オレ様的夜ネタ ~平和を守るために~

安全保障・軍事について自分自身の勉強のつもりで書いています。

イージスBMD(弾道ミサイル防衛)とは何か

 北朝鮮がロケットを発射するたびにニュースに出て来る言葉が「イージス艦」と「PAC-3」ですが、今回は海上自衛隊が受け持つ「イージスBMD」を取り上げます。

 現在、我が国では弾道ミサイルによる攻撃を防ぐ手段として、「BMD」があり、これは弾道ミサイルを多層な手段で迎撃するシステムの呼称で、一般的には弾道ミサイル防衛と呼ばれます。そして海上自衛隊が運用するのが、イージス艦(イージスシステム搭載護衛艦)によるBMD(この場合は正しくはイージスBMD)。

 以前にも取り上げたかもしれませんが、イージスシステムとは米軍が当時のソ連のミサイル飽和攻撃(迎撃が間に合わないくらいの沢山のミサイルで攻撃すること)と言う攻撃から艦隊を守るために開発された防空システムで、既に40年ほど経過したシステムです。常に進化を続けており、現在でも最強の防空システムで、システムを搭載した護衛艦が日本には6隻あり、今後2隻の追加調達が決まっています。(米軍に次ぐ規模です)

 このシステムに垂直発射式の弾道弾迎撃ミサイル(SM-3)を組み合わせたものがBMDです。
ミサイルの入れ替えでは無くシステムの改修が必要になります。

 弾道ミサイルを大気圏外で撃ち落とす・・・このことは「拳銃の弾を拳銃の弾で撃ち落とす」と例えられるほどの難しさと言われます。これが可能になったのもイージスシステムの中核をなす「フェイズドアレイレーダー(SPYレーダー)」なればこそです。(レーダーについてはいずれ取り上げようと思います)

 海上自衛隊では既に発射実験を行っており、ほぼ100%の迎撃成功率を達成しています。このBMD能力を持っているのは実は日米の2か国だけ。専用のミサイルであるSM-3ですが、ミサイル本体の開発は日本が担当しています。実は日本のロケットやミサイル技術は極めて高いレベルにあります。

 さて、どのような過程を経て撃ち落とすのか?ですが・・・
1)まずはイージス艦のSPYレーダーが弾道ミサイルの発射をキャッチ。
2)飛行コースの算出を瞬時に行い、垂直発射器(VLS)からSM-3を発射。
3)SPYレーダーによる管制と誘導を受け乍ら三段のロッケトブースターを燃焼させ大気圏外へ。
4)弾頭部を分離したのちシーカー(センサーみたいなもの)が弾道ミサイルを補足し、スラスターによる制御をしながら標的に直撃し破壊します。
この間、数分。
弾道ミサイルの中間段階での迎撃を担います。

 また、このシステムは他のイージス艦からの情報に基づき発射することも可能です。
展開しているイージス艦同士は互いにリンクしているため可能なのです。
これで撃ち漏らした場合は地上配備のPAC-3で迎撃する事になります。

 我が国はSM-3とPAC-3の二段構えですが、韓国が配備を決めたTHAAD(サード・終末高高度ミサイル)などは再突入前の高高度の終末段階での迎撃を担います。
米軍はSM-3・THAAD・PAC-3と複層的に迎撃体制をとっています。

 しかし、いくらシステムが揃っても、日本は迎撃できないかもしれません。
戦争を仕掛ける国が発射予告はしません。まして、弾道ミサイルは「核」である可能性が高いのです。
北朝鮮のように発射予告などすれば、通常は発射基地を攻撃されます。
しかし専守防衛の我が国は先制攻撃や敵基地攻撃は今のところ行えません。
相手の武力行使があって初めて反撃可能なうえ、「防衛出動」や「破壊処置命令」などの命令が出ていることが前提です。

ミサイルが発射されてから、閣議を開きNSC(安全保障会議)で発令を決定してからでは間に合わないのです。
いざと言うときの為の「交戦規定」のような、前線の指揮官が判断できる規定が必要な時期にきていると考えるのが妥当ではないでしょうか。

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