海洋立国論

勉強のつもりで書いています。

「ブレイクスルーとイノベーション」

ブレイクスルーとは、進歩、前進、また一般にそれまで障壁となっていた事象の突破を意味する英単語 。
イノベーションとは物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。 (共にウィキペディアによる)

どちらも言葉にはポジティブな意味があり、多くの方のイメージもそのようなものでしょう。でも物事にはポジとネガがあるのはご承知の通り。一般にはネガのイメージで語られる軍事の世界でも同じ状況があるのです。

「V1飛行爆弾」
今年4月6日に米軍が巡航ミサイルによってシリアの空軍基地を攻撃しましたが、この巡航ミサイルの元を辿ると、ナチスドイツのV1に辿りつきます。当時のナチスドイツの正面の敵はイギリスでした。しかし占領したフランス沿岸部からロンドンを直接攻撃できませんでした。ドイツの各都市をイギリスに爆撃され報復に燃えるナチスドイツはV1(通称:飛行爆弾)を開発します。

これは現代では無人攻撃機ドローンや巡航ミサイルに該当する攻撃兵器です。爆弾に羽根とエンジンを取りつけ無人機化し攻撃するのは「イノベーション」といえるでしょう。
V1は2万発以上発射されイギリス本土に被害を及ぼしましたが、現在のように慣性誘導やGPS誘導が不可能であったため精密攻撃はできませんでした。また、発射器は固定の大型のものは連合国側に発見され爆撃されるため、組み立て式の移動式発射台を開発しました。現在のTEL(移動式発射機)に通じるものがあります。

V2ロケット
そして悪名高いのがV2ロケットです。こちらは現在の弾道ミサイルに相当するもので、技術的なブレイクスルーを多く成し遂げなければできなかった兵器です。アメリカが人類を月に送りこんだアポロ計画を主導した、フォンブラウン博士の開発によるものです。戦争終盤から戦後にかけては米ソがロケット技術者の確保合戦を繰り広げました。

ティーガーⅠ戦車」
知られていないのが、フェルディナント・ポルシェ博士のことです。ポルシェ博士とは、そうあのスポーツカーのポルシェの源流の天才自動車工学者です。フォルクスワーゲン・ビートルや、多くの航空機用エンジンも生みだし戦闘機に採用されています。そしてヒトラーの依頼によってそれまでの4号戦車に代わるティーガー戦車の開発を行っています。

ナチスドイツは1号戦車から4号戦車までドンドンと大型化していきましたが、それでも当時のソ連T-34戦車には対抗できませんでした。そこでさらに大型のティーガー戦車の開発が始まり、ヒトラーのお気に入りだったポルシェ博士にも開発依頼がきたのです。
この開発は試作のみで制式採用とはなりませんでしたが、(採用されたのは競争相手のヘンシェル社)ポルシェ博士のティーガー戦車の駆動方式が画期的でした。通常はディーゼルエンジンを搭載し変速機を介して駆動力を伝えますが、博士はディーゼルエンジンを発電用とし、その電力で駆動輪についているモーターを動かすというものです。
この方式は現在ではニッサンのNOTE e-powerに相当しますね。

「V3 15㎝高圧ポンプ砲」
マイナーですがV3という兵器も存在します。
これはロンドンを直接砲弾で攻撃しようとした巨大な大砲ですが、普通の大砲とは仕組みが大きく異なります。砲弾を長距離飛ばすためには、炸薬(火薬)が大量に必要で砲身内(薬室)で大爆発させてその爆発力を利用することと砲身を長くする必要があるのですが、砲身が長くなると自重でたわむ事や、炸薬の爆発力に薬室が絶えられないなどの問題が発生します。それを解決するため、砲身をいくつもに分けて製造し、(全長150m!)薬室は砲身の途中ごとに側面にいくつも分散して取りつけます。(合計28箇所)そして発射後は砲弾の移動に従って順次薬室内の炸薬に点火し砲弾を加速し撃ちだします。
試射での飛距離は88kmに及んだと言います。実践ではほとんど使われ無かったようですが、アイデアとしてはまさに「イノベーション」なのではないでしょうか。

軍事はカネ食いムシで兵器は使う事がないのに限りますが、天才を生みだしたり、革新的な技術を開発します。近年はその逆で民生品を軍事に流用するなども積極的におこなわれています。

現在、アメリカが開発を進めているのが、レーザー兵器と超電磁砲(レールガン)です。
世の中にイノベーションを起こすきっかけになるのでしょうか。

安全保障について基礎から考えた

今までいろんな個別の事案を取り上げたり、兵器の解説をしたりしてきましたが、基本的な事を押さえておく必要があるなと感じてきました。

集団的自衛権の話題が盛り上がった時、「集団的自衛権」「集団安全保障」の区別がなされていない解説や論調をみかけました。それらを踏まえて基礎の基礎である「安全保障」について概要を纏めてみたいと思います。

「安全保障」は非常に多岐にわたる概念ですが、明確な定義はありません。そこで今回は「国際安全保障」についてその類型を取り上げます。

国際的な関わりを考える時に基礎となるのは「国家」です。ある国が領土や食料や文化をあらゆる脅威から保護され安定している状態が大切です。

この安定的な状態を各国間で保つため利害を調整し脅威の発生を未然に防止し、また発生した場合には協力して懲罰を加えるなど、相互依存によって安全を担保しようとする考え方です。また不安定な国家の存在は安定的な国家の脅威となる場合があります。そのようなときには不安定な国家を安定的な存在にするための行動を行います。

おおまかな類型(システム)としては以下の2型4種類です。

A)覇権モデル

  ・・・支配する大国の力(武力・経済など)の優位により秩序を維持する

 1 帝国的・・・強大な力を持つ国(覇権国)が、他国を服従させるもの

        (冷戦期のソ連が該当)

 2 民主的

  ・・・他国の合意を得て国際システムの安定をはかるもの

        (第二次大戦以降のアメリカがある程度該当)

 

B)勢力均衡モデル

   ・・・武力などの勢力が均衡しており、相互が牽制しあうことで独立を守る

 

 1 双極型・・・巨大な2国による均衡(冷戦期の米ソ)

 

 2 多極型・・・3か国以上の均衡

       (普通はこのようになるが徐々に双極型に収斂するようです)

 

余談ですが。

ドラえもんのいない世界でジャイアンが「覇権モデルでの帝国的」な状態ですが、ドラえもんが現れ「勢力均衡モデル」に変化します。

ドラえもんの世界は実に巧妙に描かれており(作者の藤子不二雄先生が意図したかは判りませんが)ドラえもんの世界は「国際関係」を非常に良く表しており、また同盟関係も集団的自衛権すらもドラえもんの世界で説明ができます。

例えば覇権国であるジャイアンスネ夫がプレゼントをします。このことによりジャイアンのいじめを自らに向けさせないようにしています。(報奨的抑止)

また背後にジャイアンがいるので、スネ夫のび太に対して厳しい態度をとり利益を得ることがあります。これはバンドワゴン(追従)と言い、強国に対抗するのでは無く追従し分け前を得るのです。

これに対抗しのび太ドラえもん(民主的な大国)と「同盟」し、のび太ドラえもんの能力を自らにまで拡大させ抑止力を得ます。(拡大抑止)

この抑止力は同居しているが故に、高い信頼性と即応性に優れています。もしドラえもんが未来の世界に存在し時折のび太の様子を見に来る程度だと、ジャイアンドラえもんが來るまでのび太を苛めて原状回復不能にすることができますが、強力な同盟である「のび太+ドラえもん」に対してはそれもできません。

のび太は道具を貸してもらい覇権国(またはジャイアンスネ夫連合)に対抗します。(集団的自衛権の行使)これにより失った利益(例えばオモチャを取り上げられた)を取り返します。

ジャイアンはもう一度のび太のオモチャを自分のものにしたくても躊躇します。(懲罰的抑止力)

 まぁ、このように例えることが適切かどうかは分かりませんが。ジャイアンは時々頼りになるガキ大将だったりしますし、困った時に助けてあげると「おお!心の友よ!」とか言って感激したります。またいくら強大だといっても、「かぁちゃん」の存在は圧倒的です。現実の世界には「かぁちゃん」がいませんが、例えるならその役割を「国連」が期待されているのでしょう。

本題に戻します。

若い方はあまりご存知ないかも知れませんが、所謂「冷戦」(米ソの対立の時期)は互いに核兵器をつきつけ合い、価値観と社会システムの異なる西側諸国と東側諸国が高い緊張状態にありました。しかし、大国同士の戦争は起きなかったのです。その間に我が国は高度経済成長をし戦後復興を成し遂げました。見かけ上はある程度の「平和」の状態でした。

しかし、覇権国であるソ連の凋落と共にこのシステムは機能しなくなり、反面、覇権国でありながら民主的なアメリカの「自由市場経済と民主主義」が正当性を得て、多くの国に支持される結果となりました。

冷戦のような勢力均衡モデルの状態は崩れると戦争になりやすいものです。勢力が強い側が弱い側を支配しようとしたり、勢力が弱い側が挽回の為にあえて不安定な世界を作りだすこともあるからです。また均衡しているといってもその力関係の測定は非常に難しく見誤る恐れもあります。冷戦終結後、世界は非常に不安定で不確実な状態になっています。

安定した世界の為に多くの研究者が研究分析し、政治は様々なレジームやシステムを生みだしています。相変わらず悲惨な戦争や紛争は絶えませんが、過去の歴史を振り返るかぎりでは確実に良い方向へは進んでいるように思えます。

 

 

不安定化する世界のなかで

Uは現在非常に不安定になっています。

イギリスがEUを離脱しようとしており、移民問題とテロの頻発で大揺れになり、地中海を隔てて北アフリカ、中東からの移民やISやイスラム原理主義の脅威、ロシアのウクライナなどで見られる強行な態度に脅かされています。

これらの脅威に対応する努力は払われていますが、ある国々にとってはロシアは脅威でもある国にとってはさほどでもない場合があり、(アフリカなども同様に)脅威の度合いが異なります。このため一定の負担に対してなかなか合意できないなど、対応に苦慮しているようです。

しかしロシアは「ハイブリッド戦争」と言われる手法をとっているとされ、正規軍を大規模に派遣するのではなく、非正規戦闘員(実態は階級章を外した軍人だったりします)や現地民兵への間接的支援、政治的な扇動、混乱を狙った虚偽情報の流布(ディスインフォメーション)、プロパガンダ、サイバー戦などを駆使し自国に有利な状況を作りだしていると考えられています。

冷戦期にはアメリカがNATO北大西洋条約機構)に深く関与し安全保障に寄与していたのですが、2000年ごろのヨーロッパの安定期に「アジア重視」という名の「経費削減・負担軽減」を行ってきた結果、現在は非常に不安定になっています。

アメリカもトランプ政権の政権運営が不安定であり、また相対的国力が衰退していくなかでは、アメリカの軍事的関与が増大することは望めない現在ではEUは自力対応をすすめなければなりません。

インド洋周辺も穏やかではありません。

多くの石油資源などが通過するこの海域では中国の存在感が際立っています。

以前にも書いたと思いますが、中国の安全保障上のネックであるエネルギー確保とマラッカジレンマ、国内の余剰資本を解消するため、バングラデッシュやパキスタンなどとの関係を深めており、潜水艦の寄港や港湾のインフラ整備、などを推し進めています。いわゆる一帯一路構想です。他にもモルディブスリランカミャンマーなどともインフラ整備などの対外援助を通じて関係を深めようとしています。

今後安全保障上の利害が一致しないインドとのせめぎ合いが激しくなっていくと予想されますし、実際にインドは対抗策をとっています。反面2010年、中国は病院船(自衛隊保有していない)を海賊対処活動として長期間派遣し、国際貢献をアピールしています。

現在までの秩序維持者であるアメリカにとっては、現状維持を変えようとする「挑戦者」

の存在は望ましく無くアメリカとの駆け引きも活発になるでしょう。

我が国は「北朝鮮」によるミサイルの脅威と「中国」による領土的野心という脅威、「韓国」とのいくつかの感情的とも言える摩擦があり、それらには自国だけでは対処できないものも多くあります。米国、EUやインドなどの国々には内向きになられると不都合です。そこで積極的に「国際貢献活動」「インフラ投資」「民間交流」を実施するとともに、国際機関やメディアへのロビー活動の支援、情報管理、利害が一致する国々との経済的、軍事的な交流と協力が必要です。この観点からは我が国の自衛隊が海外に派遣され一定の割合で役割を果たすことは、自国の安全保障に資することに繋がっています。

極東と呼ばれる日本での出来事に関心が高まらないのは、EUはそれどころでは無いという事情もありますし、ドイツ、イギリス、フランスなどは中国との経済的関係も強いため日本の存在感が低くなっています。しかし最近は一部で中国に対する安全保障上の脅威も語られているようです。(EU/グローバル戦略・2016年)

 

米国のミサイル防衛

一連の北朝鮮のミサイル騒ぎで、日本でも注目?されてきている「ミサイル防衛」ですが、同盟国の米国はどうなっているのでしょうか。

米国はソビエト連邦との「冷戦」時代を経て今に至っている訳ですし、日本の防衛も米国に大きく依存しているのは否めないので知っておく必要があると思います。

米国は多層的な防衛をしています。それは国土が広く軍事拠点にはハワイ、グアム、沖縄、横須賀、NATO関連など遠隔地もあり、またミサイル攻撃の脅威と考えている国が、イランやロシア、中国、そして北朝鮮ととても多く、その地理的距離などの条件も大きく変わるからです。

最近ニュースにもよく出てきますのでご存知の方も多い「SM-3」(スタンダードミサイル)や「PAC-3」、韓国に配備もした「THAAD」(終末高高度防衛ミサイル)

、先日実験を行ったGMD(地上配備型ミッドコース防衛)などがあります。

それぞれ特徴があり、極めて多層的なミサイル防空体制を敷いています。

また、「SM-3」は海上配備イージス艦からの運用や、ヨーロッパではルーマニアに地上配備して「イージスアショア」としての運用も行っています。ハワイ、グアム、在日米軍基地には「イージス艦配備のSM-3」と基地配備のPAC-3が対応し、本土へはこのほかの迎撃システムも対応します。

攻撃側の弾道ミサイルは、1.ブーストフェイズ(上昇段階)2.ミッドコースフェイズ(大気圏外慣性飛行段階)3.ターミナルフェイズ(終末段階)を経て目標に着弾させます。それを各種のミサイル&システムで複合的に迎撃し防衛するのです。

迎撃役割としては

GMD=ICBM大陸間弾道ミサイル)~IRBM(中距離弾道ミサイル)を、ミッドコースで迎撃する3段式のミサイル。実験の成功率は良くないようです。本土防衛用で移動できません。配備数は40発ほどで少ないです。

SM-3=現在Block1Bを配備、これを性能向上させ射高もアップしたBlock2Aという新型に更新していきます。イージス艦やイージスアショアからの運用を行います。信頼性は非常に高く配備数も非常に多いです。IRBM(中距離弾道ミサイル)以下のミサイルを中心に対応します。ブーストフェイズの最終段階くらいからミッドコースフェイズの最終段階程度まで幅広く対応します。イージスアショアはばらして再度組み立てすれば他の場所へ設置できます。因みにGoogleMapではハワイ(カウアイ島)にイージスアショア試験施設がアップされていました。

THAAD=終末段階で対応します。移動式の発射器でシステムまるごと移動可能。この段階は敵ミサイルが大気圏に再突入しており、迎撃による放射能や生物・化学兵器の拡散もあり得ますが、高度が高く拡散するうえ、爆破の熱で化学兵器などは焼却されほぼ問題無いとされています。試した人はいませんが。

PAC-3=いわゆるペトリオット。ごく狭い範囲のみの防空能力しかありませんし、SRBM(短距離弾道ミサイル)やMRBM(準中距離弾道ミサイル)の対応です。直撃させて破壊します。

さらに開発中なのが、多数の弾頭に対応する迎撃体の開発もおこなっていますし、多数目標に対しての迎撃実験も実施しています。

これらは全てセンサーノード(地上に設置したレーダー、早期警戒機、衛星など)や通信リンク、射撃管制システム、移動式発射器、電源など多くのシステムと組み合わされて運用されます。ミサイルがあっても他のシステムがなければ使えません。運用にも十分な訓練をおこない習熟する必要があります。

しかも、迎撃専門ですからいくら数があっても、拒否的抑止(やるだけムダ)のカードのひとつに過ぎません。でも米国は多大な開発費、維持費をかけて保有しています。

我が国は国内世論と近隣諸国への配慮から、すこしだけSM-3とPAC-3があるだけです。北朝鮮の脅威度が増してきた今になってTHAAD配備を検討し始めていますが、北朝鮮だけでなく中国も多数の弾道ミサイル、長距離巡航ミサイル保有し、一部の照準は日本と公言したこともあるのに、です。

ミサイルとシステムを導入するにも訓練するにも巨額の予算と時間が必要です。一足飛びに準備できる訳ではありません。我が国の現状はあまりに能天気と言わざるを得ないと思います。

今この時も世界のあちこちで戦争や紛争は絶えません。自国だけ大丈夫と信じ込み、時間を浪費するのは無責任でしかないと思います。

 

名前は大事

北朝鮮が騒がしくなっているせいで近頃ニュースでよく聞く、イマイチ意味が分からないという兵器をざっとひらっておきます。

 

巡航ミサイル原潜「ミシガン」

元は「戦略原潜オハイオ級2番艦」で、核弾道ミサイルを搭載し核報復能力の一翼を担っていました。冷戦の終結に伴い改修され「巡航ミサイル(タクティカルトマホーク)」を154発搭載しています。

弾道ミサイルを格納していた発射管を改修し、1基の発射管に7発ずつ搭載しています。(写真がネットでも公開されています)

写真もそうですが、姿を見せることで相手国を威圧する行動をしています。今回は釜山に寄港しましたが、北朝鮮への威嚇でしょう。全部で4隻あり太平洋に2隻、大西洋に2隻が通常の配備のようです。

 

●F/A-18Eスーパーホーネッ

主力艦載機(空母に載せる航空機)で、戦闘攻撃機。マルチロールとも言います。(空中戦も地上攻撃も行う。純粋な制空戦闘機は減りました)

搭載可能な爆弾やミサイルなどの武器(兵装)は多様で最大8トンほど搭載可能。末尾が「F」のものは複座型。米空母には40機ほど載っていますが、8トン×40機で一度に320トンもの爆弾が・・・因みに太平洋戦争で有名なB-29の搭載量は約9トン。時代を感じます。飛行機はエンジン出力で決まりますねぇ。

旧型機にF/A-18ホーネットというのがあります。これは「レガシーホーネット」と呼ばれる旧型機。名前も姿も似ています。能力は劣りますが現役です。

 

●EA18Gグラウラ―

スーパーホーネットを元に作られた電子戦機。見方の航空機や艦船が敵レーダーに発見されたり、ミサイルで攻撃されないようにするため、レーダー電波やミサイルの出す電波を妨害したりする為の航空機。自分自身も戦闘を行えます。この電子戦能力ではアメリカは最先端です。

 

強襲揚陸艦

艦種の区分は明確な国際基準などがある訳では無いのですが、一般的には各種ヘリコプターなどの航空機、兵員、上陸用の船艇(LCAC/ホバークラフト)などを搭載する艦船です。広大な船内空間を利用し他用途に使えます。見た目は空母そっくりです。(全通甲板を持っているので似てくるのは当然)このところ名前を聞くのは、米軍の「マキン・アイランド」(満載排水量およそ4万トン)や、先ごろ自衛隊と共同訓練もした仏軍の「ミストラル」(満載排水量およそ2万トン)。

ある意味、軍艦のマルチロール化されたものです(揚陸艦+輸送艦+軽空母+病院船)

全通甲板を持っているという事は非常に便利で効率的なんですね。海自でも検討段階。

 

●イージスアショア

艦船に搭載しているC4Iシステム(イージスシステムなど)SPY-1レーダー、Mk41垂直発射システム(VLS)、SM-3ミサイル、電源などをまるごと陸上運用するもの。イージス艦では十分な運用(試験)が行われているだけに信頼性は高い。

さきごろ「導入の検討を急ぐ」と報道がありましたね。北のせいで金がかかります。

ミサイルも現行のブロック1A(自衛隊)から新型のブロック2Aにアップグレードすれば、今回の北朝鮮の射高2000kmにも対応可能。

 

写真出典:海上自衛隊facebookより「ミストラル

f:id:anzenhoshounobenkyou:20170515235853j:plain

 

抑止力の分類

「抑止力ガー!」と最近報道でよく耳にしますね。
では抑止とはどのようなものなのでしょうか。

大別して現在は3種類あるとされています。懲罰的抑止と拒否的抑止と報償的的抑止です。

 

懲罰的抑止とは、「やられたらやり返すぞ。戦争を始めたら受けて立つ。反撃し手痛い目に合わせるぞ。」
これだと相手国は、「勝つだろうが、かなりやられそうだ。勝ってもあまり大きな得は得られないかもしれない」となり、戦争になりにくいとする抑止の方法論。

 

「ボロ勝ちできそうだから始めるぞ」とか「損得勘定は関係無い!」と思われたらいけません。
そこで相手に合わせた武力を持とうとします。この加減が難しい。相手に「やや?ウチより強くなったのではないか?」と思われると、「やる前にやられるかもしれないぞ。怖い」となりますよね。これ、昔のドイツとロシアが同じ。(第一次大戦のきっかけのひとつ)

この恐怖から逃れるには「もっと武力を持って安心したい」となり、どんどんエスカレーションしていく事が考えられます。

 

しかし、このように相手に合わせて武力を持てる国ばかりではありません。エスカレーションを防ぐために各国は軍事費や使途の公開、国際間で共同訓練、武官の交流、緊張時の連絡メカニズム構築、多国間の安全保障協定などを進めて偶発的な戦争への突入を防ごうとしています。
日米やEUなどは70年ほど前は骨肉の争いをしていたのですよ。今では誰も戦争の心配をしていませんよね。

ところで北朝鮮はこの懲罰的抑止力が欲しくてたまらないのでしょうか。
本音は「体制を維持したい」→「アメリカはイラクフセイン政権を打倒した」→「アメリカは強い」→「こっち向くと怖い」→「だからやり返せる核兵器が欲しい」となる訳ですね。
このたびの騒動でも北朝鮮のニュースなどを聞いてると、「止めて―!怖ー!おい日本!仲介しろよ!」と解釈できる時って無いですか?

 

懲罰的抑止の代表が核による相互確証破壊です。核を撃ったら核を撃ってやり返す。その為にどこかに弾道ミサイルを積んだ原子力潜水艦があるぞ。と言う訳です。

さて殆どの国は軍隊を持っていますが、軍事はカネ食いムシですし、基本的には「死に金」なので、本当はもっと優先的に使いたいものがあるものです。バカバカと軍事に金をつぎ込めません。

 

そこで登場するのが、拒否的抑止という考え方です。例えば自衛隊保有する「ミサイル防衛」ですね。撃っても撃ち落とす。端的に言うと「やるだけムダだぜ」

在日米軍はその両面を持っています。例えば相手国が攻撃したら反撃される恐れは懲罰的抑止ですが、相手がアメリカだけに戦争をやっても勝てないだろうと考える部分が拒否的抑止です。
安全保障条約5条の適用範囲ですよと宣言すると、中国の船が尖閣に来にくくなるこの現実は拒否的抑止の一例です。
圧倒的武力を持っていると、言葉だけでも抑止になる一例です。

 

ただしこの理論、証明できません。抑止の有無でどうなるかなんて実験はできません。
無かっても何も無いかも知れませんが、何かあれば全てを失いかねません。
そんなリスクのある社会実験できません。悪魔の証明みたいなものですね。
所謂「9条バリア」はこれが論拠かも?「憲法9条があるから軍備無くても大丈夫」かどうかの実験はできませんから。

最後の報償的抑止は・・・これは抑止なのか?という疑問を自分で解決してからにします。

 

防衛省の論文から一部分を引用します。
(抑止概念の変遷、2015.12、後濱桂太郎

「一般論として、抑止は自身の意図と能力を抑止したい相手に伝達し、相手がこれを認識する、というプロセスを経て機能する」

「抑止とは相手に現状変更させない、すなわち現状維持が目的である、という定義に回帰してきた、と理解することが可能であろう。」

 

ま、さじ加減ですがこれが難しいんですけど。

公開します。

今まではこのブログは「非公開」設定でした。

 

なぜか。

 

自身の考えを人に伝えるつもりで文字に纏めることで、間違いや知らないことなどが発見でき、次に活かせるのではないかと考えていたからです。

 

つまり「自己満足」の世界に置いていました。まさにテーマを限定した日記的な扱いでした。

テーマを関係なくつらつらと書くのはFacebookが適していると思いますが。

(元々はFBで書き始めたのですが、文書量や記事の分類に困りブログに移行したのです)

 

しかし、昨今の情勢をみると・・・なにか言わずばなるまい。って気になりました。

 

勿論、私は「安全保障」「軍事」の専門家では無く、マニアですらありません。

 

知りたいと思い、書籍・レポート・白書などを雑多に読み、それらを頭で纏められた時にブログに書くという形です。

 

なので、優しく見守ってやってください(笑)

 

ま、気ままに書くだけですし、いつ非公開に戻すかも判りませんが。

 

 

でも、物騒な世の中になりました。