海洋立国論

勉強のつもりで書いています。

ミサイル防衛はここまで進化している

米海軍が2016年9月13日に発表した資料です。参考URL

http://www.navsea.navy.mil/Media/News/Article/942188/navy-conducts-first-live-fire-nifc-ca-test-with-f-35/

これによると・・・

かねてより研究を進めている「ニフカ」というシステムとステルス戦闘機F-35によるミサイル迎撃実験が成功したとのこと。

これの何が凄いのかと言いますと・・・

私がよく取り上げる兵器に「イージス戦闘システム」がありますが、このシステムの特徴は多数の目標を同時に補足追尾できるSPYレーダーです。しかしレーダーである以上、超えられない限界があります。それが水平線の向こう側です。地球は丸く、電波は直進するため、水平線の向こう側は視えません。できるだけ遠くを索敵する為にレーダーを高い位置に取りつけますが。攻撃側は水平線の向こう側(OTH/超水平線)からミサイルを発射、ミサイルはなるべく見つからないよう、またできるだけ近づけるよう海面ギリギリを飛行(シースキミングと言います)します。まして中国が開発中の超音速対艦巡航ミサイルであれば、近くまで隠れて飛行しレーダーに捕捉されても速度が速いため、防衛側は対処する時間が短くなります。これは艦船にとって非常に脅威です。中国にしてみれば現在進めているA2/D2(接近阻止・領域拒否)戦略を実現するため、できるだけ以遠で米海軍や海自を迎え撃ちたいのです。

しかしこのニフカ、この問題を解決しちゃうのです。

まず高高度に最新のE-2D早期警戒機(航空自衛隊も導入します)を複数飛ばします。

(今回は互換性の確認の為にF-35Bを使いました)

飛行機なので勿論早く移動でき遠くまで見通せます。そしてこのE-2Dが敵のミサイルを探知します。この情報は(多機能先進データリンク)を使い、見通し外にあるリンク先の地上の基地や司令部、射手であるイージス艦などの艦船へリアルタイムで転送されます。そしてCEC(共同交戦能力)なども活用して適切な射手が選定され、SM-6ミサイル(ここ大事!)を発射し迎撃します。E2-Dは探知からデータの中継機能、管制と多くの機能を果たします。

SM-6(スタンダードミサイル6)は新しいミサイルです。現在SM-2が艦対空、SM-3が弾道ミサイル迎撃用として運用されていますが、このSM-6ミサイルは新型艦対空ミサイルで、従来のSM-2ミサイルが発射母艦からの誘導が必要であったのと異なり、発射母艦以外での誘導や、所謂「撃ちっぱなし」ができるミサイルで従来より長射程となりました。

このミサイルによってイージス艦はシステムの負担が減り「同時交戦目標数」が増えることになります。発射母艦であるイージス艦には最新のイージスシステムベースライン9が搭載されています。

このシステムは「イージスシステム・ベースライン9」と「E-2D」「SM-6」の組み合わせによって従来よりも飛躍的に高い防御力を提供するものです。

このシステムは陸上、航空、海上のあらゆるものと統合運用が可能であり、米軍では各種のテストが行われています。

さて、自衛隊にも同じものがあります。イージス艦は米海軍に次いで保有数が多く、E-2Dは導入が決まり、SM-6は運用が可能なイージスシステム・ベースライン9搭載艦が建造されれば(予定あり)導入されるでしょう。

そして、次に日米で共同防衛ですね。例えば米軍のE2-Dが探知、日本のイージス艦が迎撃し、米空母打撃群を防衛するとか・・・この場合においてもやはり「集団的自衛権」の運用になりますね。