海洋立国論

勉強のつもりで書いています。

2月12日の北朝鮮ミサイル発射に関しての考察

防衛省発表212日ー第二報ー】

北朝鮮は、本日7時55分頃、北朝鮮西岸の亀城(クソン)付近から、1発の弾道ミサイルを東方向に発射した模様です。発射された弾道ミサイルは、約500㎞飛翔し、北朝鮮東岸から東に約350㎞の日本海上に落下したものと推定されます。」

がありました。発射自体はニュースで取り上げられていましたのでご存知の方も多いと思います。

2月14日には、稲田防衛大臣が記者会見をおこない、防衛省の見解を述べています。2月3日には新型のミサイル防衛システム用のミサイル「SM-3ブロックⅡA(日米共同開発)」が米海軍によって迎撃試験も行われています。

また私個人もニュース映像を見て幾つか気になりましたので、今回のテーマとします。

画像に含まれている可能性があるもの:立ってる(複数の人)、屋外

北朝鮮の発射したミサイルの情報を纏めてみました。

1.日本攻撃用のノドンやムスダン、または改良型ではなく新型の「北極星2号(北朝鮮の呼称)」である。

2.北極星2号は以前に潜水艦から発射した「北極星1号」の陸上発射型である。

3.射程は3000~5500kmの中距離弾道ミサイル(IRBM)と見なされるが、防衛省は1000~3000km程度の準中距離弾道ミサイルとしている。

4.液体燃料では無く技術的に高度な固体燃料を使っている。

5.固定サイロからの発射では無く、移動式発射である。

6.コールドローンチシステムの運用に成功している。(これは発射管より射出後にロケットに点火し発射する方式。潜水艦発射はこの方式で高度な技術が必要)

7.今回もロフテッド軌道を採用してか、もしくは燃料を減らしての試射である。

つまり北朝鮮のミサイル技術はかなり高度なものになっているのは間違いありませんし、脅威度は金正恩体制になってから格段に増しています。

如何なる制裁があろうとも断固たる意志でミサイル開発は進めており、米国を攻撃圏に収めるまで開発を推し進めるでしょう。繰り返しますが、北朝鮮は如何なることがあろうともミサイル開発は強行します。

さて、17はどのような意味があるかですが、新型ミサイルの開発ペースが速く、毎回きちんとした目的を持っているのが特徴です。

前政権時には「示威行為」や「国威発揚」的であり、言わばシンボル的でありました。どこかで米国が交渉のテーブルにつけば・・・という空気すら感じました。

現政権では「米国を核の恫喝ができるようになる」という目的がはっきりしています。そのため、大陸間弾道弾に必須な「固体燃料」であり、ミサイルの生残性を高める為の、移動発射方式であり、段階的に射程距離を延伸しているのであり、ミサイルの再突入に必要なノーズコーンの開発であり、報復手段としての潜水艦発射(SLBM)の試験です。

固体燃料技術を日本向けのミサイル「ノドン」に採用されれば即時発射できるミサイルを北朝鮮は手に入れる事になります。これは比較的容易に開発できるでしょう。

こうなると日本の各地や重要インフラ、在日米軍が標的ですが数が多すぎて守り切れるものではありません。

このような現状を踏まえて我が国はどうするのかを真剣に考える必要があります。以前にも書いたのですが(2016.9.13参照してください)悠長に構えていられる状況ではありません。日本もミサイル防衛を進めてはいますが。

冒頭にある「SM-3ブロックⅡA(日米共同開発)」は新型の迎撃ミサイルです。現行のSM-3ブロックⅠA(自衛隊)ブロックⅠB(米軍)よりも、格段に性能が良いのですが、導入は2018年ごろとされており、導入を進めても発射するイージス艦の改修や新造が必要ですので、予算上の制限などもあり一気に進むとは思えません。

現在の我が国の防衛費はおよそGDP比1%。NATO基準は2%、米韓印などは3~4%です。財政の厳しい中ではありますが、南西諸島防衛も考えあわせると不安は残りますし、今後はトランプ政権から自主防衛努力は強く求められるでしょう。

(2017.02.18)