海洋立国論

勉強のつもりで書いています。

自衛隊の不都合な現実

安保関連法案について世間では賑やか。
神学論争してる人はほっとく。戦争法案と名前を勝手に書き換える人もほっとく。感情論の人もほっとく。事実のみを考える。(今回は中国を想定)

自衛隊の基本戦略は「専守防衛」です。
専守防衛とは、日本(自衛隊)だけの考え方。
先制攻撃は行わず他国の領土攻撃も行わない。他国の明確な侵略行動があった場合に行う軍事行動。
つまり、自衛隊が被害をうけて政府が「侵略行為」と判断した場合に反撃が行われる。
しかし、実際は「先制攻撃」された場合、もう終わりです。
海上自衛隊の場合では・・・
現代の戦闘艦艇はコスト面、運用面、機動性の為もあり、非常に軽くできています。先の大戦のような「装甲」はほとんどありません。
戦艦大和では舷側で最大41cmもありますが、護衛艦では数センチと言われます。
これは「装甲」による防御が無駄と思えるほど現代の兵器の破壊力が強力な為です。
「装甲」に頼らず、高性能なレーダーとデータリンクシステムで遠距離から探知しスタンダード対空ミサイル、近接防御火器CIWSファランクス)などで迎撃することを想定しています。

対して想定される攻撃兵器は「ロシア・中国」製ですね。
(中国は堂々と日本を「敵国」としていますし、そのための訓練も行っていますし、解放軍幹部も公言しています。因みになぜか韓国まで日本を敵国と認定・・・)

その国々の使用する対艦ミサイルは4トン以上もの重量・炸薬300キロ・マッハ2~3で飛行し、数発が集団で飛来。
回避運動をしながら目前でポップアップしトップからのアタックなど多彩な突入をおこないます。
先頭のミサイルは一緒に飛んでいる他のミサイルに指令し周辺の敵艦船に分散し攻撃をさせます。
場合によっては数隻も一気に撃沈という可能性もあります。
重量と速度による巨大な慣性エネルギー、高性能炸薬、ミサイルの燃料による焼夷効果などが相まって、10万トンもある米空母ですら一発で撃沈可能と言われます。

勿論こちらは迎撃しますが、あのような運動をするミサイルですから完全な迎撃はありえません。

攻撃されたら必ず被害がでます。自衛隊のDDGクラスで300名以上乗艦していますので、一発食らえば戦死300名です。
その段階で「防衛出動」が発令され「反撃」では遅いのです。
世界標準は攻撃されると想定した場合には攻撃する。つまり先の先をとる。これは自軍や自国の被害を最小限にとどめるために行うもの。これが普通です。
射撃管制レーダの照射や、潜水艦なら魚雷発射管の注水音などで現場が判断します。

どうすればよいでしょうか?
我が国は先制攻撃をしない事をある種で国是としてきました。これは誇らしい事ですが、現代では「戦死」を前提とします。
自衛隊員なら戦死はしてもいい訳ではありません。

もっとも現実的な選択肢が「攻撃をさせない」事です。
そうすれば「被害」もなく「先制攻撃」もしなくても良い。
一義的にはその為の「集団的自衛権」と理解しています。
(法ですから運用してから不都合な点はどんどん改正すればよい)
護衛艦にぶち込むともしかしたら、アメリカが出るかもしれない。こうなるだけで「抑止力」は高くなります。

沖縄の知事が「海兵隊」の駐留は抑止にならないと言ったようですが、海兵隊300名や嘉手納に攻撃を加えることは、アメリカとの全面戦争を意味します。基地はその国そのものですから。米軍基地はアメリカ本土と同じであって日本では無いですね。
随分昔に書いたと思いますが、米第七艦隊は太平洋西半分からインド洋を担当する世界最大の艦隊です。それがまずは対応します。圧倒的です。
アメリカの軍事力はどれぐらいかと言うと、「アメリカ」VS「アメリカ以外」で戦争しても負けないと言われるほどです。

先の大戦以来、アメリカの同盟国で戦争を仕掛けられた国はありません。そんなジャイアンとは戦えないからです。

勿論安全保障は「軍事」のみによって保たれるものではありません。「戦争」によって得られる利益より「通常の経済活動」のほうが大きければ戦争にはなりにくいでしょう。「外交交渉」によって回避する努力ももちろんですし、「民間交流」が盛んになれば互いの信頼関係の醸成も図れ安全は高くなります。民主国家ならば「国内世論」が正しくコントロールできることもあるでしょう。(逆もありえますね)ちゃんと努力しましょう。

「武器があるから戦争になるんだ!」も「中国なんか信用できない!」も私は与しません。
武器は存在しますし、中国の核ミサイルは数十発以上は日本が照準とされていますし、領海領空侵犯は酷いものです。海上保安庁護衛艦に体当たりする為の船も作ろうとしています。(ミサイルや砲撃より言い訳を作りやすいグレーゾーンの攻撃)アメリカの「核抑止論」と異なり「核使用論」の研究も進んでいるようです。だからといって「経済・民間」の交流は地道に進める必要があります。でも防衛力整備と錬成は怠ってはいけません。

しかし「経済」「交流」「世論」は変数です。なにがきっかけで変わるかもしれない。「軍事」はおろそかにできない現実だと思います。
自衛隊に手かせ足かせをしておいて、相手国はフリーハンドでは・・・まずは自衛隊を法で守るのです。前線の自衛隊を守れるならそれが結果的には国民の安全に繋がるのですから。