海洋立国論

勉強のつもりで書いています。

護衛艦の推進方式

護衛艦とはひとつの分類です。

自衛隊の運用するフネ全般は「自衛艦」と呼び、そのうちの戦闘に従事するものを「警備艦」、さらにそのうちの護衛艦と潜水艦を「機動艦艇」と呼びます。これら艦艇は夫々に適した推進方式を採用していますが、今回は護衛艦の推進方式を軽く解説します。

推進方式といってもそれほど難しくはありません。

近年の護衛艦ガスタービンエンジンを採用しています。
これと電動機を組み合わせていたりしますが、その組み合わせ方や駆動方式によっていくつかのタイプに分かれます。

推進方式をざっとおさらいすると、風(帆船)、蒸気機関、ディーゼル原子力、そしてガスタービン電気推進 などがあります。

近年の戦闘艦艇が主に採用している、ガスタービンエンジンは、小型・軽量で出力の上昇は早いのですが、ディーゼルなどに比べて燃費が悪く大量の空気を必要とします。

このことは大きな燃料タンクや空気ダクトが必要となりますが、小型・軽量のエンジンは小部屋に収められており振動や騒音を外部に少しでも漏らさないようにしています。勿論、ご近所に配慮している訳では無く「潜水艦」を意識しているのです。

主機(主力とするエンジンなど)は、その組み合わせ方などでいくつかのバリエーションがありますが、海上自衛隊護衛艦が主に採用しているのは、COGAGという形式のものです。

これはガスタービンエンジンを複数組み合わせたもので、組み合わせるエンジンは同種、もしくは異種のものです。巡航時や低速時には低速用(もしくは一部のみ)だけを駆動し、高速時には高速用(もしくは全機)駆動させることで、巡航時の燃費を稼ぎつつ高速時の機動性も確保する目的があります。同種のエンジンを採用している場合はメンテナンスも容易ですので、戦闘艦艇にはぴったりかもしれません。

また、近年は電装品が非常に多く、膨大な電力を必要とします。このため推進用とは別にガスタービンエンジンを複数搭載しています。
その出力は膨大で、大型艦ならおよそ10,000KWほど。先日「DDH-182いせ」の一般公開時に副長が「小さな町なら賄えますが、フル運転するとすぐに燃料が無くなります」と言っていました。

また、先ごろ(2016.10.19)に命名進水式を終えた、汎用護衛艦「あさひ」(DD-119)は、COGLAGという形式を採用しています。これ流行のハイブリッドです(笑)

低速時・巡航時にはガスタービンエンジンの発電する電力で電動機(モーター)を動かして推進させ、高速時には休止しているガスタービンエンジンも動かしてその機械駆動も併用して推進力を得る方式です。
これは少し機構が複雑になるものの、燃費が優れるとされています。

採用するのは本級(あさひ型)が初めてですが、これは本級が「対潜水艦」任務を主としているためでしょう。
低速~巡航時に曳航式ソナーなどでの潜水艦の探知をしているときには電気推進なため静粛性の向上が期待されます。
結果として探知精度の向上が見込まれます。用途に応じた推進方式を採用しているのですね。

この推進方式は他の護衛艦にはまだ採用されていません。今後どうなるでしょうか。

ガスタービンエンジン・・・大量の空気を取りこみ圧縮機で圧縮、そこに燃料を噴射し燃焼。高温高圧になったガスがタービンを回転させます。回転軸(出力軸)から回転エネルギーを取りだし、回転運動に使うか、発電機を回すかします。回転エネルギーの代わりにガスの噴射を使うとジェットエンジン

(写真出典:海上自衛隊HPより)