オレ様的夜ネタ ~平和を守るために~

安全保障・軍事について自分自身の勉強のつもりで書いています。

中国の海洋戦略

東シナ海南シナ海での中国の独善的とも言える行動で「中国脅威論」が高まっていますが、中国の海洋戦略の目的は何なのでしょうか。国家には基本的には「生存本能」があり、それを脅かす存在には対抗しようとしますし、基本的には「性善説」に基づいた行動はしません。そこで「成長し続ける」為に戦略を練りますが、戦略にはそれを立案するための要素があるはずですので、それを整理してみましょう。

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1.中国は「マラッカジレンマ」を解決したい

 中国は資源の大半を輸入に頼っています。(石油で70%~80%ほど)また、世界の工場として急激な経済成長をしています。これら製品の輸出も多くが南シナ海マラッカ海峡など)を通過していきます。

このチョークポイントを抑えられると、中国は干上がりかねません。その為、パイプラインなどを使っての陸上ルートでの輸送も進めていますが、大量輸送ではやはり海運が一番ですし、大都市はやはり沿岸部ですので。

2.東シナ海南シナ海の膨大な海洋資源を確保したい

 この海域には膨大な天然ガス原油があるとされ、これを確保することは「マラッカジレンマ」を軽減することに繋がります。その為海軍力を強化するとともに、周辺国に投資することでその国の経済的な中国への依存度を高めようとしています。

海軍が寄港できる港も整備したり租借するなどしています。こうして南シナ海を中国の聖域としたいようです。

3.アメリカの軍事プレゼンスは、中国の生存を脅かすかもしれない

 アメリカは「オフショアコントロール」と呼ばれる戦略を採用することがあります。これは軍事力を行使し海域やチョークポイントで海上封鎖や臨検などで、いわば兵糧攻めとするものです。(拒否・防衛・支配)

このような海上封鎖と経済封鎖も実施します。これに対抗するには海軍力の整備が必須です。しかし第一列島線の封鎖がおこなわれると、中国は突破しようとしますので、当然日本も巻き込まれることになります。

中国から多くの消費財の輸入をしている米国経済もダメージを負うでしょう。諸刃の剣です。

4.アメリカに対抗できる核抑止力の確保がしたい

 核抑止論は以前にも書きましたので割愛しますが、核報復能力の確保が「核抑止力」となります。中国は広大な国土の地下に「万里の長城」とも呼ばれるトンネルを掘削し核ミサイルを多数備蓄し有事には移動式の発射台で任意の地点から攻撃できますが、弾道ミサイル搭載の潜水艦の配備も進めています。

この潜水艦が隠れることのできる深い海を自由に行動させるためには、南シナ海から米海軍を追い出しておきたいのです。九段線内は水深が深いのが地図でわかりますし、海南島には中国潜水艦の巨大な基地があります。

細かな戦術論は省きますが、中国は成長に従って資源が必要になってきました。その為には自国の安全保障上の理由からも「米軍の軍事プレゼンス」が邪魔で仕方が無いのです。

台湾有事に際しては東シナ海から太平洋に抜ける所謂「第一列島線」にも接近させたくありません。尖閣諸島が欲しいのはこの為です。

沖縄には最初のステップとして輿論戦(よろんせん)をしかけていると考えられますが、琉球諸島は中国にしてみれば喉から手が出るほど欲しいのです。ここを抜ければ広い太平洋があり、米海軍のグアム基地すら脅かすことができます。

中国人民解放軍政治工作条例に三戦という概念があり、これは輿論戦・心理戦・法律戦を駆使し戦わずして勝つことを目指します)

5.失われた約200年を取り戻したい。

 中国はその支配者が誰であろうと、過去は経済的にも文化的にも大国でした。我が国も多くを学びました。また現在の南シナ海周辺の国々にも影響力を与えたり従えたりしていました。清朝末期以降、西洋列強各国や日本によってその力は衰えましたが、中国共産党指導層はそのことを悔やんでおり、また元の大国への夢を描いているのではないでしょうか。

纏めると、強大な海軍力によって米海軍を東太平洋~インド洋にかけて駆逐し、自国の安全保障能力を安定させるとともに、周辺海域のシーコントロール制海権・海上優勢)を目指しているのでしょう。

このように大国だけに中長期を見据えた戦略をすすめています。我が国もしっかりと対応し、法と平等が支配する世界を目指さなければなりません。

大国だからといって傍若無人な振る舞いは許せません。この為には有事の対応能力を向上させ無法な行為を躊躇させること、米国との緊密な連携、南シナ海周辺国との外交的経済的な深化、中国との相互交流などをしっかりと行う必要があります。

戦争はその意志と能力が整った時に起こります。平和という状態を保つためには、相互の透明性の担保とともに 意志と能力のどちらかをを持たせないようにすることです。

参考までに各国の軍事費を一部列挙します。

(2015年、公表値による推計、単位:億アメリカドル/GDP比)

米国5,960/3.3 中国2,150/1.9 日本409/0.99

韓国364/2.6 ロシア664/5.39 インド513/2.33 

これを見て皆さんは「アメリカ圧倒的じゃないか。中国なんて問題にならないのでは?」と思われるかもしれません。

しかしアメリカは地球上すべてに軍事プレゼンスを維持しなければならないのです。対して中国は南シナ海東シナ海に軍事力を傾注できます。

このことは考慮し、自国の安全保障を他人任せにするのではなく、進むべき道を冷静に考えなければならないと思います。ハッキリ言うと米中どっちもどっちなので。

(2017.01.25)