。

 

      ==ここまでをほぼ同時に一気にすることが必要==

 

(7)北朝鮮の反撃

韓国向けのスカッドERは配備したばかりのTHAADが、日本向けのノドン・テポドン1は散発的に発射される。海上自衛隊のイージスがこれを迎撃する。日本を超えたミサイルについては米軍が対応するが、海上に落下するミサイルについては無視する。

(8)ミサイルランチャーの破壊

発射後に米軍は赤外線を探知しミサイルランチャーに向けて攻撃し破壊。ランチャーは全部でおよそ50基なので撃ち漏らしたランチャーを破壊する。そうすればミサイル残弾があっても無意味。しかしリアクションタイムがとれない韓国は被害甚大。日本にも落下する可能性がある。目標は東京、横須賀、佐世保

(9)対中国警戒

開戦と同時に中国海軍(北海艦隊)は「尖閣諸島」の領有化を進めるために上陸を画策。軍隊には海保は対応できない。この事態を想定すると海上自衛隊第四護衛隊群は佐世保から出港し東シナ海の警戒へ。同時に沖縄・那覇の空自第九航空団は哨戒任務に就く。嘉手納、三沢の在日米空軍は韓国へ移動。

(10)中国人民解放軍

中国北部戦区の戦力を北朝鮮との国境線まで移動させる。難民流入対策。

空母「遼寧」は朝鮮半島近海へ展開。

(11)ソウル混乱

ソウルに北朝鮮の特殊部隊が侵入し後方かく乱を図るが、韓国軍に2~3日で制圧される。ただしソウルはインフラ、政府機関にかなりの混乱が生じる。

(12)在韓邦人救出

在韓邦人救出は韓国の同意が得られていないため、自衛隊が上陸することはできない。そのため民間機(船)による出国が開始される。攻撃前に大規模に退避させると北朝鮮に先手をとられかねないため、開戦直前に退避作戦を開始する。アメリカも韓国も自国民の保護で精一杯。まぁ開戦前には渡航禁止がでるでしょうし、徐々にソウルからは退避させるのでしょう。暫く韓国には行かないほうがいいですね。

(13)ロシアの進出

ロシアは軍事情報収集のため、航空機、艦船を日本海へ大量に派遣する。またシリアへの介入を強める。アメリカに対しての非難声明とロシア周辺の警戒に海軍がウラジオストックより日本海に展開。

(14)ネイビーシールズ

SEALsが金正恩を確保。

 

 

ということで、こんな大規模作戦無理でしょう。いや、勝手な想像なんですけど。

韓国は自国への被害が大きすぎて攻撃は同意しないし、アメリカは中露に振り回される。戦費は膨大で財政難の現状では議会も承認するのかどうか。

また、北朝鮮内に墜落したパイロットは捕まればどんな目にあうことやら。戦後処理の問題は解決しないでしょうし、比較的穏便に統一した東西ドイツと異なり、戦後復興も抱えたまま韓国は北朝鮮と統一しても大きな利益はない。それこそデフォルトに陥るし、ゲリラの対応、国内のテロに悩まされることになります。

日本も同じようにテロの対象とされます。さてこれにどう対応するのか。戦争をしない場合はこの先々ずっと北朝鮮に核によって威嚇されつづけることになります。このままでは弾道ミサイルの質と量は増えていき、どのような要求も飲まざるを得なくなるのは確実でしょう。今ならなんとか被害を限定できる可能性は高いが我が国に敵策源地攻撃力は皆無なのでアメリカ頼みです。

もし、北朝鮮核武装は認めてICBMの配備だけを認めないという段階で妥協したら日韓には脅威だけが残る。しかしアメリカは「同盟国を守る」と公言しているのでその選択肢もとれない。

ん~~やっぱり手詰まりじゃ?